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魔法師Mの物語  作者:
第二章 記憶喪失と兄妹関係
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久しぶりの時間

雪村は黒井博士の取り調べに参加するため、しばらく研究所内では力輝と過ごす時間が減っていた。

 

 その変わりに美咲さん・夜見さん・橋屋さんが時々様子を見に来たり、訓練に誘ったりとしていたため、寂しいという気持ちはそんなに感じなかった。

 

 今回の件で雪村が取り調べに参加した理由は聞かされていない。

 黒井博士が警察に身柄を引き渡すまで残りわずかであるため、何か聞きたいことがあるのだろうと自分に言い聞かせて、力輝は今日も平穏に過ごすのである。


 ~昼休み~

 「あれから雪村先輩、学校に来てるの?」←南條

 「最近会ってないから、わかんないけど」←力輝

 「急にどうしたの?喧嘩・・はしょっちゅうってしてるかもだけど、本当になにかあったの?」

 「ここのところ忙しいみたいで」←力輝

 「塾とか?家庭の事情とか?バイトとか?」←南條

 「詳しくは知らないんだ」←力輝

 「そっか~」←南條


 2年A組教室にて。

 「お~い、大丈夫か?」←沼口

 「・・うるさいな。ほっといてよ」←雪村

 「飯も食わずに寝るなよ。ほんとどうしちまったんだ?」←沼口

 「・・Zzzz」←雪村

 「寝るな!まず飯食え」←沼口

 

 

 そして放課後

 「あれ?工藤さん、雪村先輩来てるよ」←南條

 「えっ?」←力輝

 

 南條さんにより、力輝は教室の外を見ると間違いなく雪村の姿が見えた。

 力輝は慌てて教室から出て彼に駆け寄る。

 

 「どうしたの?」←力輝

 「別に。久しぶりに帰りたくなっただけ」←雪村

 「そうなの?あっ、待ってて!すぐ用意するからっ」←力輝

 「・・・・」←雪村

 「先輩、ちょっといいですか?」←南條

 「手短になら」←雪村

 「工藤さんと喧嘩したんですか?」←南條

 「してないよ」←雪村

 「じゃあ、最近一緒に帰ってないのは?」←南條

 「あんたには関係ないでしょ?」←雪村

 「・・・先輩。工藤さんを泣かせるようなことしないでくださいね?」←南條

 「あんたはあいつの親かっ。言われなくてもしないよ」←雪村

 「おまたせっ」

 「工藤さん、じゃあまた明日ね」

 「うん、また明日」

 「行こう」

 「あっ、うん」

 

 

 「南條さんと何を話してたの?」

 「あんたを泣かせるなって話」

 「泣かせる?どういう意味??」

 「分からなくていい」

 「えっ、なんで?」

 「いいから」

 久しぶりに一緒に帰ることができた。こういうのはいつぶりか全く覚えていない。

 気まぐれなのだろうか・・・彼ならそんなことも言いそうな気がする。

 力輝は今なら彼に聞きたいことを聞くことが出来るが、それを話してしまうと彼が

 不機嫌になることを恐れあえて黙っていることにした。

 

 今は、彼の作ったこの時間を大切にすべきだと、彼女はそう思ったのであった。

 

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