芽生える気持ち
※BLネタがちょくちょくあります。ご注意ください。
「雪村君!今の話本当なの!??」←影富
「うわっ!?影富先輩!??」←南條
「いったいどこから・・・・?」←力輝
影富先輩がどこからか出てきて、南條さんは驚いて力輝の左腕にしがみつく。
その一方、先ほどまでいなかったはずの影富先輩がどこから来たのかまったくわからず、先輩をじっと見て呟くだけだった。
「氷浦さんが雪村君の許婚って本当なの!?」←影富
「いや、先輩これは「本当ですよ?」
「こらっ!?」←雪村
桜子は嘘は言ってないとはいうものの、影富先輩のことを知らない彼女は何が間違っているのかわからなかった。ただでさえめんどくさいのに雪村はだんだんと頭が痛くなってきた。
「僕は認めない・・・僕は許婚なんて絶対認めないからねっ!」←影富
「すごい。影富先輩が怒ってる」←南條
「あんなの見たことない・・・」←力輝
「なんかすごいことになってきたな~」←沼口
力輝・南條・沼口組は三人から距離を取って、ただただ見物しているだけだった。正直、巻き込まれたくないというのが本性で。
~放課後~
「なんだって!?今なんて言ったの!??」←影富
「ですから、今日から真さんのお家に居候させてもらうことになっているんです」←桜子
これは力輝も初めて聞く話だった。
転校する話は聞いたものの、どこで暮らすのかは聞いてなかったのである。
「雪村君、君って人は僕というものがありながら・・・「僕ら付き合ってないでしょ?気持ち悪いこと言わないでください」←雪村
「だったら、僕も雪村君の家で暮ら・・・「迷惑です。やめてください」←雪村
「そんな・・・(泣)」←影富
「(なんかかわいそうだな)」←南條・力輝
結局、影富先輩の反対抗議は雪村の毒舌防御にてなんとか幕を閉じた。
しかし、かなりのダメージを食らったことに違いはなく・・・本人曰く、しばらく立ち直れないとのことであった。
~研究所~
「じゃあ、僕ら訓練があるから」←雪村
「はい。お二人共、頑張ってくださいね?」←桜子
桜子は別の場所で検査をするため、二人とは別行動を取った。
別れた後、二人は訓練室へと向かって行ったのであった。
そして訓練が終了する頃には、桜子が入り口前で大人しく待っていた。
「お二人共、お疲れ様でした」と桜子が二人分のペットボトルのお茶を渡す。
「どうも」←雪村
「ありがとうございます」←力輝
「ところでこちらでの訓練ってどういったことをするんですか?」←桜子
「緊急事態に備えての戦闘訓練だよ。と言っても、田原先輩がころころと敵をキャラクターに変えるからちょっとやりずらいけど」←雪村
「キャラクター?ご当地キャラクターとかですか?」←桜子
「うーんーなんか違う」←雪村
「あの、私ここで失礼します。じゃあ、また学校で」←力輝
力輝はきまずくなって、廊下を走って行ってしまった。
「あっ・・・いっちゃいましたね。どうしたんでしょうか?」←桜子
桜子は力輝の行動が全く理解できていなかった。だが雪村は「さぁね」と分からないふりをした。
それは桜子のためでも、あったのだ。
自分の部屋のある場所までエレベーターを使わず階段をダッシュで上りきり角を曲がろうとしたらドンッと誰かにぶつかり、後ろに倒れそうになった。
「うわっ!?」
だが、間一髪で誰かの手が力輝の腕を掴み、自分の元へと引き寄せたことで階段から転落することはなかった。よく見るとそこにいたのは工藤さんだった。
「こらっ、危ないじゃないかっ」←工藤
「ごめんなさい・・・」←力輝
「ん?どうした力輝?そんなにあわてて」←工藤
「別に・・・別に・・・っなんでもっ・・うっ・・うぅ・・」←力輝
「おい、どうした?どこか痛いのか?」←工藤
力輝が突然泣き出してしまい、工藤さんは動揺しながらも彼女に聞く。
「どうしたんだ?泣いてたらなにもわからないぞ?」←工藤
すると力輝は黙って自分の部屋へと戻ろうとする。それを見て「こら、待て。黙って帰ろうとするな。どうしたって聞いている、質問に答えろ」←工藤
工藤さんは力輝の腕を掴んで彼女にそういうが・・・
「だからっ・・・なんでもないって言ってるじゃないですか。お願いですから1人にさせてください!!」と工藤さんに腕を掴まれたままその場に座り込んでしまった。
力輝は今すぐにでも逃げ出したかった。誰にも顔を見られずに真っ直ぐに部屋に戻りたかった。なのに、そう思うと涙は止まらなかった。どうして自分がこんなに泣いているのかが全く分からなかった。
「・・・参ったな。待ってろ、田原に連絡するから「言わないで!」
工藤さんが美咲さんに連絡しようと携帯を取り出した瞬間、力輝がそれを阻止する。
「お願い言わないで。誰にも知られたくない。誰にも知られたくないの・・・!」←力輝
こんなこと誰にも言えない。と力輝は工藤さんをじっと見る。
しかし敬語を使わなかったことにはっと気づいて・・・
「お願い・・・です・・・言わないでっ・・ください」と敬語で改めて彼に言ったのだ。
「わかった、わかった。とりあえず、落ち着け」←工藤
数分後、力輝の部屋にお邪魔した工藤さんは、台所を借りてコーヒーを入れて
彼女に渡した。事情を話して少々興奮気味だったが、徐々に落ち着きを取り戻していった。
「なるほど。事情は分かったが、俺にはあまり理解が出来ないな」←工藤
「・・・」←力輝
「お前を責めているわけじゃないぞ?仲良く話してるだけでいらいらするというのは正直俺は経験したことがないから、どうとも言えないというか」←工藤
「・・・」←力輝
「やっぱり田原達の方がお前の気持ちを理解してくれるとは思うんだが・・・どうしてあいつらには言いたくないんだ?」←工藤
「・・・嫌なんです。こんなことでいらいらして泣いたなんてこと知られたくない」
「田原達はお前のことをとても大事にしている。他人にべらべらと喋るようなことはしないと思うが・・・「確かに、私も美咲さん達はそんなことはしないと思っています。でも・・もし雪村にこのことが知られたら・・私は雪村と顔を合わせられなくなる。そんなことになったら・・・私、もう・・・」←力輝
「大丈夫だ。雪村はああゆう性格だが、お前の事を本気で突き放したりはしない。氷浦が突然やってきて、今まで二人だったのが1人増えて、やりとりについていけずに逃げ出しただけだと俺は思うがな」←工藤
「・・・・そうでしょうか?」←力輝
「とりあえず、俺はこの件については専門外だ。だから、田原に相談した方が一番良い。何かあったら俺にすぐ連絡しろ。その時は俺が説教してやるから」←工藤
「ありがとうございます」←力輝
「じゃあ、俺はもう帰るからな」←工藤
「はい。・・・おやすみなさい」←力輝
「おやすみ」←工藤
工藤さんは、力輝の気持ちがどういうものか予想はついていた。
しかし経験がない以上、どういえばいいのかもわからなかったし、逆にストレートに言って混乱するのもよくないので、あえて美咲さんに相談しろと言ったのだ。
しかし、それはそれで心配な部分もある。
はたしてどうなるのか・・・・。




