表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣観察物語~吸血鬼~  作者: Douke
第二章
17/24

パート15

 そこから先の、マルクとアランの戦いは始めと違い、お互いに剣と剣をぶつけ合う戦いになっていた。

 アランは両手でしっかりと剣を握り、時にマルクの剣を受け流し、時にするどく重い一撃を与える剣術だった。

 対するマルクは、片手に剣を持ち替えたせいなのか空いているもう片方の腕を使い、アランの体に隙が出来る瞬間に拳をアランの銅や顔を殴ってきた。それだけではなく、片手だけで扱っている剣はたとえ流されたとしても、すかさずもう片方の腕で殴りかかる。するどい一撃が来たとしても、すぐに受け流していた。

 それを見ていたミネルは、唖然としていた。

 ある意味当然であろう。何の考えもなしに決闘を挑んだかと思いきや、マルクはスレイと対等に渡り合えているのだから。

 そして、アランも同様に驚き、さらに焦りを感じていた。

(冗談じゃないぞ。この俺が、たかが人間ごときに……!)

「甘いよ」

 まるでアランの心中を読んだかのように、マルクは踏み込んだ。

 今まで剣で直接斬りかかってきた事が無かったマルクがいきなり踏み込んできたので、アランは慌てて剣で防ごうとした。

 けれどマルクは上段からの踏み込みをフェイントとし、いきなり持っていた剣を地面に放り投げた。

 そして。

「なっ!?」

 身構えていたアランの足を奪い、そのまま地面に抑え込み、隠し持っていた果物ナイフを首に押し当てた。

「僕の勝ちだ」

「ふ、ふざけんな! 隠し武器だなんて卑怯だぞ!」

「卑怯? それはそっちの本当の隊長に言ってくれないかな。こっちはただでさえ重い剣を使わされていたんだから」

 そう言ってマルクは立ちあがると、地面に落とした剣を拾い上げ、審判役をしていたアレンの元にへと近づいて行った。剣をアレンに返すと、マルクはその場で膝をついた。

「……久しぶりだな、マルク」

「こちらこそお久しぶりです。約三年ぶりですかね」

 親しげな二人の様子に、その場にいた誰もが衝撃を受けた。

「な、お主……そやつと知り合いなのか!?」

 ミネルがその場にいた人の代表として、マルクに尋ねるとマルクは苦笑した。

「ちょっと昔ね。まあそこらへんの話はまた後にするよ。それよりアレンさん。少しお話しませんか?」

「いいだろう……。おい、エドワード。指示があるまで動くな」

「わ、分かりました……」

 負けた事に対する悔しさか、それとも二人が親しげな関係だという事に対する驚きか。どちらにせよ、アランは素直にアレンの指示を聞いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ