また悩みが増えた
「話変わるんだけど、桜子さんは・・・「桜子!」
「・・・桜子さん「桜子!」
「桜子・・・さ「桜子!!」
さん付けが嫌なのか、呼び捨てをご所望なお嬢様。苗字が好きじゃないから下の名前で呼んでほしいと言われたものの、さすがに呼び捨てするのは失礼だしと思っていたんだけど。
「桜子は星羅魔法女学院には高校から入ったの?正直よく分かんないけど」←雪村
「いいえ。私は幼等部から星羅に通っていますよ?」←桜子
つまり、3歳ぐらいからか・・。だが、僕が聞きたかったことは別のことで。
「そう。それなら転入するのは残念だよね?あんたの事だからたくさん友達いたんじゃないの?」←雪村
「そうですね。確かに幼い頃から通っている星羅を離れることになるとは思いもしませんでした。しかし、友人というのはデパートでいた二人と父の知り合いの娘さん四人ほどだけですよ」←桜子
これはまずいことを聞いてしまった。
今思い出せば、彼女が苗字が嫌いだって言った理由・・・恐らくクラスメイトが言い放ったなにげない言葉を彼女の心に突き刺したに違いない。
「あぁ、気にしないでください。もう慣れましたので」←桜子
大丈夫だとはいうが、僕の目には彼女が無理をしているとしか思えなかった。
「あっ。私、真さんの通っている高校のことが聞きたいです!詳しく聞かせてください」
話をそらそうとしているのがバレバレだ。
「詳しくって言ったって・・僕の通う公立高校は「公立ってなんですか?」
「公立は県が創った学校。私立は県外が創った学校。でも僕らは・・・公立は安い。私立は高いっていう認識でバカじゃなければ公立高校に行けって言われるよ」←雪村
「そうなんですか?別に公立でも私立でも問題ないと思うんですけど」←桜子
「それはお金に余裕がある人が言うんだよ」←雪村
で、話を戻す。
「うちの学校は特進と普通科があって、特進はAで普通科からB・C・Dと分けられる。ちなみに僕は特進」←雪村
「それは選択できるんですか?」←桜子
「できません。入学試験の合格点数によって学校側が決めます。ようするに頭が良いのを特進に集めてそれ以下はB以降になるってこと」←雪村
「そうなんですか。・・・大変ですね」←桜子
「なにか勘違いしてるかもだけど、けして差別してるわけじゃないからね?」←雪村
「真さんにはご友人という方はいらっしゃるのですか?」←桜子
「僕に友達がいないとでも思ってるの?いるよ・・・1人。仲の良いというかなんか一緒にいるのは上級生で1人、下級生に2人・・・」←雪村
「真さん、無理しなくていいんですよ?」←桜子
「いや、同じ高校だし一緒にいるのは本当だし!嘘なんかついてないんだからね!」
「そうですか。・・・・思っていたより、すごく楽しそうですね」←桜子
「なんだ、やっぱり不安だったんだ?そんなに考え込まなくていいんじゃない?あんたを魔法師だって認識できる人間なんていないんだしさ」←雪村
「真さんはどうなんですか?」←桜子
「僕は別にどうでもいい。っていうか、好きで魔法素質持って生まれてきたわけじゃないんだから」←雪村
「・・・そうですよね」←桜子
「でも、真さんが魔法師ではなかったら・・・こうして氷浦として会うことが出来ませんでした。なので私は真さんが魔法師で良かったと思っていますよ」←桜子
「・・・それは、あんただけだと思うよ」←雪村
事情は知っているにしてもこの言い振りには賛成できなかった。
存在は知っていたものの、まさかあんな形で会うなんて思っても見なかったし・・・僕は氷浦家をまだ許したわけじゃない。
だけど、今の彼女を助けるために・・・僕はこうして彼女といる。
それだけだ。
「真さん、二学期が楽しみですね」←桜子
「・・・そうだね」←雪村




