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幻獣観察物語~吸血鬼~  作者: Douke
プロローグ
1/24

パート1

 一人、森の中を歩く青年がいた。

 年齢は若く、おおよそ二十代前半であろう。けれどその頬には、青年には似合わない傷跡が深く刻まれていた。

 格好はこれまた似合わないコートを着ており、頭にはベレー帽を被っていた。

 そしてその手には、旅行用のトランクがあった。

 青年の歩調はどこか焦っているかのように早足だった。

 まだ日は高く、近くに獣のうなり声は聞こえないので、追われているというわけではない。

 ただただ、森の中を早足で歩いていた。

 その顔には、期待と興奮。

 しばらく歩いていると、綺麗な湖があり、その近くに一人の少女が瑚の水を手ですくって飲んでいた。

 しかしその格好は少しおかしく、ネグリジェを着ていて、その上に黒いマントらしきものを身にまとわせていた。

「見つけた……!」

 青年は少女の姿を見た途端、少女に向かって走り出した。

 足音に気付いて、少女は視線を瑚から青年へとゆっくり移した。

 静かに立ち上がると、警戒しながら青年に尋ねる。

「……お主、何者じゃ?」

 その少女に似合わない口調や雰囲気は、まるでどこか高貴の貴族のようだった。

 少女の問いに答えず、青年は少女の元まで走ると、その場で荒れた息を整える。

 ゆっくりと深呼吸をし、少女に向き合った。

「僕はマルク・ヴァンプール。ただの旅人さ」

「……なるほど。旅人であったか。しかしこの先にはただ森が広がっており、森を抜ければただ山があるのみじゃ。戻って別の所を旅するがよいぞ」

「いや、僕の旅にはきちんとした目的があってね。今ここにいる君に聞きたい事があるんだ」

「愚かな人間に答える口は持たぬが、特別に答えてやろう」

 愚かな人間と聞いた瞬間、青年は確信した。

 けれどそれを確認するかのように、青年は少女に尋ねた。

「君は……魔女かい?」


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