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魔法師Mの物語  作者:
第三章 記憶回復とレッドアイの暴走
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独りにしないで

「退院したら、皆で海行こう!」←美咲

 

 木野原が返って数時間後、工藤さん・夜見さん・橋屋さん・美咲さんがお見舞いに来てくれた。工藤さんは雪村に話があると言って二人は病室を出て、今は夜見さんと橋屋さんと美咲さんが残る。

 ちなみに影富先輩達は美咲さん達が来る前に帰り、行き違いに。


 「海?」←力輝

 「そそっ。夏と言えばやっぱり海でしょ!」←美咲

 「そうだけどさ~俺達受験生だぜ?そんな呑気なこと言ってられるのかね~」←夜見

 「そうだな。受験生でなくても研究所の仕事もあるし、遊んでる時間なんて」←橋屋

 

 すると力輝から離れて美咲さんは二人に耳打ちで・・・・


 「力輝ちゃんの水着姿見たくないの?」←美咲


 そして男二人は考える。

 バカはすぐに「賛成っす!」と答え、そのあとにへたれが「・・・まぁ、気分転換も必要だしな」と答え、美咲さんの作戦は成功したのでありました。


 「というわけで、皆で海に行きましょう!」←美咲

 「田原先輩。ここ病院ですよ?うるさいです」←雪村

 「そうだぞ。病院内は静かにしろ」←工藤

 

 そこへ戻ってきた工藤さんと雪村が美咲さんを注意する。

 

 「すみません。ついテンションが上がってしまって」←美咲

 「それで、皆で海行くって言ってたけど、誰と誰とで?」←雪村

 「それはもちろんこのメンバーでですよ!」←美咲

 「俺は仕事があるから無理だ」←工藤

 「僕もパスします。なんでこんな暑いのに・・それに人だって多いだろうし」←雪村

  

 「あの・・・海ってなんですか?」←力輝

 

 それを聞いて全員が静まり返る。

 そしてしばらくしてから雪村が口を開く。

 

 「・・・田原先輩、行く日とか決めてるんですか?」←雪村

 「あぁ・・・うん。でも皆の都合も聞いてから日にち固めていこうかと」←美咲

 「おぉ、行く気になったのか?」←夜見

 「別に。説明するより、自分の目で確かめた方が良いと思っただけですよ」←雪村

 「相変わらず、力輝のお兄ちゃんだな。雪村」←工藤

 

 「ちょっ!からかわないでくださいよ。それにもうこいつとは他人だって証明されたんですから」←雪村

 雪村は顔を真っ赤にして工藤さんに反論する。

 

 「そうだな。だが、俺にはお前が立派なお兄ちゃんに見えるけどな」←工藤

 「もうっ。工藤さん、兄妹設定でからかうのやめてくださいよっ」←雪村

 「(照れてる・・・・)」←夜見・橋屋・美咲

 「(・・・なんであんなに顔が真っ赤なんだ?)」←力輝

 

 「じゃあ、退院して様子見て、皆の予定が会い次第、海に行きましょう」←美咲

 


 

 そして退院の日がやってきた。

 「退院おめでとう。これをやる」←木野原

 「どっ、どうも」←力輝

 花束をもらった。後ろでは雪村が木野原を嫌そうに見ている。


 「わざわざそれを言いに来たんですか?」←力輝

 「有栖川達も昨日退院したということを伝えるためのついでだ」←木野原

 「あんたら、またこいつをつけ狙うつもり?」←雪村

 

 「俺達をなんだと思っているんだ。お前は」←木野原

 「雪村、少し言い方が・・」←力輝

 「あんたは黙ってて」と雪村は力輝の前へ出る。

 

 「同じことは繰り返したくないけど、またこいつをあんな目に合わせたら・・僕はどんな手段を使ってもあんたらをつぶすからね」←雪村

 「安心しろ。同じ失敗は二度としない。正直、もうあんな目に合うのは御免だ」←木野原


 木野原は雪村にそういうと、止めてある車の方へと歩いて行った。


 

 「その花束貸して」←雪村

 雪村は力輝が持っている花束を奪うと、それをカチカチに凍らせ地面へと落とす。

 それを足でガシン!と一回踏んだだけでパリン!とあっという間になくなってしまった。

 

 力輝は黙ってその光景を見るのが精いっぱいで、彼に「なんてことするの!?」とも言わなかった。

 

 

 「制御装置だって言っても・・・・所詮は機械だ。それに、僕はもうこれでは制御できないくらい強くなってる」とブレスレットを力輝に見せる。

 

 良く見ると、ブレスレットはカチコチに凍っていて使い物にならなくなっていた。


 「あいつらには気を付けろよ。絶対あいつの仲間の誰かと二人きりには絶対なるな。それと・・・もうあんな無茶をしないって約束して」

 「覚えてないかもしれないけど、僕はもう・・・・あんたのあんな姿見たくないんだ。他人の命より自分の命を優先しろ。例え一度心臓が止まって、生き返るってのが分かっていたとしてもだ」←雪村


 言いたくなかった。こんな事・・・

 だけど、こう言わないとこいつはまたあんな状況になった時、自分のことよりも他人のことを優先するだろう。そうでなければ、あんなことにはなっていないはずだ。

 

 雪村が力輝に伝えたかった本当のこと、それはあの時叫んだ言葉


 「僕を・・・独りにしないで」←雪村

 泣くつもりもなかったが、思い出して涙が溢れてしまった。


 その言葉だけでは寂しがり屋というのが強いかもしれないが、それでも彼は

 力輝に「もうあんな無茶をしないで」「もうあんな姿をみたくない」「自分の命を優先しろ」と言うことを伝えたのだ。

 

 

 「わかりました。だから泣きやんでください」

 「約束します。もう無茶はしません」

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