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虫酸が走る

「今までお世話になりました!!」


多くの卒業生と在校生が別れの挨拶をしている。これが、絶対の別れになるとは限らないが、このほとんどが遅いか早いかの違いはあれど、過去の記憶の人物に成り果てる。


そんな場面が幾度となく行われている場所の近くの家の2階の部屋。


カーテンは締め切られ、外の雰囲気とは全く別の空気が充満していた。


暗い部屋の中でキーボードとマウスの音だけが響き渡る。


「これで、めでたく自宅警備員に就職だ・・・。」


その部屋にPCに向かい合っている少年がいた。


外見としては、黒目黒髪。体格は小柄で高く見積もっても中学1年生ぐらいに見える。


まあ彼は、高校3年生のわけだが。名前は、さくら さく


「虫酸が走る!」


咲は酷くイラついていた。それは、前の言葉とは関係ない。


彼が見ているのは、王道系の主人公が村を救うために命懸けで戦う人気アニメが映ったPCのディスプレイだ。


(流石に今季注目の人気アニメだけあって面白い。が、自分が正義だと疑わない性格。倒すものは全員悪党。守るのは虐げられた可哀想な人々。色々あって主人公のハッピーエンド。)


「ばっかじゃなかろうか。死ねばいいのに。とことん精神を貶めたい。」


(全部主人公視点=自己中。お前の考えを押し付けるな。


本当に全員が悪党なのか?きっと主人公は性悪説を信じているのだろう。精神の崩壊から自分を守るために。


後ろに守った人々は善人なのか?きっと主人公は性善説を信じているのだろう。後ろから刺されるのを気にしないために。


作者はハッピーエンドが現実にないことを理解してるからこんな終わり方にするのだろう。)


そんなことを考えつつもディスプレイを見ていると、いきなりヘッドホンからノイズが流れると同時に、ディスプレイが黒く侵食されていく。


「っ!!なんだこれウイルス?いやいやちょっと待てって」


そんな言葉は知らんと言うかのように、画面全体が黒に覆われた。


「ウイルス?故障?なんかよくわかんねえけどディスプレイって、こんな色だっけ?黒は黒なんだけど、なんか黒すぎね?いや、黒というより何も存在していない「無」って感じなんだよな〜。」


咲は、自分で目で見て触ったものしか信じないタチなので、恐る恐るもディスプレイに触れてみた。


「液晶パネルが無い?っ!!!」


液晶パネルが存在しただろう今は黒い場所に触れた瞬間触れた指先を中心にするように、ガラスが割れたかのように青いヒビが入り、次の瞬間抵抗を許さないほどの力でディスプレイの中に吸い込まれていった。


「えっと、異世界召喚ものって魔法陣って決まってんじゃないの?」


とちょっと外れた考えをしている咲であった。





「ここは?」


窓も扉も電気も無い真っ白い部屋に咲はいた。


「初めまして、俺はこの世界では邪神と言われてる存在だ。」


声のする方へ視線を向けると、深紅の目で金髪ツインテールの15歳ぐらいと思われる少女がいた。少女は黒い部屋の色と相反する黒いドレスとまとって不敵に微笑をうかべていた。


(補足情報として胸はAAカップだと思われる。)


目が細められツインテールが威嚇するように揺れ動き、死を意識させられる殺気が押し寄せてくるが、気のせいだろう。気にしたら負けだ。意識した瞬間精神が崩壊してしまうだろう。


「まあ次は無いから注意しなよ。


まず自己紹介からだ。俺の名前は、スティール。君たちよりも高位の位の神に部類される存在だ。」


(神?こんな貧・・・危ない危ない過去の黒歴史の数々が蘇ってきた)


「俺は、桜咲。それで、神が俺になんのようですか?」


「なんか、驚きとか戸惑いとかは一切ないわけ?まあいい・」


「質問に質問ってそれでも神ですか?」


(やれやれ神は常識に疎いらしい。)


「君が遮ってきたからじゃないか!第一き・」


「それでも神ですか?」


(まだわからないらしい、質問に答えてから自分の考えを述べるくらいの知能はあって欲しいものだ)


「神だよ!!そ・」


「神が俺になんのようですか?」


「君ってやつは・・・」


さっきまでの怒りがなくなって呆れた表情でこっちを見てくる。


「神が俺になんのようですか?3回目・・・。」


「世界を救って欲しい。」


(すっげえありがちな理由だな〜)


「魔王を倒せとか、怪物を退治してくれってことですか?」


「いや、そんな奴らは放置してくれても構わない。」


(どうやら違うらしいがどういうことだ?召喚方法もテンプレからづれてるし)


「君は勇者が世界を救う物語を知っているか?」


(ラノベあらネット小説やらを読んできた俺に死角は無い)


「知っていますが?」


「じゃあ物語が終わった後の話を知っているか?」


(物語が終わったら知る訳ないじゃないか)


「知りませんが?」


「まあそれが普通なんだけどね。俺たち神は、基本死なないから、そんな物語のその後を沢山見てきて知っているんだ。世界は複数あるから物語もその数だけあるしね。」


(まあここが異世界なら複数世界があっても不思議じゃないよな)


「面倒なので、結論を手短にお願いします。」


「しょうがないな〜。じゃあ手短に。簡単に言うと、勇者が死んだあと世界は元の状況、つまり救われる前の状態に戻るか、最悪滅ぶんだよ。」


「まあ当たり前でしょうね。ハハッ」


(おっといけないついつい吹き出してしまった。)


「驚かないんだね・・・しかも笑い出すときたか・・・最悪だね☆

そう思った理由を聞かせてもらっても?」


(最悪ね。神から褒め言葉を貰えるとは)


「だって、人々を救っても世界を救ってないから」


「正解だよ。勇者のしたことは世界にとって誤差にしか過ぎない。忘れられたり、無視されたり結局は変わらない。世界に革命を起こさなければ世界の未来は揺るがない。勇者は人々を救うけど、世界は救わない。人々や勇者にとって世界の範囲は知り得る範囲の矮小な範囲でしかない。世界を救った勇者は一瞬を救った勇者に過ぎない。」


「物語は勇者と人々の自己満足でしかない。全ては戯言で妄想にすぎない。」


(だからいつも虫酸が走る)


「俺はそこまではいわないが、そういうことだ。長くなったが、君にはラクサスという世界で自由に過ごしてもらって構わない。年齢は転生じゃないからそのまま旅立ってもらう。もちろん、君たちの世界で言うチートまではいかないが能力を与える。この話は強制じゃないからどうするか決めてくれ。それと質問があるならうけつけよう。」


(異世界に行くのは召喚もので、目的は転生ものっていう感じだな)


「世界を救わせる目的があるのに、行動が自由というのはどういうことでしょうか?」


「簡単だ。君の考え方や行動によってだけでもこの世界の人々は強い影響を受けるだろう。それになにより、面白そうだ。」


「俺の自由にできるのなら面白そうですね。その話受けましょう。文才は皆無だから、行動で最高の物語を作る方がよさそうですし。」


(目指せ最高のラノベwww)


「他の質問は、取説は破り捨てる派なので結構です。」


「俺が選んだだけはあるな。よし、それでは、能力を決めようか、君の世界のPCというのを用意したその中に取得能力をまとめてあるから好きなのを選びな。」





早速そのPCを見ると「ジャンル」や「属性」などに分かれていたり、検索によって探し出せるようになっている。


いくらかいぢっていると大体の使い方がわかってきたので説明すると、手持ちの100Pの範囲で好きな能力を取得できるようだ。


それぞれ、必要なポイントが異なっていて、種類としては、魔法・スキル・アイテムがある。


魔法は、RPGでお馴染みの感じだ。


スキルは、剣技や詠唱短縮などがある。


アイテムは色々あるが、取得するスキルや魔法によって使用できないものもあるようだった。


大魔法でチュドーン。や物理で無双など悩んだが結局のところ俺には合わないと思い断念した。






最終的な能力は、

20p 極限糸(腕装備)・・目視が難しいほどの糸を出すことができる。

            特殊効果 破壊不能


40p ベクトル変換・・・1度に1つまでのベクトルを操作できる。

            なお、対象に触れなければいけない。


30p 並行思考・・・・・2つの事柄を同時に思考できる。


10p 風魔法・・・・・・風魔法が行使できる

            イメージに依存する(強力なものほど魔力の消費量が増幅)


(無双なんてやらねえよ。とことん精神的に殺させてもらう。っていう能力)




「さて、決まったようだし早速言ってもらう。[転送]」


こうして、俺は新しい世界で今までと同じ人生を歩んでいく。




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