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世界はここから…  作者: モノンST


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第1章 第8話 逃走

第1章


第8話 逃走


森の奥の茂みが、大きく揺れた。


ガサガサと枝が擦れる音が響く。


アルトはその場で固まっていた。


さっき倒したゴブリンの体が、足元に横たわっている。


だが問題は――


その奥だった。


茂みの向こう。


暗い木陰の中に、いくつもの影が見える。


「ギッ……」


「ギギッ……」


低く濁った声。


それが一つではない。


二つ。


三つ。


いや、それ以上。


アルトの背中を冷たい汗が流れた。


「……群れ」


さっき鑑定で見た情報が頭に浮かぶ。


ゴブリンは群れで行動する。


つまり。


目の前にいるのは――


複数のゴブリン。


アルトは木の棒を握りしめた。


だがすぐにわかる。


「無理だ」


一体なら戦える。


さっき証明した。


だが三体、四体と同時ならどうなるか。


想像するだけでわかる。


勝てない。


アルトはゆっくり後ろへ下がった。


音を立てないように。


呼吸も静かに。


だがそのとき。


足元の枝が折れた。


パキッ。


その瞬間。


茂みの奥の影が動いた。


「ギャッ!」


一体のゴブリンが飛び出してきた。


そしてもう一体。


さらにもう一体。


合計 三体。


アルトの目の前に現れた。


「くそっ……!」


ゴブリンたちがアルトを囲むように動く。


棍棒を持った手がゆっくり上がる。


完全に敵として認識されている。


逃げるなら――


今しかない。


アルトは地面を蹴った。


全力で走る。


「ギャアッ!」


ゴブリンが叫び声を上げる。


すぐに追いかけてくる。


アルトは森の中を駆け抜けた。


枝を避ける。


木の根を飛び越える。


敏捷が上がったおかげで、体はよく動く。


だが後ろから足音が迫る。


「ギギッ!」


振り向くと、ゴブリンがすぐ後ろまで来ていた。


「速い……!」


アルトはさらに走る。


心臓が激しく鼓動する。


息が苦しい。


だが止まれば終わりだ。


そのとき。


目の前に光の文字が現れた。



緊急クエスト発生


ランク:D


森から脱出する


報酬:体力 +2



「こんなのまであるのか……!」


アルトは歯を食いしばった。


森から脱出。


つまり、村の近くまで戻ればいい。


距離はそれほど遠くない。


だがゴブリンはまだ追ってきている。


「くっ!」


後ろから棍棒が振られる。


アルトは横に跳んだ。


ドン!


棍棒が木に当たる。


木の皮が削れる。


もし当たっていたら、ただでは済まない。


アルトはまた走り出した。


森の景色が流れる。


木々の間から光が見える。


「出口だ……!」


村の外れが近い。


あと少し。


アルトは全力で走った。


その瞬間。


足が軽くなった気がした。


敏捷が上がっているおかげか、体がよく動く。


ゴブリンとの距離が少しずつ開く。


「もう少し……!」


森の出口が見えた。


そして。


アルトは森を飛び出した。


後ろを見る。


ゴブリンたちは森の境界で止まっていた。


しばらくこちらを睨んでいたが――


やがて森の奥へ戻っていった。


アルトはその場に座り込んだ。


「はぁ……はぁ……」


息が荒い。


全身が汗で濡れている。


だがそのとき。


光が体を包んだ。



クエスト達成


報酬獲得


体力 +2



「……助かった」


アルトは空を見上げた。


青い空が広がっている。


さっきまでの緊張が少しずつ消えていく。


だが同時に思う。


「森……危なくなってる」


スライム。


ゴブリン。


しかも群れ。


こんなことは今まで聞いたことがない。


もしかすると――


森の奥で何かが起きているのかもしれない。


アルトはゆっくり立ち上がった。


村へ向かって歩く。


「……もう少し強くならないとな」


クエストを続ける。


もっと強くなる。


そうすれば、また森へ行ける。


そしていつか。


本当に――


冒険者になれるかもしれない。


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