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魔法師Mの物語  作者:
第四章 雪村真と氷浦家
151/222

雪村が魔法師一族を恨むのは

木野原は連絡先だけを渡してまた来ると言って去って行った。

 

 力輝と雪村はその後、美咲さん達に声を掛けられ、海の家に戻って行った。

 

 その日の夜のことである。

 言い忘れてはいたが、彼らは海の家で寝泊まりをしている。

 一階のお店スペースは男子・二階は女子が使っている。風呂は近くに銭湯あり。

 

 皆は疲れているのかぐっすり眠っている。けれど、力輝はなかなか寝付けなかった。

 木野原が語ったことを思うと、考えずにはいられなかったからだ。

 寝れないので少し外に出ようと寝ている美咲さんと南條さんを起こさないようにそーろっと二階を下りた。


 すると、「なにしてんの?」と声を掛けられ、「はい!?」と大声を出してしまう。

 

 「シー。声がでかいよ」←雪村

 一階から下りてすぐに雪村と遭遇したのだ。どうやらお手洗いに行っていたらしい。


 「びっくりさせないでください。心臓が止まりそうでした・・・」←力輝

 「それはこっちのセリフだよ。あんたもトイレ?」←雪村

 「あっ、いえ。なかなか寝られなくて。ちょっと外に出ようかなって」←力輝

 「さばーく君が襲ってくるよ」←雪村


 「・・・なんでさばーく君?」←力輝

 「なんでって砂漠・・・あっ。じゃあ、すなーく君」←雪村

 「そんなキャラいましたっけ?」←力輝

 「うるさいなぁ。間違っただけでしょ」←雪村

 「(開き直った)」←力輝

 「お前らうるさい」←工藤


 「工藤さん!?」←雪村・力輝

 「声がでかい。今何時だと思ってるんだ?早く寝ろ」←工藤

 工藤さんが眠たい眼差しでこっちを見る。Tシャツに半パン姿、雪村の目には幸せオーラが溢れていた。ようするに、寝間着姿萌え、という感じ。

 

 「ごめんなさい。その、寝られなくて」←力輝

 「雪村、お前もか?」←工藤

 「・・・はい」←雪村

 

 それを聞いた工藤さんは「じゃあ、外にでも行くか?」と二人と一緒に外に出た。

 

 誰もいない夜の海を見つめる三人。

「それで、何があったんだ?木野原に何か言われたんだろ?話してみろ」←工藤

 

 事情説明、省略

 

 「・・・そうか。やっぱり、お前に話したか」←工藤

 「工藤さん、知っていたんですか?私が天龍寺家の子孫だって」←力輝

 「最近知ったばかりだ。部長に呼び出されてお前のDNA鑑定の結果と報告書を見せられた。その時は驚いたよ・・・雪村にも少しだけ話してはいたがな」←工藤

 「そうなんですか!?」←力輝

 「僕が聞いたのは、あいつらがレッドアイだけじゃない、何か別の目的で動いているってことだけ。木野原の話を聞いて初めて知ったんだ」←雪村

 

 「・・・そうですか」←力輝 

 「これであいつらがあんたを狙っている理由は分かった。くだらないよ、魔法師一族は」

 「雪村。あまり他人の悪口をいうな」←工藤

 「工藤さんはこのままほっといていいんですか?」←雪村

 「落ち着け。俺だってこのままにしておくわけにはいかないと思ってる。だが今の状況では手も足も出ない」←工藤

 

 「・・・・魔法師一族なんて滅べばいいんだ」←雪村

 「雪村」

 「分かってますよ。でも・・・腹が立つんですよ」←雪村

 雪村の足元が少しだけ凍っていた。夏なので溶けながらではあるが・・・

 

 「ちょっと向こう行ってきます」←雪村

 「あまり遠くには行くなよ」←工藤

 工藤さんの声を無視して、雪村は歩いて行った。


 

 「心配するな。すぐに戻ってくるよ」←工藤

 「・・・はい」←力輝

 どうしてあんなに怒ったんだろう?と力輝が考えていた時、その答えは工藤さんの口から語られた。

 

 

 「雪村が怒るのも無理はない。あいつは氷浦ひうらという魔法師一族の遠縁にあたるんだが、雪村の祖父は魔法師嫌いで彼が魔法素質があることを知り赤ん坊だった雪村を殺そうとしたんだ」

 

 『こんなもの、わしの孫ではなーい!』

 

 「雪村の祖父は氷浦の次男として生まれたが、魔法素質がなかったため彼を施設に預けた。その結果、魔法師嫌いになったわけだ」←工藤

 

 「そんな・・・魔法素質がないからって」←力輝

 「雪村だけじゃない。研究所にいるやつらの両親・祖父母が同じような経験をしている。魔法師じゃなくても、人間はなんらかのことがあればそんなことをしてもおかしくはないんだ。ひどいことを言っているように聞こえるが・・・人間はそういう生き物だ」

 

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