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魔法師Mの物語  作者:
第四章 雪村真と氷浦家
150/222

力輝の祖先

「なぜなら・・・彼女は魔法師一族の血を引く人間だからだ」←木野原

 

 前にも語った通り、工藤力輝というのは登録するのに必要だった仮の名前。

 本名は過去のたどった限り「雪村美琴」だと名乗ってはいるが、それがあくまで幼い彼女が言ったことであり、それを証明するものは残ってはいない。


 ただでさえ、自分が何者なのかを知らない彼女にまたしても新たな真実となることを語りだす。魔法師一族、木野原崇司は次のように語る。


 「お前はかつて木野原・有栖川・神明・月ノ宮の上を行く魔法師一族、天龍寺家の子孫にあたる。雪村真との兄妹関係を知るためのDNA鑑定の際に、俺の父親が手回しをして詳しく調べた結果それが分かった」←木野原


 「(手回しって・・・?)」←力輝

 だが深く聞かない方がいいと力輝は黙って木野原の話に耳を傾けることにした。


 「天龍寺家は約50年くらい前まで存在した有名な一族だった。しかし、有名なのは魔法師として優れているということだけではない。一族の血を他の血と混合させることを嫌がり、いわゆる近親婚で次世代に繋げていた変わり者の一族でも知られていたのだ」


 「きんしんこん??」←力輝

 「はい、辞書引いて」←雪村

 持っていたのか、雪村は辞書を力輝に渡して「ここを読め」と指を差す。

 

 「・・・・」←力輝・辞書朗読中

 「ようするに血が濃い者同士が結婚するってこと。法律で禁止されてるけどね」←雪村

 「どうしてですか?」←力輝

 「障害のある子どもが生まれてくる確率が高いんだってさ。詳しくは知らないけど」←雪村

 「キスだけなのに?」←力輝

 「はっ?!お前何言って・・・あぁ、そっか。(一年じゃ習わないんだった)」←雪村

 突然何かを思い出し、頭を抱える雪村。その意味を知らないのは力輝だけである。


 「ん?」←力輝

 「とにかく、近親婚で知られていた天龍寺家にある事件が起きた。それは次期当主候補達による相続争いだ」←木野原

 

 「金持ちには良くある話だよね」←雪村

 「その事件の容疑者は天龍寺家の当時当主ご子息の長男から三男で、当主が次期当主を長女に決めたことがきっかけで騒動を起こしたらしい」←木野原

 「うわぁ~ひでぇ~そりゃ怒るよな~」←雪村

 「首謀者は長男で、二人は長男に協力し実の妹を殺害。そしてそれを使用人に見られ当主様の耳に入り三人を処刑しようとした。天龍寺家始まって以来の大問題で、この

 話は今でも魔法師一族の人間ならだれもが知っている話だ」

 

 「それで、その人たちどうなったんです?」←力輝

 「一夜にして天龍寺家は滅びたよ。それをなぜすべて知っているかというと当主の遺書が残っていたからだ。すべては現当主である私のミスであり、それを止められなかった・・・ってね。ようするに自害だ」←木野原

 

 「でもそれなら、こいつが天龍寺家の子孫っていうのおかしくない?」←雪村

 「言い忘れてはいたが、天龍寺家には当時5人の子供がいた。長男・次男・三男・長女・・・そして、次女がいたんだ」←木野原

 

 「その人も、殺されたんですか?」←力輝

 「良い質問だ。誉めてやろう」←木野原

 「嬉しくないです」←力輝

 「天龍寺家の次女は騒動が起きる少し前に、親から勘当を言い渡されたんだ。

 理由は近親婚を嫌がり、外で知り合った男性と結婚させてほしいと言ったことで当主を怒らせたらしい」←木野原

 

 勘当かんどうというのは、親子との縁を切ることを差している。

 続けて言った言葉の意味を理解したため辞書を引くことはなかった。

 

 「そして次女はその男と結婚し、苗字が天龍寺から雪村に変わったんだ」←木野原

 「雪村・・・」←力輝

 「・・・・」←雪村


 

 「それから先のことはまだ調べてはいない。だが、お前は間違いなく天龍寺家の子孫。俺が保証してやる」←木野原

 

 もしそれが本当なら「雪村美琴」という名前が一致する。

 だが実感が持てない。魔法師の素質は理解できたとしても、自分のご先祖がかつて魔法師一族だったなど・・・急に言われても理解しがたい。

 

 「そうと分かれば、魔法師一族は黙ってはいない。騒動を起こしたとはいえ、かつては我々の上に立っていた魔法師だ。お前は今まで通りの普通の生活ががらりと変わるだろう。誰もがお前の身体に流れる『天龍寺家の血』を狙っているのだからな」


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