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魔法師Mの物語  作者:
第五章 それぞれの恋心と最終回
198/222

嫉妬という名のイライラを彼女はまだ分かっていない

ガチャン

 「入るよ」←雪村


 「って、なにやってんの?部屋真っ暗じゃん。電気付けなよ」←雪村

 「つけたくない」←力輝

 「目、悪くなっちゃうよ?」←雪村

 

 そう言われて、仕方なく電気を付ける。

 

 「なんで怒ってるの?」←雪村

 「怒ってません」←力輝

 「嘘。じゃあなんで逃げ出したの?」←雪村

 「逃げ出してなんていませんよ。借りていたDVDを早く見たかっただけです」

 「そんなのいつでも見れるじゃん。田原先輩に借りてるんだからゆっくり見れるじゃない?レンタルショップで借りてるわけじゃないんだから」←雪村


 「・・・・」←力輝

 「桜子は別にお前と張り合ってるわけじゃない。ただあいつは正直に言ってるだけだ。だから気にすることなんてないんだ。前にも言っただろ?」←雪村

 「・・・はい」←力輝


 「僕は桜子だけに構ってるだけじゃない。ちゃんとお前にも南條にも接してる。それでも不満なわけ?」←雪村

 「そんなんじゃ」←力輝

 「じゃあなんで今にも泣きそうな顔すんの?それって・・・やっぱり不満なんじゃないの?」

 

 力輝は泣きそうになっていた。

 涙が大量にぽろぽろと床に落ちる。彼に顔が向けられないほどに・・・

 

 「(どうしたらいいのか、わからない)」←力輝

 「・・・この間、桜子に結婚してほしいって言われた」←雪村

 「えっ?」←力輝

 

 力輝はすぐさま雪村の方に下を向いていた顔を上げる。

 解消されたはずの婚約。それなのに彼女が自らプロポーズ?

 

 「それで・・・どうしたんですか?」←力輝

 「どうしたと思う?」←雪村


 雪村は試していた。もしこれで反応するなら・・・

 

 「受けたんですか?」←力輝

 さらに試す。

 「受けたって言ったらどうす・・「いやっ!?」

 

 予想していた通り、彼女は動揺した。が、力輝はその勢いで雪村の服を両手でつかんで泣きながら叫ぶ。

 「そんなの絶対いや!どうして!?お金持ちだから?雪村にいるのがもう嫌

 だから?やっぱりあの人といる方が幸せだと思ったからなの!?そうなんでしょ?!なんだかんだであの人が気に入ってるんでしょ!?そうなんでしょ!?」

 「力輝落ち着け。服を引っ張らないで」←雪村

 

 「これが落ち着いていられるわけないでしょ!?あの人が来てからべたべたべたべたして、突然現れたかと思ったら雪村と一緒に住むとか婚約者だとかわけのわからないこと言い出して。正直イライラしてたのよ!あの人は楽しそうにあんたに話しかけるし、同じクラスだから仕方ないとも思ってたけどカップルみたいで・・・まわりも「従姉弟らしいわよ?」「そうなの?!カップルかと思っちゃった」とか言いやがるし・・・・」

 

 「それで、逃げた理由はなんなの?」←雪村

 「・・・なんだかんだで、楽しそうに思えたから。私といる時よりずっと・・・あんたの顔が」

 

 「それがすごく悔しくて・・・見てるのが耐えられなかった。今日、彼女がやろうとしてたのを見て桜子先輩を止めようとしたけど、影富先輩が止めてくれて」

 「・・・正直あの時、先輩が天使に見えたよ。一瞬だけど」←雪村

 

 影富先輩は力輝が嫌がると思って助けてくれたのかもしれない。

 本人も嫌だったとは思うけれど。


「私、今度から1人で学校行く。二人の邪魔だし・・・私もつらいから」

力輝は勘違いをしている。さっきのは雪村の嘘であり、本当は断っているのだ。

それをまだ知らない彼女は、本気になり二人の邪魔にならないようにと気を遣う。

 

 雪村はすっかり落ち込んでいる彼女に「本当にそれでいいの?」と聞いてみる。

 「だって、付き合ってるんでしょ?私明らかに邪魔じゃない」←力輝

 「・・・聞きたいことがあるんだけど」←雪村


 「なに?」←力輝

 「あんたが今話したことは、友人としてなの?友人としてとられたくないから桜子を嫌がってるの?それならただの人嫌いになるけど」←雪村

 「友人って・・・私達、友達じゃないでしょ?南條さんとかは友達だけど」

 「じゃあ質問を変える。あんたはそれをどういうものとして扱ってるの?それが分からなかったら、僕に伝えた意味がないよ?自分で認識したうえで伝えないと」

 

「伝えた意味がない?」←力輝

「分かってないなら、それはただの愚痴だよ。あぁ~今日は疲れたから、もう帰るね」

 「・・・分かった」

 

 「ん?」

 雪村はあっさりした返事を聞いておかしいと思い、振り返ると「っ!?」

 彼女が戦闘服で小さな刀を取り出していた。それを見て「バカっ、何やってるんだ」と必死で止める。

 

 「近寄らないで!伝えた意味がないなら・・・私はもう生きていけない」

 「だからって、そんなことしても意味ないだろ!?分からないものは分からないままなんだから!」←雪村

 「私は本気で言った!なのに伝えた意味がないなんて・・・・そしたらあんたに嫌われて、それだったら…もういっそのこと自分で」

 力輝は雪村が必至で止めるのを回避しようとあがく。

 

 「落ち着けよ!」

 

 ガチャン!

 「おい、お前らいつまでかかって・・っ!?おい、何をしてる!?」←工藤

 「真さん、力輝さ・・・っ!?力輝さん何を!?」←桜子

 

 工藤さんと桜子が現れて力輝と雪村を引き離した。どうやら力輝が雪村を斬ろうとしていると思われたらしい。

 

 「離して!離して!死なせてください!」←力輝

 「バカ!なんてことを言うんだ」←工藤

 「だって、もう二人と一緒にいられないんだもん・・・うわああああああああーーー(泣)」

 

 そう言って工藤さんに抱きつく力輝。

 子供のように大泣きしていた。

 

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