マジで恐怖体験
俺、竹下圭は、高校2年でサッカー部
3年の先輩が抜けて、新チームを立ち上げたばっかりで、
先輩後輩の立ち位置を、探っている状態。
背は低いが、その分、チーム一持久力があり、主将と共にこのチームで
全国に向けて頑張るぞ。
真っ暗な雲が西の空を覆っているのが見え
アスファルトが濡れる匂いを含む、風が漂ってくる。
ロードに出ていた俺は、雨がやってくる事を確信した。
「先輩、これは来ちゃいますね。ハァーハァー」
一コ下の背が高い生意気な後輩の一人が言う。
「合宿所までの近道で帰ろう」
サッカー部の合宿中、
全員でロードに出たが、4人が遅れ始め、
付き添いとして派遣されたのが 俺だ。
1年の後半からレギュラーを獲った俺とは違い、
よく一学期乗り越えたよなってレベルの4人で、遅いペースのロードにも
遅れる戦力外な奴らなのだが、体格がよく、
目標さえ与えれば、もしかしたら化けるかもしれないし、
いや、化けさそうと奮闘中で、
何より、道も知らない後輩を置いていくわけにも行かない
と言う理由があり、主将の風上ちゃんが、いや風上様が、
「タケ、後方組の引率に行って来て」
この一言で行くハメになった。
「タケ先輩、俺、もう限界っす。休憩させて下さい」
背が高くガタイもいい熊のような男、森下学が言う。
サッカー部でガタイがいい=キーパーって言うのが定説とあって、
その彼は、中学では、もれなくキーパーをしていた経験者な事もあり、
是非ともサブキーパーにしたいチームの意向もあるのだが、
キーパーは、十分したので、今度はフォワードがしたいという
良くある理由(日本ではキーパーのポジションは人気が無い)で、
フィワード見習いにしたが、フォーメーションを理解できない、
走らない、ゴールの枠にボールを蹴れない。
根性ださない、と、どうしようもない子になったんだが、
サブキーパー兼にもなるので、将来性を勝ってはいるが、
はっきり言って、ダメ部員の一人だ。
「いいけど、この様子じゃ、土砂降りになるぞ。
まずは合宿所に戻ろう、ホラ キリキリ走れ」
ええー もう 無理です~って声が聞こえる。
「森下、葛西、忍、仁木、置いていくぞ」
俺は、背が低いので、走りながらこいつらの頭を叩けないので
背中を叩く。って言うか、背中を押しながら、近道になる山の方に入る。
山の中を突っ切るのが最短ルートで、山を迂回しながらアスファルトの道を
走るとまだ、15キロはあるルートだ。
山の中といっても、道はコンクリートで舗装されていて、
快適に走る事ができ、坂の上に大きな公園があり、
その公園の展望台の横を通りすぎると、小さい舗装されていない道があり、
それを下ると合宿所のグラウンド脇に出る、
去年、悪い先輩に教えて貰った近道で、
都会暮らしの俺は、異世界な山の景色を通り過ぎると、
見晴らしの良い公園にでて、そこから見る街の景色に感動した。
ちょっとしたアトラクションルートだ、
だが、去年と違う所は、雨雲が近いことだ。
キラキラした木漏れ日の中、坂道を登るイメージだったが、
薄暗く、白いコンクリートに落ち葉が積もる、なんだか気持ちの悪い道に
なっていた。
「葉っぱに足を滑らすなよ。ジョグで登ろう」
俺が付いているのに、怪我をさす訳にはいかないので、後輩に目を配る。
デカイ熊みたいな森下は、ヒィヒィ言いながら登ってる。
葛西守は、背がヒョロッっと高い奴なのだが、その背中を丸くして
小さくなってフーフー言いながら登っている。
前川忍は、おちゃらけた奴なのだが、1年では人気がある奴らしく、
背も高い方で、イケメンな部類なのだろう。
周りをキョロキョロしながら、登っている。
仁木伸二は、色素の薄い奴で影も薄い、色白で茶髪(天然)で、
背も、俺よりは高いが、中肉中背で天然な性格。
限界なのか限界じゃないのか、いまいち分からない奴でもある。
この後輩4人は、俺にとって別にどうでも良い存在だったので、
腰をすえて会話をした事がなかった。
サッカー部の中で一番持久力のあるのが、俺だったので、
引率に選ばれただけの関係だった。
どんどん暗くなる周りの景色、まだ昼の2時だと言うのに、
異常に暗い。
ドキドキしてきた、一本道なので迷うはずがないのに、
「お前ら、歩いてでも、この道を登れよ、足止めんな。
俺は、ちょっと上を見てくるから」
そう言い残し、俺は、全力で駆け上る。
周りには、不気味な祠や、石碑が見えるが、そんなの無視して
一気に駆け上がる。
雨が降り出した、ポツポツと周りから音がなり、
ひんやりした風が、スーっと流れる。
霧が出てきた。
暗い上に、霧、雨。
だが、足元が見えない分けじゃない、登れる。
不安な気持ちを隠すように、「うぉぉぉおおおおおお」と雄たけびを上げ
駆け上がると、直ぐに平坦な道になり。
公園に辿り着いた。
景色が変わる、雨は降っているが、明るくなり。
霧が眼下に落ち、 公園から見る 街の景色が一面真っ白。
やれやれ、当たり前なのだが、辿り着いて、内心すごくホッとした。
トイレもあれば、自販機もある。
屋根のあるベンチもある。
何より雨宿りしている、人影もある。
登って来た道の先に立ち、下に向かって叫ぶ。
「お~い、 みんな早く上がって来い。 雨宿りできるぞぉぉぉ~」
声の大きさには、定評がある俺だが、
返事は無かった。
俺は、来た道を仕方なしに戻る。
「お~い、 早く上がって来い~~」
もう一度、大声で呼びながら、下る。
返事がない。
何故?
一本道で、迷う所はない。
もしかして、誰かがコケテ怪我でもしたか?
ヤバイ、自分の独断でコースを外れて、部員に怪我でもさせたら、
めちゃくちゃ怒られる。
「お~い」と声をあげつつ
しばらく 下って行くと、
道じゃなく、山のちょっと入った場所で、
ぬぅっと デカイ人影を発見する。
一瞬 びくっ!ってなるが、森下だなと思いなおし、
「森下! 早く上がって来い!」と、怒鳴ってしまう。
きつく言い過ぎたかなと、内心ひやりとする。
だが何故、返事が無いんだ、なんなんだコイツと、
先輩舐めてるのか? むかつく!
もしかしたら人違いか?と
不気味な人影を観察しようとすると、
横から、突然 影が現れる。
俺の腹に手を回しながら、体重を勢いよくかけてくる。
なんだ、なんだ、 と、戸惑いながらも、そいつをかわす、
雨が降っていて、身体が濡れていたのもあるだろう。
ズルっとそいつが、滑ってかわせた
だが今度は、後ろから俺を羽交い絞めにしようとする、
影が新たに生まれる。
汗クサイ、密着するな!
俺は怒りに任せて、身をよじり、影の手を振りほどくが、その時に、
Tシャツが、そいつの指にひっかかり、やぶけてしまう。
やっと影の正体が分かる。
葛西だ、葛西なんだけど、いつもの顔じゃない、
獣のような眼光で、フーフーっと息を荒くしている。
タックルしてきたのは、仁木だった。
上半身裸で、色白の身体が霧の中で、不気味な白さだ。
「お前達、気が狂ったのか」
俺は、Tシャツを破かれ、半チチ状態で、大声で叫ぶ。
後の二匹は、何故、こない。
ハードなのには、する気は無いです。
(実話では、ないが、エンターテイメントドキュメンタリ=妄想小説)