表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法師Mの物語  作者:
第三章 記憶回復とレッドアイの暴走
123/222

僕が払うって言ってるのに、どうしてピザを注文しようとするのかがまったくわからない

 力輝の支度が済み、二人はリオンへと向かうために研究所を出た。

 ちなみに工藤さんの携帯にメールのみを送信済み。今日は来客の接待で忙しそうだったため直接はさけてあえてメールで済ますことにしたのである。


 電車で3駅のところにリオンというショッピングセンターがある。

 日本だけでなく海外にも店舗が多く存在し、名前を知らないものはほとんどいないだろうというほど子どもからお年寄りまで愛されている。

 

 ちなみに力輝達が住んでいる所にはラオンという小さなスーパーがあり、名前は違うがリオンと同じ会社が運営している。

 

 「いつも行くスーパーより大きいですね。駐車場も広いし」

 道に迷いそうですね。と力輝は田舎から出てきた人間のように辺りを見渡す。


 しかし珍しい光景でもない。誰しも初めてなら彼女のような行動をとるはずなのだからけして恥ずかしくもないし怪しくもない。怪しいというのは、雨でもないのにフードを被り顔を隠している人間のことをいうのだ。これが不審者と言う奴である。

 変わった服装・行動をとったりしない限りは誰も気にも留めない。


 「道に迷わないでよ?めんどいし、16歳にもなって迷子センターっていうのも恥ずかしいでしょ?勝手にどっかいかないでね?」と雪村は入る前に忠告する。


 これではまるで親子だ。

 お母さんが子どもに「走り回っちゃダメ」「勝手にどこかへ行かないで」と言っているかのよう。だが、力輝にはそんな経験はないのでただただ彼の言うことに「はい」と答えるしかなかった。


 「とりあえずどこか食べにいこう。おなかすいたし」←雪村

 

 こうして雪村のあとについていく力輝。中に入ればまるで一つの街のような光景が広がる。

 

 たどり着いたのは洋食屋さん。

 さっさと中へと入る雪村にあわててついていく力輝。店員に指示された席に座り、メニューを渡される。

 

 「この中から好きなの選んでいいよ。僕が払うから」←雪村

 「あっ、はい・・・ありがとうございます」と力輝はお礼を言った後にメニューを開く。

 

 洋食屋なのでオムライス・ハンバーグなどがメニューにある。

 しかし見るのはそれよりも値段だった。誰しもが見ないということは絶対にないお値段に力輝は食いつく。

 

 そんな食いついている姿を雪村は黙って観察していた。

 すると店員が水とおしぼりを持ってやって来た。それらを置いた後、「ご注文がお決まりになりましたら、あちらの呼び出しベルを押してくださいませ」と丁寧にお辞儀をして去って行った。

 

 「で。決まった?」←雪村

 「ごめんなさい。もう少し時間をください」←力輝

 「早くしてね。僕おなかすいてるから」←雪村

 

 そうはいうものの、見ていて楽しそうな雪村。だが、おなかがすいていることは事実なので本当に早く決めてほしいとも思っていた。我慢できなかったら先に注文しよっかなとも考え始めた直後、「決まりました」と声をあげる力輝。

 「何にしたの?」と興味深めに聞く雪村。

 すると思わぬ答えが返ってきた。

 

 「これです」と彼女が指さしたのは・・・・・なんとピザだった。

 これを見て彼は黙っているはずもなくすぐさま「却下」と答え「これとこれとこれから1つ選んで。それを頼むから」と強制選択を申し込んだのだ。

 

 ピザはちなみにお値段400円であった。

 力輝は自分のなにがいけなかったのかがまったくわからぬまま雪村の指示に従いハンバーグを注文することにした。

 すぐさま呼び出しベルを押して店員に雪村が「煮込みハンバーグ1つとチーズハンバ-グ1つ。ドリンクバー2つで」と答えると店員は「以上でよろしいでしょうか?」と聞き

 それに同意すると「かしこまりました」と注文の確認をし終えてたあと、「ドリンクバーはあちらの方をご利用ください」と丁寧にお辞儀をして去って行った。

 

 「飲み物取りに行くよ」と店員が去った後、雪村は席を立って力輝を連れてドリンクバーへ。

 

 「いろいろ種類があるんですね?」←力輝

 まるで自動販売機見たい~と珍しいものを見る眼差しの力輝。

 自動販売機は良く目にはするものの、こういうのを見るのは初めてであった。

 

 「ここからコップ取って好きなのを取って。ちなみにおかわり自由だから」←雪村

 「えっ?そうなんですか?」←力輝

 なぜ?と力輝は聞くが「それは僕にもわからない」とさすがの彼も答えらえなかった。

 

 雪村はコーラ、力輝はオレンジジュースをコップに入れて席へと戻った。

 

 しばらくすると注文したハンバーグがやってくる。

 「鉄板が熱くなっていますのでお気を付けください。ご注文は以上でお揃いでしょうか?」と聞いて同意すると「ごゆっくりどうぞ」とお辞儀をして去っていく。

 

 力輝のは煮込みハンバーグ。雪村はチーズハンバーグであった。

 置いてあるナイフとフォークを先に彼女に渡す雪村に一瞬動揺するもお礼を言って受け取り食べることにした。

 

 食べていると雪村が「それ一口ちょうだい」と話しかけてきた。

 「えっ?どうやって??」という力輝に雪村は自分のをナイフとフォークで切り、力輝の空いているスペースに上手に置く。


 「こうするの。あんたもやって」←雪村

 「はい」←力輝

 雪村がしたように作業をして、彼の方へと持っていった。


 「仮にもし、友達とご飯食べに行くって時、こういうこと言われるかもだから覚えておいたほうがいいよ?あんたは言わないかもしれないけどね」と彼は力輝に教える。

 

 だがそれは口実で、本当は力輝のハンバーグも食べてみたかったのが理由でも

 あったのだ。けれど力輝はそんなこと知らずに納得してしまう。

 南條さんと遊ぶ時そう言われたらこうしたらいいんだと。彼の思惑などこれっぽっちも考えていなかった。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ