呪いをかけられた?
氷浦桜子
星羅魔法女学院高等部二年生、17歳
氷浦家長女にして正統継承者
交通事故で魔法が使えなくなったなんて信じられなかった僕は、彼女を問いただした。
すると彼女の口からとんでもない真実が・・・・
「呪いをかけられた!?」←雪村
「シーっ!声が大きいですよ」←桜子
桜子は人差し指を口の前に持っていき、あたりをきょろきょろと見渡す。
誰かがいたらまずいからだろう。だが、僕は彼女の言っていることが信じられなかった。
「呪いって・・・本気で言ってるの?魔法が実在してるからって嘘言ってるんじゃないよね?」←雪村
「本気です。これは本当にあった出来事なんです」←桜子
「・・・詳しく聞かせてもらおうか?」←雪村
僕は半信半疑のまま、彼女の話を聞くことにした。
「夏休みに入ってから、私は家の手伝いをしながら氷浦の道場で稽古に励んでいました。ある日、高校の友人が声を掛けてくれてデパートめぐりをしようとお誘いを受けまして」←桜子
「デパートめぐりって・・・」←雪村
お嬢様方の最近のはやりは庶民デパートめぐりなのか?
引き続き話を続ける桜子。
「それで私は友人と3人でデパートにやってきました。そこまでは良かったのですが・・・そこのデパートで強盗が入って来たんです。覆面をかぶった男性が5人いて銃を乱射し
て威嚇してきました。私達は魔法師であり、星羅の正義の名のもとに彼らに戦いを挑みました」←桜子
「なるほどね。それで?」←雪村
「覆面の男性は愚かなことに人質を取りました。しかし幼い外見の私を見て気を許したのでしょう。なめられていた隙に友人が覆面の5人のうち3人を魔法で取り押さえました。ようやく状況に気づいたのも遅く、人質は無事に解放し脱出されました。すると後ろにいた残りの1人が私に襲いかかったのです」←桜子
「魔法で防御しつつ攻撃をしかけようとした時、突如大きな爆発が起きました」
「爆発?」←雪村
「突然のことでしたので防御することもできずに私達は衝撃で倒れてしまいました。意識がなくなる前、私の目の前に黒服を来た人が立っていてその人が私の腕を掴んだのです。それから私は気を失ってしまいました」
「・・・」←雪村
「気が付いた時には病院にいました。その時はなんともなかったのですが、念のため検査を受けた結果・・・魔法力が失われていることに気が付いたのです」←桜子
「そのうち元に戻るんじゃない?」←雪村
「それだったらとっくに戻っているはずです!あれからもう何週間も経ってるのに、全く魔法力は戻ってないんですよ!?私も真さんと同じことを考えて、毎朝の稽古も欠かさず続けていました!でも・・・だめでした。魔法力は元に戻らなくて・・・」←桜子
「本当に黒服があんたに呪いをかけたの?ただ単に魔法で「いいえ。それなら病院へ行った際に判断されるはずです。だから私は思ったんです。あの黒服は悪魔の使いで吸血鬼のように「血」ではなく「魔法力」を吸い取る能力を持ってるのではないかと」
「それなら呪いっておかしくない?」←雪村
「魔法師にとって魔法力は命の次に大事なものです!魔法力を奪うなんて呪いとしか言いようがないじゃないですか!」←桜子
「わかったわかったから、近いって」←雪村
興奮した桜子は僕にぎりぎりまで顔を近づけてきたため両手でそれ以上来るなと
ジェスチャーした。それで気づいたのかパッとすぐさま離れて「すっ、すみません」と恥ずかしそうに顔を少し真っ赤にして謝る。
「魔法力を奪う悪魔の使い・・・・正直信じられないけど、とりあえずその呪いを解けば僕は養子にいかなくて済むんだよね?」←雪村
「そうですね。私の魔法力がなくなったのが原因なので、元に戻ればその必要もなくなりますね」←桜子
「分かった。そういうことなら、その黒服野郎を捕まえてあんたの呪いを解いてもらわないと」←雪村
「そんなことが出来るんですか?」←桜子
桜子はできないと思っていたのか、僕の話を聞いて目がキラキラと輝かせる。
「まだ分かんないけど・・・やってみなきゃわかんないでしょ。とりあえず、僕達に協力してくれるよね?黒服探し」←雪村
「はい!もちろんです!ただ・・・・」←桜子
ただ?
「私の両親の了承が、取れたらいいのですが」←桜子
「・・・めんどくさ」←雪村
桜子は両親と連絡を取り、事情説明したあと数分の説得を得て了解を取ることができた。聞いていると、とても優しそうな両親と言う感じがしてなんとなくどこかほっとした。
「それで、私はどうすればいいですか?」←桜子
「僕の上司に会ってもらう。病院で見てもらったと思うけど、研究所で再検査してもらって詳しい原因を突き止める」←雪村
「病院でもだめだったものが研究所で調べれば判明すると?」←桜子
「可能性があるなら一度調べるにしても損はないと思うけど?」←雪村
桜子は考える素振りをして数秒後「わかりました。私やります」と承諾したのだった。
「よし、じゃあ・・・「真さん、申し訳ないんですが・・・一度、氷浦の家に一緒に来てもらえませんか?」
「・・・はっ!?」←雪村




