気持ちの整理
二人が帰ったあと、工藤さんは「夜見達にあのことを相談したらどうだ?」とアドバイスする。
「どうしたんだ?悩み事か?」←夜見
「工藤さん、でも・・・」←力輝
「大丈夫だ。俺が付いているから安心しろ」←工藤
「・・・はい」←力輝
力輝は、夜見さんと橋屋さんに相談することにした。
事情を話し終わった後、二人は・・・
「それってこ・・ぶっ!?」←夜見
「こぶ?」←力輝
「なんでもない。なんでもないから」←橋屋
何か違うことを言おうとしていた夜見さんを隣にいた橋屋さんが思いきり彼のほっぺをつまんで阻止する。工藤さんは黙って3人を離れた場所で見守っていた。
「ようするに、二人が楽しそうに話しているのが嫌ってことだよね?」←橋屋
「はい」←力輝
「・・・それだったら、その気持ちを伝えたらどうかな?」←橋屋
「えっ?」←力輝
「おい、恭也。それはダメだろ?そんなこと言ったらさすがに」←夜見
「分かってる。でも、泣いちゃうぐらい苦しいなら俺はいっそのこと伝えて、すっきりした方が力輝ちゃんにとってはいいと俺は思うんだ」←橋屋
「橋屋のいうことも一理あるが、だが言葉を慎重に選ぶ必要があるぞ?」←工藤
「・・・」←力輝
「力輝、これはお前自身の問題だから強制はしない。だが、お前が辛い思いをして苦しんでいるなら、俺達はお前にできる限り協力する。言うか言わないかは、お前自身が決めろ」←工藤
「・・はい」←力輝
そして翌朝
「力輝さん、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」←桜子
「はい。なんとか・・・」←力輝
「まだ顔色悪そうだけど、倒れたりしないでよね?」←雪村
「真さん、なんてこと言うんですか!それは力輝さんに失礼です」←桜子
「はいはい。学校行くよ」←雪村
「もう~。力輝さん、行きましょう」←桜子
「あの桜子先輩・・実は二人だけでお話したいことがあるんですが・・・お時間大丈夫でしょうか?」←力輝
「はい。大丈夫ですよ?真さんには内緒の話なんですか?」←桜子
「そうです。ですから彼には気づかれないようにお願いします」←力輝
だが、雪村にはすでにバレバレであった。
「(何考えてるか知らないけど・・・本当にバカなんだから)」←雪村
学校に着いて教室へ鞄を置いてすぐに、桜子は教室を出ようとする。
「どこ行くの?」と雪村は目的を知っている上で桜子に話しかける。
「ちょっとそこまで」とまるで散歩するかのような理由を聞いて「(嘘つく気あるのかこいつ・・)」と思いつつも「あっそ。気を付けてね」とだけ伝えると「はい。では行って参ります!」とすぐさま早歩きで教室を出た。
二人で話せる場所と言えば、あそこしかない。
「力輝さん、お待たせしました」←桜子
「いえ。私も今来たところですので、お気遣いなく」←力輝
「そうですか。それで私と話したいことというのは、真さんのことですね?」←桜子
力輝は驚いた。だが、そんなこと誰でも分かることでもあった。
雪村には内緒、と言う時点で桜子は彼についての話だと確信していたから。
力輝はそこまで考えていなかったので、桜子の言葉を聞いた途端、無意識に身体が震え始めた。
「話を聞きましょう。力輝さんが私に話したいことを・・私はすべて受け入れます」
その頃、雪村はというと影富先輩に捕まっていた。
「雪村君、今日家庭科の授業でクッキー作るからお昼一緒に食べない?」←影富
「先輩そこをどいてください。僕は急いでるんです」←雪村
「えっ、どこに行くの?僕も一緒について行ってもいい?」←影富
「ダメです。あぁもう、凍りつかせるぞこのオカマ!」←雪村
ガシッ!(影富先輩が雪村の腕を掴む)
「雪村君、ダメだよ?二人の様子を見に行こうとしてるんでしょ?」←影富
「先輩・・やっぱり知ってたんですね?だからわざと、僕の邪魔をしているんですね?」
「そうだよ。これは彼女達の問題だ。僕達が首を突っ込んでいい問題じゃない」←影富
「首を突っ込む気なんてありません。僕は力輝と桜子の護衛の任務を任されているんです。部外者のくせに邪魔するのいい加減やめてください」←雪村
「僕は魔法素質はなくても、月ノ宮の遠縁だ。これでも6歳の頃までは影武者としての訓練を受けてたんだよ?部外者っていうのは少し失礼だよ?」←影富
「どうしてもどかないって言うんですか?」←雪村
「うん。むしろ、君にはこのまま黙って教室に帰ってもらいたいし」←影富
「だったら・・力尽くで通ってやる!」←雪村




