すべてはここから始まったわけではない
最初は主人公を語り手にしております。
「外に出たのは、久し振りなのかな?」
「施設を出たのが…最後」
「そうか。ならあとで町を案内しよう」
「…ありがとうございます」
車の中、運転手の男性と会話をする。
これから私の行く場所は、人がたくさんいる場所。そして…
「さぁ、着いたよ」
車から降りた男性に続いて、私も降りる。
魔法科学研究所と大きく看板が立てられていた。
「少しここで待っていてくれ」
男性は私にそう告げた後、入口の大きな扉の横にある小さな黒い箱のようなものを手でいじった後、なにやら話かけている様子が見えた。
どうやら暗証番号を入力後にインターホンに通じる仕組みらしい。
そしてすぐに大きな扉は開き、男性は私の方を向いて手招きをした。
私はそれを見て歩きだし、彼と共に中へと入った。
中へ入ると、私と同じような年頃の人たちがたくさんいた。
そしてなぜか皆、「部長だ」と彼の方をじっと見るついでに「あの子誰?」と視線が私の方へと向かっていった。
「あまりここには顔を出さなくて、珍しがっているんだよ。申し訳ない」
「…大丈夫です」
歩いて5分くらい経った。
ようやく、人が少ない場所へとやってきた。
男性は時計を見て「少し早く着きすぎたな。時間になったら呼ぶから、この部屋で待っててくれ」と開いている部屋に私を入れてどこかへ行ってしまった。
シーンと静まった部屋に一人。
なにもすることがないので、適当に椅子に腰かけた。
「・・・退屈だ」
あそこでは毎日毎日訓練だったから、この時間は退屈だ。
そう考えていると、足音が聞こえてきた。
コツ・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・
部長?はやいな。と思っていたその瞬間ガチャっと扉はきれいに開かれる。
「・・・!?」
部長・・・じゃ、ない!?
誰?
扉を開けたのは部長よりも背が低い男性だった。
「あっ、あの、どちら様ですか?」
「部長からお前を連れてくるように言われた。ついてこい」
自己紹介をしてくれなかった。
私は不愉快な思いを抱いたまま、椅子から立ち上がり彼に着いていくことにした。雰囲気的にこちらから話すこともせず、終始無言のまま歩き続けた。
そして、とある会議室へとたどり着いて中へと入る。
「ご苦労様、二人共こっちに座りなさい」と部長が指示をして、私達は空いている席へと腰かけた。
話が終わり、部長と私、そして彼の三人が残った。
「紹介するよ。彼は工藤棗。君の教育係に任命された」
「よろしく」
この人が教育係・・・・・いやだな。と私は内心逃げたい思いだった。
「さっきも紹介したが、彼女は力輝。明日からここの研修生になるから面倒を見てやってくれ」
じっと見られてる。目線が怖くて目をそらしたいけど・・・
「よろしくお願いします」とそう言って深々と頭を下げた。
今日はこれで一日は終了した。
ぼちぼち魔法も出てきます。




