マルク・ヴァンプールの第十三回目のレポート
今回も、なんとか幻獣の一種である存在に出会える事が出来た。
出会った幻獣は、なんとあの人間の血を吸うことで有名な吸血鬼だ。
出会いがしらに空を飛んで襲われるという、とても不思議かつ貴重な体験をしたが、はたして本当に吸血鬼は人間の血を吸うのか? そしてどれほどの脅威があるのか?
前回同様に、その事について調べていきたいと思う。
さて、初めての方もいると思うので、まず幻獣というのがなんなのか。まずはそこから説明していこう。
幻獣とは文字通り、幻とされる獣。
そのまま読めばそうなるが、この本の中では少し意味が異なっている事に気をつけて欲しい。
僕の中の幻獣とは、人間から嫌われ、恐怖を与えさせ、それにより人間の手によって住処を奪われ殺されてしまった存在の事を指す。
なるほど。こう書いてしまうと、ただただ幻獣というのは『いてはいけない存在』と思ってしまうだろう。
だがそれは違うと、僕は考える。
確かに中には凶暴で、恐ろしい存在もいるだろう。だけれど中には人間と友好的な存在もいるだろう。
もちろんこれは僕の勝手な思考だ。ほとんどの人がそうは思えないだろう。
しかし、僕はこれまでそういった存在と関わってきた。もし凶暴な存在しかいなければ、いままで僕は本を出す事が出来なかったであろう。
信じるか信じないかは、もちろん自由だ。でもこれだけは分かって欲しい。
たとえ忌み嫌われる存在だとしても、きちんと手を取り合えば共に歩む事が出来るのだと。
それでは、今回出会った吸血鬼の特徴について説明しておこう。ちなみに今その吸血鬼は、日ざしに当たってしまったからか気絶してしまい、偶然見つけた小屋のベットの上に寝かせている。
外見は八~十歳くらいの少女。ロングヘアーの金髪でとても可愛らしいブローチを着けている。中身を見てみたいところだが、勝手に見てしまうのは人としていけない行為なので、我慢する事にしている。格好は白いネグリジェの上に何故か黒いマントを羽織っていた。
襲い掛かってきた時はどうしようかと思ったが、こうして見てみると、ただの幼い少女が眠っているだけだ。
だが話し方がかなり少女にしては独特で、まるで貴族の令嬢みたいな話し方だった。もしかすると、この吸血鬼は前は人間で、他の吸血鬼に噛まれて自身も吸血鬼になったかもしれない。
ともあれこれは仮定なので、真実は分からないがこれからこの吸血鬼について調べていきたいと思う。