一分目
R15的な展開は極力抑えたいです。
自分の泣き声がこんなに惨めな響きを持っているなんて、知らなかった。
ほんの30分前まで、大のお気に入りだったソファーの上が今では恐ろしい場所に変貌していた。
「お願いだから、やめて」
泣いて頼んでも、背後から伸びる力強い腕が私を離すことはない。
「ちひろがいけないんだよ」
耳元で囁かれると、背筋がぞくりと震えた。
Tシャツの裾からすべりこんだ大きな手は、胸元の膨らみを包みゆっくりと揉みほぐしている。
硬い胸に寄りかかるようにして膝に乗せられているから、表情を見ることはできないけれど、軽蔑するように冷ややかな視線は注がれているのだろう。
「私が悪かったの。謝るから、もうやめて。お母さんが帰ってき」
言い終える前に顎をつかまれて振り返るように斜め上を向かされた。
「見せてやればいい」
残酷な言葉は、激しい口付けと共に降ってきた。
無理矢理に口をこじ開けられ、舌を絡ませられていたから、しばらくは話すことはおろか、息をすることさえままならなかった。
それでも、伝えなればいけない言葉があった。
熱く執拗な唇が離れた一瞬の隙を逃さず、口を開いた。
「で、出ていくから」
冷たい怒りを含んだ瞳が揺れて、驚きが浮かんだのは、ひどく意外だった。