大切なものは失って気づくもの
「全員、その場を動くなっ!」
「っ!?」←雪村・木野原
見たところ、特殊部隊らしき人間たちが彼らに銃を向けている。
「貴様らを拘束する」
「誰にものを言っている。俺は魔法師一族、木野原家の次期後継者だぞ」←木野原
「抵抗するなら容赦はしない。それが例え魔法師一族の直系だとしてもだ」
「ちっ、バカ共がっ!」←木野原
木野原は魔法攻撃を仕掛ける。
それを見た特殊部隊の隊長らしき人物は木野原に戦闘攻撃を支持する。
雪村は動かない力輝をただじっと見ていた。
そしてこれまでの自分の過去のことを思い返していた。
思い出したくもない忌々しい過去・・・・
唯一の味方で、一番の心の支えだった母の死。
そして・・・・・・大切なものを・・・・また・・・
「僕は・・・・っ、また・・・・・っ!??」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ――――――!!!!
「うわっ。なんだ?!」
「これは・・・・まさかっ!?」←木野原
「・・・・僕をっ・・・・・・・・」
「奴を止めろ!?」←木野原
「僕を独りにしないでっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
すると床から大きな氷の棘が一斉に出てきた。
そして瞬く間にホテル全体の建物が凍りついていく。
「やめろっ!そんなことをしても彼女は帰ってこないぞ!・・・ぐわっ!?」←木野原
木野原の声は雪村には届いていない。
魔力の限界を超えたら魔法は使えない。だが、人には火事場の馬鹿力という言葉がある。
それと同じようなもので、雪村の感情が魔力を増大させ死ぬまで残りすべての力を使って彼らもろとも道連れにしようとしているのである。
「くそぉ!どうにかならんのか!」
「隊長、これ以上防御強化は不可能です!」
「このままでは全員凍死してしまいます!!」
すでに建物は凍りついて、残りは人間のみが残るこの状況。
誰もが死を覚悟していた。
「・・・・っ。・・・ゆき、むら?」
「!?」
すると、近くで声がした。
「・・・・力輝?」←雪村
「泣いてるの?」←力輝
一瞬、錯覚かと思った雪村だが・・・しかし、ちゃんと彼女が目を開けてじっと彼を見ていたのだ。
「お前・・・なんで?」←雪村
「ひっくしゅん!・・さむい」←力輝
「っ!?」←雪村
力輝の言葉で思い出し、雪村は魔法を止める。
人間への氷漬けはぎりぎりセーフであった。
「たっ・・助かった・・・」
特殊部隊はとりあえず一安心だった。
それから、力輝たちは特殊部隊に身柄を拘束されそうとしたところを工藤さん達により止められ病院へと運ばれましたとさ。




