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魔法師Mの物語  作者:
第四章 雪村真と氷浦家
158/222

氷浦との約束

伯父さんと祖母にこれから氷浦の家に行ってくると伝えた。

 勘違いされないように「ただついていくだけ」と付け加えて。


「そうなのか。じゃあ、何か持っていかないとな」←おじ

「あっ、ちょっと待っててね」と祖母がどこかへと慌てて行ってしまう。


伯父さんが「あぁ、一緒に行くよ」と言ったのだが、「大丈夫」と言って一人で行ってしまった。

 それからすぐに祖母は戻ってきた。


「ちょうどカステラがあったから、これを持っていきなさい」と祖母が僕に袋に入れたカステラを渡す。


「ありがとう・・・お祖母様」←雪村

「氷浦はここから遠いから、気を付けて行くんだよ」←祖母

「その・・・さっきは、ごめんなさい。言いすぎました」←雪村

「いいのよ。また家に遊びに来なさい」←祖母

「・・・はい」←雪村


 祖母と伯父さんの二人と別れて、僕は桜子が乗って来た車で氷浦まで行くことになった。

 

「良かったですね。お祖母様と仲直りできて」←桜子

「別に。さすがにあの状況じゃきまずかっただけだし」←雪村

「真さんは本当にお優しいですね」←桜子

「・・・・」←雪村

  

 本当にこいつやりずらい・・・。


 

「ところで家に帰ってどうするの?」

「先程、連絡を取った際に帰ってこいと言われまして。それでぜひ真さんにも会いたいと」←桜子

「ちゃんと説明したの?僕は氷浦の養子になるつもりなんてないんだけど」←雪村

「はい。もちろんちゃんと説明しました。その結果が、真さんを家に連れてこい。とのことでした」←桜子

「・・・僕、生きて帰れるか怖いんだけど。保障してくれる?」←雪村

「もちろん保障します。任せてください」←桜子


 そうは言うものの、不安が消えることはなかった。


 数時間後、やっと氷浦邸へと到着した。

 雪村邸の何倍もの広い大きなお屋敷だった。


「着きました。ここが私の家です」←桜子

「・・・」←雪村

 

 ここでもセキュリティーが厳重で氷浦では暗証番号とICキーを使った機械を4台ほど投入している。つまり・・・暗証番号+ICキーのセット扉をクリアしたらまたそのセットの繰り返し。これはかなりしんどい。家の中入るのにこれだけの作業が必要なのか?


 僕は疑問に思いつつも桜子の作業を黙ってじっと見ていた。


「お待たせしました。どうぞ中へお入りください」←桜子

「・・・あぁ、うん」←雪村


玄関へ入るとすぐに家政婦さんらしき女性の人がやってきた。

「ただいま戻りました」と丁寧にお辞儀をする桜子。

すると、「真さん、ご紹介します。母です」←桜子

 

 桜子の紹介を聞いて思わず「・・えっ!?」と驚いた。

 どこからどう見ても家政婦のようにしか見えない、割烹着に着物姿。

 

「あっ・・失礼しました。雪村真です。はじめまして」←雪村

 僕は慌てて頭を下げる。


「はじめまして、桜子の母です。面白い子ね」と桜子の母親はにこにこと笑う。

 恥ずかしい・・・・。


「お母様、お父様はどちらですか?」←桜子

「いつもの所だと思うわよ。真さん、ご案内致します」←桜子の母

「真さん、行きましょう」と桜子は僕の腕を引っ張って母親の後を早歩きで追いかけて行った。

 

 

連れてこられたのは、道場。

「あなた、桜子が帰ってきましたよ!」と桜子の母親が大きな声で一人の男性を呼ぶ。

 それを聞いて手を挙げる男性。

 

「しばらくすれば戻ってくるので、その間こちらで桜子とお待ちください」と大きな広間で待つ事に。

 

「雪村の家より広いんだね」←雪村

「そうですか?私の家より広いお家はたくさんあると思いますけど」←桜子

「これより広い家を僕は知らないんだけど?」←雪村

「そうですね~見たことはないんですけど、木野原のお家が巨大な高層ビルでそれはまるで宇宙まで到達しそうなぐらいの高さだとか」←桜子

「ありえないよ、そんな話!?」←雪村

「あくまで噂ですよ。私も見たことありませんから」←雪村

 

 

「はっくしゅん!」←木野原

 

 

 「お待たせしました」

 「お父様、お疲れ様でございます」と桜子が父親に丁寧に頭を下げる。

 僕はよくわからないけれど、軽く頭を下げた。

 

 「真さん、ご紹介します。私の父です」←桜子

 「はじめまして」←桜子の父

 「お父様、こちらが雪村京三郎さんのお孫さん、雪村真さんです」←桜子

 「はじめまして。雪村真と申します」←雪村


 先ほどの母親とは違い、やはり父親は怖い顔をしていた。

 そのため対応が全然違う。

 

 


「話は聞いたかと思うけど、桜子は魔法力を失ってしまい氷浦としては大変困った状況になっている。それで家族で相談し合った結果、桜子の代わりが務まる魔法師を遠縁から探すということになり、君に白羽の矢が立ったというわけだ」←桜子の父

 

「君が氷浦に恨みがあることは知っている。当時は魔法師の家系に生まれた子供は魔法素質がなくてはならないという決まり文句のようなものがあった。氷浦家の代表として謝る。だからお願いだ・・氷浦を救ってくれ」←桜子の父

 

「・・・今更謝られても困るんだよ。僕に謝ったって、死んだ母さんはもう帰ってこないんだ!!」←雪村

「真さん、落ち着いてください。お母様を思う気持ちは分かります。ですが、落ち着いてください」←桜子

 

 桜子は父親に今にも襲いかかろうとする僕を抑えて、落ち着かせようと説得の言葉をかける。

 

「謝っても許してもらえないのは父も私も分かっています!ですが、暴力はいけません。そんなことをしてもお母様は喜びません!」←桜子

「うるさい、邪魔。離れろって」←雪村

 

「離しません!父に暴力を振るうなら、私が変わります!殴るなり蹴るなりしてください」

「桜子、だめだっ!これは父さんが「嫌です!さぁ、真さん。私を殴ってください!」


 桜子は僕にしがみついたまま、父親の言うことを拒否して僕に自分を殴れと言った。けれど・・・・僕にはできなかった。


 プ二ッ

「いたたっ」←桜子

「もういい。分かったから・・・もう離れて。熱いから」←雪村

「ひたひです(いたいです・・・)」←桜子


 ほっぺをつねって桜子にそういうと、桜子は必死にしがみついていた僕の身体を解放してくれた。


「真さん、落ち着きましたか」←桜子

「おかげさまで」←雪村

「それはよかったです」←桜子

「・・・でも、僕は氷浦の養子になるつもりはありません。その変わり、桜子さんをこんな目に合わせた黒服を捕まえて、彼女の魔法力を必ず取り戻すと約束します」←雪村

 

 「・・・話は桜子から聞いていて知っていたが、それが本当なら私達も全力で協力させてもらう。ただし、もしそれが出来なかった場合、君には・・・・氷浦の後継者並びに桜子の婚約者になってもらうからね?」←桜子の父

 

 「えっ!?」←雪村

 「お父様!??」←桜子

 「私の話は以上だ。桜子をよろしく頼むよ、真君」←桜子の父


 これは、なんとしてでも見つけなければならなくなってしまった。

 

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