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魔法師Mの物語  作者:
第二章 記憶喪失と兄妹関係
108/222

彼の中ではもうすでに…

雪村は目が覚めた時には、外は夜になっていた。

 

 「はぁ・・・寝ちゃったのか」

 隣にはまだ寝ている彼女の姿。それを見た雪村は、彼女を起こさないようにぽんっと頭に手をそっと乗せる。


 「・・うぅ」←力輝

 「なにやってんだか」と雪村はベッドから出て彼女を起こす。


 「起きろ」

 「・・・うぅ~なに?」

 「おなかすいた。なんか作って」

 「・・うん。ちょっと待ってて」と眠いながらに立ち上がり、台所へと向かう力輝を後ろから

 じっと見つめる雪村。


 それから数分後

 「はい。おまたせ」

 今回は雪村のリクエストで卵焼きを作った。


 『卵あるなら、卵焼き作って』と言ったからだ。

 

 「でも、どうして卵焼きなの?」

 「急に食べたくなったの。悪い?」

 「ううん。大丈夫だよ」

 

 そしてあっという間に完食してしばらくしてから「じゃあ、僕帰るね」と帰り支度をする。


 「うん。気を付けてね」

 「・・・うん」

 「ん?どうしたの??」とそう言った時だった。

 

 ギュッ!

 突然雪村が力輝に抱きついて来たのだ。力輝は「えっ?」と何が起こったのかが分からない状況でどうしたらいいのかもわからずそのまま硬直状態だったのだが、それはすぐに解ける。

 

 「ごめん・・・ちょっとよろけた。まだ・・寝たりないみたい」

 「そっ、そうなんだ。もう少しここにいる?」

 「・・・いや、いい」

 「そっ・・そう。じゃあ気を付けて帰ってね」

 「うん」

 

 雪村がよろけたというのはあきらかに嘘だった。

 あれは完全に・・・。

 

 力輝は雪村が帰った後、さきほどのことを思い出してその場からしばらく動けなくなっていた。


 

 研究所を出た後、雪村はさきほどのことを今でも後悔していた。

 正直自分もなにがしたかったのかまったく分からず、これからのことを考えるといてもたってもい

 られなかったのだ。

 彼の中では力輝はもう…『妹という存在をはるかに超えている』ことにまったく気づいていないの

 だから。


 

 そんな時、彼の携帯から着信が入る。

 「もしもし。・・・はい。・・・・了解しました。すぐ現場に向かいます」

 

 


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