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魔法師Mの物語  作者:
第四章 雪村真と氷浦家
155/222

氷浦家への養子話

語り手:雪村真


 海の家から戻った後、家に手紙が届いていた。

 差出人を見てみると意外な人物の名前が書いてあり、内容を確認すると

 書いてある日時に1人で来いと書かれてあった。


 ほっといてやろうかとも思っていたけど、伯父さんのことも考えて仕方なく支持に従うことにした。家からあの家までは結構な距離があるから、どうなるかはわからないけど、とりあえず着替えとかを用意などしてたらまるで旅行でもするかのような形になってしまった。


 まぁ、別に誰も気にしないだろう。

 そして指定された日が訪れて朝早く起きて家を出てすぐのところであの人がやってきた。


 めんどくさかったし、時間がなかったので事情をさっさと説明してすぐに別れた。


 「本当、通報されないかどうか心配だよ」←雪村


  

 5時間後、ようやく辿り着いたのは、雪村京三郎が住む雪村邸。

 手紙の中に入っていたICカードを使って頑丈なセキュリティーを突破し中に入った。


 中に入ったとは言ってもまだ中庭。玄関はまだ遠い先にある。

 「広すぎでしょ・・」←雪村


 高校生にこのだだっ広い中庭を歩かせてなにか恨みでもあるわけ?

 この暑い日差しの中・・・・あちぃ。


 玄関までたどり着いてようやく人と会えた。

 家政婦に手紙を見せて大きな広間へと通され「こちらで少々お待ちください」と言われから5分が経過した頃・・・


 「いらっしゃい、真」←祖母

 現れたのは祖母。そして後ろから伯父さんがやってきた。

 「伯父さんも呼ばれたの?」←雪村

 

 僕は祖母よりも伯父さんに声を掛けた。祖母と言ったって去年一度、母の葬儀で顔を合わせて以来だ。とても気軽に声を掛けられることなどできるはずがなかった。

 

 「あぁ。お祖母様に呼ばれて、ついさっき来たんだ」←おじ

 「そうなんだ」←雪村

 

 僕は嘘だと分かった。

 ついさっき来たならここへ来た時にでも会っているはず。

 伯父さんの嘘はいつもばればれだ。そう思いつつも、僕は伯父さんには感謝しているためあえてそうは聞かず黙っていることにした。


「伯父さん、僕宛てに手紙が来たんだけど、なにか聞いてる?ここに来いとしか書かれてなかったんだけど」←雪村

「それは・・・お祖父様がお前に直接説明してくれるそうだ」←おじ

それを聞いて「はっ?」と思わずその言葉が出てしまった。


「お祖父様に会いたくないとは思うが、お祖母様も伯父さんも着いていく。だから・・・会ってやってくれないか?」←おじ

 「・・・わかった」←雪村


 いまいちよく分からないけど、とりあえず了承して祖父がいる書斎へと祖母の後をついて行った。


 「真を連れてきました」←祖母


 書斎に入ると、そこには一人の老人が座布団の上に座っていた。

 いかにも大黒柱という感じのこの老人こそが、雪村京三郎・・・・・。


 「座りなさい」←祖父

 見る気もないのだろう。こちらに顔を向けずにただ「座れ」と言われた。

 じっと見ていると後ろにいた伯父さんに「真、あそこに座ろう」と背中を押されて渋々座ることにした。


 祖母は祖父の隣へ。僕は祖父の正面へ座って、伯父さんは僕の後ろの方へと座る。何かあったときのためだろうと薄々感づく。

 

 「こうして会うのは、初めてだな?」←祖父

 「・・・はい」←雪村

 

 会う機会は何度もあったはずなのに・・・なにをいまさら。

 

 「お前を呼んだのは、これがわしの家に届いたからだ」←祖父

 祖父は懐から一通の手紙を取り出し、机の上に置いた。

 

 「読んでみろ」と言われたので、僕はその手紙を手に取って中身を拝借する。

 

 「・・・・・これって」←雪村

 「知ってると思うが、わしは魔法師一族『氷浦』の次男として生まれた。だが魔法素質がないことが下され施設に預けられた。その後、雪村として現在に至る」


「あれからまったく連絡すらしていなかった氷浦から、わしの元に手紙が届いた。手紙の内容は・・・・わしの孫にあたる雪村真を、氷浦に養子に出してくれないかと」

 

「養子って・・・氷浦には僕と同い年にあたる御息女がいるはずです。なのにどうして」

「交通事故にあったそうだ。詳しくは聞いてないが、それが原因で魔法が使えなくなったらしい」←祖父

「交通事故?」←雪村


「それで、お前に話が来たというわけだ。悪い話ではないだろう?」←祖父

「・・・・本当は、僕なんかいなくなればいいって考えてるんでしょ?」←雪村

「真、やめなさい!」←おじ

 

「僕みたいな魔法素質のある子どもを産んだせいで・・・母さんは貴方と絶縁状態になった。それで伯父さんの力を借りながら僕を育てて・・病気になってもいつも僕が伯父さんと仲良くしてるかってばかり心配して・・・亡くなった後の葬儀には貴方は来ずに来たのは伯父さんとそこに座っているお祖母様だけだった!」←雪村

 

「・・・」←祖父


「僕は氷浦に養子になんて行かないよ。魔法師一族の養子になんて誰がなるもんか!」

「真、待ちなさい!どこへ行くんだ!?」←おじ

「帰るんだよ!離して、伯父さん!」←雪村


「真、落ち着いて」←祖母

「うるさい。祖母だかなんだか知らないけど、あんただってこいつと同じ魔法師嫌いなんでしょ!?今まで母さんを伯父さんにばっか手伝わせて、葬式の時だけのこのこ出てきて、こんな時だけお祖母ちゃんずらすんな!」←雪村

「っ!?」←祖母

「真、お祖母様に謝りなさい!」←おじ

「嫌だ!こいつらは僕を産んだ母さんを毛嫌いしてたんだ。例え祖父母だろうと、母さんを見捨てたこの人達を・・・僕は絶対許さない!」←雪村


 僕は幼少期の頃から母と伯父さんだけが味方だった。

 だけど伯父さんが結婚して家庭を持ってからは、母は伯父に頼みごとをするのをきっぱりやめてしまい、それから僕の味方というのは母だけになってしまった。

 

 祖父が僕を嫌っていたがために、頼ることもできなかった。

 それを知っているからこそ、僕はこの二人を一番に嫌っていた。

 だから、謝りたくなかった。もういっそのこと・・・と構えていたその時だった。


 

「あの・・・大丈夫、ですか?」

 突然どこかから1人の少女が書斎へと入って来た。

 見た感じ、14か15ぐらいの女子である。


「これはこれは・・・お騒がせして、申し訳ない」とあの祖父が深々と謝っている。

「いえ。大丈夫です」と冷静にいう少女は、僕の方に顔を向けてお辞儀をした。


 すると祖父は「真、こちらは氷浦桜子ひうらさくらこさん。先程話していた氷浦家の御息女様だ」←祖父

 「・・・」←雪村


 話はこれだけでは済まされなかった。

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