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魔法師Mの物語  作者:
第四章 雪村真と氷浦家
165/222

宣戦布告?

翌朝、力輝は熱が38度あり学校を休むと雪村の携帯に連絡が入った。

 

 「真さん、力輝さんを迎えに行かないんですか?」←桜子

 「熱が出たから学校休むって」←雪村

 「えっ!?昨日はお元気でしたのに・・・大丈夫でしょうか?」←桜子

 「大丈夫でしょ?そんなに心配なら看病で学校休む?」←雪村

 「真さん、それはいけません。学業を疎かにしては・・・「はいはい。学校行くよ」

 「あっ。待ってください!」←桜子


 「(まったく・・・なにやってんだか。あいつは)」←雪村

 深く溜め息を付いてあきれている雪村と、なにも知らない桜子は今日も学校へと行くのであった。


 

 その頃、力輝は重い身体で台所まで行き、タオルを濡らしておでこに乗せベッドの中へと入って寝ていた。


 自分で学校に連絡を入れて、自分であれこれするのは病人にとってとてもつらいこと。だが今回、工藤さんは大学に行く用事があるらしく夕方まで帰ってこれないと言われたため1人でやるしかなかったのだ。

 

 昨日の今日だったため、かなり大きな雷を撃たれてしまったが、最後は終わったら「すぐに行くからそれまで大人しく寝ていろ」と言われた。

 

 とりあえず、それまで寝ていることにした力輝であった。


 

 ~学校~

 1年A組では南條さんが力輝のことを心配していた。

 「工藤さん・・大丈夫かな?」←南條

 

 そして2年A組では、体育の授業のため一階の男子更衣室。

 「えっ、熱だして休み?」←沼口

 「そう」←雪村

 「大丈夫なのか?病院いかなくて」←沼口

 「風邪とかインフルエンザじゃないんだし、一晩寝ていれば治るよ」←雪村

 「お前、力輝ちゃん心配じゃないの?」←沼口

 「別に」←雪村

 「冷たい奴だな?あれか、氷浦ちゃんがいるから・・・「それは関係ない。あと、その話はやめろ」

 

 だいたい検討はついてはいる。だけど、下手につっこめばどうなるか分からない。また暴走したらと思うと・・・・


 雪村は慎重だった。

 

 更衣室を出て体育館に向かおうとしていると、影富先輩にばったり会った二人。

 「雪村君、次体育なの?」←影富

 「見ればわかるでしょ?何の用ですか、先輩」←雪村

 「さっき南條さんが裁縫道具貸して欲しいってうちのクラスに来たんだけど、工藤さん休んでるんだってね?」←影富

 「またその話か・・・38度の熱だして休んでますけど、それがなにか」←雪村

 「知ってるんでしょ?彼女が熱出した原因」←影富

  

 影富先輩の目が変わった。月ノ宮の関係を雪村と力輝に話した時と同じ目をしていた。

 

 「知ってるもなにも、先輩には関係ないことですよ。授業が始まるので失礼します」←雪村

 

 「おい、雪村!」←沼口

 

 影富先輩に言われて、ますます苛立ちを隠せなくなった雪村。

 彼の後ろ姿を見て影富先輩は少し呆れた顔をして、すぐに自分の教室へと戻った。

 

 

 時刻は夕方になった。

 「・・・っ夕方?」←力輝

 3度寝してあっという間に時間が過ぎてしまった。

 力輝は起き上がって、乾いたタオルをまた台所まで持っていき水で濡らして絞ろうとしているとガチャンと扉が開いた。


 「おっ、いたいた」←夜見

 「どっ。どうも」

 「夜見、どけっ。大丈夫?熱は引いた?」←橋屋

 橋屋さんが夜見さんをのかして部屋の中に入り、しんどそうにしている力輝を見ておでこに手を添えて熱があるか確認する。


 「まだちょっと熱いな」←橋屋

 グググッ~~

 「夜見!?」←橋屋

 「俺じゃないって」←夜見

 「私です・・・朝から何も食べてなくて」←力輝

 「マジかっ!?俺なら死んじまうよ~」←夜見

 「んなこと言ってる場合か」←橋屋

 

 ガチャン

 「なんだ、やけに騒がしいな」←工藤

 「工藤さん。お疲れ様で~す」←夜見

 「お疲れ様です」←橋屋

 「お疲れ。力輝、大人しく寝てろと言っただろ?」←工藤

 「いえ、タオルを濡らそうと起きたらちょうどお二人が来てくださって・・・」←力輝

 「熱が上がったら大変だから、大人しく寝てろ。あとは俺達がやるから」←工藤

 「・・はい。じゃあ、ベッドに戻ります」←力輝

 

 「夜見、このレシピ通りに橋屋と料理を作れ」←工藤

 

 数分後・・・立派なおかゆができました。

 するとガチャン!

 

 「力輝さん!大丈夫ですか!?」と桜子先輩が部屋へとやって来た。

 まるで台風が突然おしかけたかのようだった。

 その後ろには大荷物を持った雪村の姿も見えた。


 「あぁ・・大丈夫です」←力輝

 「そうですか。良かった・・・あっ、帰りに真さんにも協力してもらって風邪に効く魔除けのお守りとかを買ってきましたので、受け取ってください」

 「魔除け???」←力輝

 

 新しい単語が出てきて混乱中の力輝。

 他の3人は「どうして魔除けなんて買ってきたんだ?」と不思議そうに思っている。


 「桜子、魔除けなんて必要ないよ。ただの熱なんだし」←雪村

 「真さん、なにを言ってるんですか!?ただの熱だからって容赦できません!私は子供の頃、風邪を引いて寝込んだ際、ただの風邪だからしばらくほっといたら・・・そしたら翌日39度の熱を出し悪化してしまったんです!」←桜子

 「それとこれとは話が別でしょ?大げさなんだよ」←雪村


 「とにかく、力輝さんの悪霊を払うためにもこの魔除けのお守りは必須です!あとはこれをこうしてこれとこれを・・・「氷浦、力輝の熱はだいぶさがっている。これ以上はなにもする必要はない」

 

 さすが工藤さん。というべきか・・・・桜子も停止してしまっている。

 「雪村、悪いが氷浦を頼む。ここは俺達が見ておくから」←工藤

 「はい。・・・ほら、帰るよ」←雪村

 「はい。力輝さん、お大事に」

 

 桜子さんと雪村は静かに部屋を出て行った。

 帰り道で桜子は雪村に問いかける。

 

 「私は間違っていたのでしょうか?」

 「全部が間違っていた・・・とは言えないけど、さすがにやりすぎたんじゃない?」

 「力輝さんがお体を悪くなされたのは、私のせいなんですか?」

 「なんでそう思うの?」

 「昨日の様子を見れば、わかりますよ。力輝さんは私のことがお嫌いなのでしょうか?」

 

 実際、桜子は影富先輩と雪村の会話を密かに聞いていた。

 更衣室から出てきた際、声をかけようとしたところを影富先輩に先手を打たれてしまい出ることが出来なかったのである。

 



 「嫌ってはないと思うよ。あれでも負けず嫌いなところがあるから、友達が他の子と仲良くしているのが気に入らないって感じには思ってるかもしれないけどね」←雪村

 「真さん、力輝さんのこと良く知ってるんですね?」←桜子


 「好きで知ってるわけじゃないよ。なんだかんだで半年も付き合っていれば分かるでしょ」←雪村

 「・・そうですね。私もそれぐらい経てば力輝さん達のことをもっと知れますかね?」

 「知れるんじゃない?」

 「真さんのことも?」

 「僕のことなんてもう知ってるでしょ?」

 「いいえ。たった今、私は真さんの新たな一面を知ることが出来ました。なのでこれから真さんのことをもっと知りたくなってきました。私は、それを見たいです。いいえ、それを必ず時間がかかっても、真さんのすべて知り尽くして見せます!」←桜子

 「・・・その時がくればいいね?」

 「はい!」


 「でも、全部知り尽くす前に僕はあんたの呪いを解いて見せるけどね」←雪村

 「じゃあ競争ですね。負けませんよ」←桜子


 

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