伝えるということは難しい
力輝を桜子に任せて、工藤さんと雪村は外で話をしていた。
「前々から彼女が僕に対する感情がどういうものか知っていました。けど、本人はまったく気づいていないし、ほっとけばそのうち気づくかなって思っていたんですけどやっぱりだめで」←雪村
「それで氷浦の話をしたと?」←工藤
「彼女の話をしたらさすがにと思っても、全然ダメでした」←雪村
これにはもうお手上げです。と雪村は溜め息をついた。
「それで?お前、どうするんだ?」←工藤
「気づくまで放置ですね。そうでないと彼女は何も変わりませんから」←雪村
「・・・力輝はお前に嫌われることを恐れていた。こんなことで悩んでいるのを知られたくないと。氷浦がまだここに来たばかりの頃に、力輝が俺に話してくれた」←工藤
「なんでか知らないですけど、そう言ってましたね。気持ちを知られたから死ぬしかないとか言って自殺行為をするほどに」←雪村
「雪村、お前は力輝のことをどう思ってるんだ?」←工藤
「・・・僕は」←雪村
~力輝の部屋~
「力輝さん、大丈夫ですか?」←桜子
「頭痛い・・・ガンガンする」←力輝
桜子がタオルを水でしぼって力輝のおでこに乗せる。
「つめたい・・・」←力輝
「力輝さん。もうそろそろ話してもらえませんか?真さんといったい何があってあんなことになったのか」←桜子
「・・・あなたと雪村が一緒にいるのが、気に入らなくて。それで、話してたら・・・結婚の話になって・・」
「結婚?」
「雪村に結婚してほしいって言ったんでしょ?雪村が話してた。もうそんなことになっているなんて思わなくて私、そう思ったらあいつにガンガン文句を言っちゃって。まさか・・・まさか、二人が付き合ってるなんて(泣)」
「えぇ!?力輝さん、泣かないで。落ち着いてください。真さんは「あの話は嘘だよ」
「えっ?」←力輝
「真さん!?」←桜子
「嘘って・・・・?」←力輝
「僕は断った。だから結婚なんかしない。あれはあんたを試しただけ」←雪村
「試す?」←力輝
「真さん、どういうことですか?」←桜子
「あんたは黙ってて。・・だまして悪かったと思ってるよ。・・・ごめん」
「・・私の方こそ、ごめんなさい」←力輝
「3学期までに、あんたが僕に話してくれたことを短くまとめて答えを出して」←雪村
「ふぇ?」←力輝
「イライラするんでしょ?僕と桜子が仲良くしているのを見ると」←雪村
「・・・うん」←力輝
「短く文章にまとめて。いい?3学期の終わりまでにだよ?それ過ぎたら自殺でもなんでも「雪村(怒)」
「・・・すみません」←雪村
さすがに工藤さんに怒られてしまった雪村
「じゃあ、そういうことだから。桜子、帰るよ」←雪村
「あっ、はい。力輝さん、お大事に」←桜子
「ありがとうございました」←力輝
「・・・良かったのか?あれで」←工藤
「あの手でダメだったら、その時はその時で考えます。今日はすみませんでした」
「いや、むしろお前がいてくれて助かったよ。だがあまりやりすぎるなよ?」
こうして、騒がしい一日を終えたのでありました。




