2話 国奴法
2話にして突然の説明回です。
1話で奴隷の立場が優遇されすぎていたのでその説明と、ついでに世界観的なのを入れてみました
奴隷の始まりは、約1300年前、一人の王が貧民層の国民をお金を使って娶ったことが始まりだと言われています。
吟遊詩人の詩によれば、町外れにいたとても綺麗な女性に一目惚れした王が、両親に巨万の富を与える代わりにその娘を引き取り、それを見ていた商人が、貧民層の家族から安く子を買い、富裕層のひとに召使いや側室など、様々な用途で、しかも高値で売るという商売を思いついき、それを真似する商人が増え、奴隷というものが定着したとされています。
その王国は平和で裕福だったため、奴隷が使い潰されるということはありませんでした。中には人間以下の扱いをする人もいたようですが。
しかしそれが他国にまで伝わると、その限りではありませんでした。
平和でない、荒れた国にこの商法が渡ってしまい、奴隷をストレスの発散剤として肉体的、精神的、性的な暴行を奴隷に対して行う買い手がたくさん現れたのです。
商人の方も、子供を買うのではなく、貧民層の家族…ときには富裕層の家族からも子供を誘拐し、売りさばくというように変わっていきました。
この頃に、奴隷や奴隷商人という言葉が生まれたらしいです。
それが今から1000年前。
以来900年間、奴隷とは一切の自由が無く、ただ使い潰されるだけの存在でした。
しかし128年前、奴隷の歴史に大波乱が起きました。
世界の奴隷のじつに約三分の一が、一斉に買い手や奴隷商人を殺害したのです。
その奴隷達は全員、先祖の代から奴隷だった人たちでした。
このクーデターは、それまで奴隷として、人間の尊厳を失った先祖達が託した、800年越しの計画だったのです。
800年という時を経て、完全に常識になった『奴隷は逆らわない』といういしきのせいで、商人や買い手達は全員、『奴隷が意志を持った人間である』ということを忘れていたのです。
クーデターを起こした彼らの要求は一つでした。『奴隷の地位向上』…奴隷を人間と認め、人としての生活を約束し、それを永久に変わることの無い世界的法律とすることだった。
人質は生かされた三分の二の買い手…その中にはあえて残された各国の王や皇帝達も入っていました。運の悪いことに、全世界のトップは全員そろって奴隷を大量に購入してたのです。
最初は情報を信じられずに反発する者もいたようですが、その者達は例外なく殺された為、自らの死を恐れた王達は、一も二もなくその要求を受け入れ、法律を作成しました。
…どうして要求が『奴隷制度の撤廃』では無かったのか、と疑問に思う方もいるでしょう。
それは、奴隷の三割から四割は孤児であったからです。
お金がなければ生きることは出来ません。
しかし孤児にはまっとうにお金を稼ぐ方法はありません。これは現在でも過去でも変わりません。
しかし奴隷でさえいれば、最低限の食と寝床は用意されます(水準は本当に最低レベルですが)。
孤児にとって奴隷とはほとんど唯一と言っていい救いなのです。
だから奴隷の解放ではなく、生活の水準の向上を望んだのです。
さて、こうして生まれた『国際奴隷法』…通称『国奴法』は、5つの条文で成り立っています。
1.奴隷商人及び奴隷の主は、奴隷を購入した瞬間から奴隷を不当に傷つけてはならず、健康な生活を保証する義務を負う
2.全ての奴隷は、自らの意思を言語、書面及びその他の手段によって表現する権利を有する
3.全ての奴隷は、国籍及び市民権を獲得する権利を有する
4.この法は即日公布され、翌日から施行される
5.全人類は上記の法全てを永久の法として後世に伝える義務を負う
かなり奴隷の立場が優遇されていますが、奴隷の為の法律なのでこのようなものでしょう。
とにかくこれが、現在の全ての国が守っている国奴法と、その成り立ちです。
法律のとこの言い回しは、日本国憲法を参考にしました。
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