橋屋恭也の意思
語り手:橋屋恭也
正直に言うと、俺は彼女に告白するつもりはなかった。
相手は工藤さんだし、到底かないっこないと思ったからだ。
でも、工藤さんは返事を聞かなかった。
それに彼女も告白されたにも関わらず、雪村が好きだという・・・。
正直意外だった。
学校も違うのであまり二人のことを知らないが、研究所での様子を見てみると
口が悪い雪村よりも、彼女の教育係を務めている工藤さんの方を選ぶと思って
いたから。
見た目は置いといて。
工藤さんは頭も良いし、頼りがいがあるから彼を慕う・尊敬する研究員達は多い。現役大学生ということもあって勉強を教えてほしいとか、レポートを手伝ってほしいとかよく頼まれていた。
雪村は魔法師としては優秀だが、口は悪いのであまり研究員達と仲が悪い。
彼は工藤さんに対しても見下していたらしいが、いつの間にか尊敬のまなざしで見るようになり、現在に至るという。いったい彼と工藤さんとの間に何が起こったのか、それは誰にも知られていないという。
そんな性格も違う二人なのに、彼女はどうして雪村を選んだのか
俺にはさっぱりわからない。
俺が女子なら、工藤さんを選ぶと思うのに・・・。
彼女が工藤さんを好きなら、十分納得がいき
俺は告白せずにあきらめていたのだが、好きな人が雪村と分かって気が変わった。
俺はあいつのことが嫌いだし、正直彼女が雪村を選んだことにあまり納得していない。だから、俺はあきらめないことに決めた。
でも工藤さんがいることも忘れてはいない。
それでも俺は・・・彼女のことを本気で好きだから。
正直、彼女にとっては迷惑だと思うけど、自信なんてまったくないけど・・・
少しでも彼女に近づけるようにはなりたい。




