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世界はここから…  作者: モノンST


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第1章 第7話 森の異変

第1章


第7話 森の異変


森の奥から聞こえてきた音は、明らかにスライムとは違っていた。


低く、かすれた声。


まるで何かが唸っているような音。


アルトはその場で動きを止めた。


手に持った木の棒を、強く握りしめる。


「……なんだ?」


森はさっきまで静かだった。


鳥の鳴き声が遠くで聞こえ、風が葉を揺らしていた。


だが今は違う。


空気が少し重い。


何かが近くにいる。


そんな感覚があった。


ガサッ。


また茂みが揺れた。


アルトの視線がそこへ向く。


ゆっくりと、何かが姿を現した。


背はアルトより少し低い。


緑色の皮膚。


尖った耳。


手には短い棍棒。


そして、ぎらついた目。


「……ゴブリン」


アルトは小さく呟いた。


村の大人たちから何度も聞いたことがある。


森に出る魔物。


スライムよりずっと危険な存在。


単体でも強いが、群れで行動することが多い。


「なんでこんなところに……」


普通、村の近くにはあまり出ないはずだ。


だが目の前にいるのは間違いなくゴブリンだった。


ゴブリンもアルトに気づいた。


ぎぃ、と歯を鳴らす。


その目は明らかに敵を見る目だった。


「……」


アルトの喉が乾く。


スライムとは違う。


相手は武器を持っている。


そして知能もある。


逃げるべきか。


それとも戦うべきか。


そのとき。


いつもの光の文字が現れた。



クエスト発生


ランク:D


ゴブリンを1体討伐する


報酬:敏捷 +2



「Dランク……?」


アルトは目を見開いた。


今までのクエストはFやEだった。


それより明らかに高いランク。


つまり、それだけ危険ということだ。


ゴブリンが一歩近づく。


棍棒を持ち上げる。


「チッ……」


アルトは木の棒を構えた。


逃げることもできる。


だが距離はそれほどない。


背中を向ければ追いつかれるかもしれない。


それに――


クエストがある。


敏捷 +2。


その報酬は大きい。


「……やるしかないか」


アルトは覚悟を決めた。


ゴブリンが叫び声を上げる。


そして走ってきた。


「ギャッ!」


棍棒が振り下ろされる。


アルトは横へ飛んだ。


ドン!


地面に棍棒が叩きつけられる。


「速い……!」


スライムとは比べ物にならない。


アルトはすぐに反撃した。


棒を振る。


バシッ!


ゴブリンの腕に当たる。


「ギッ!」


ゴブリンが顔を歪めた。


だが倒れない。


すぐに棍棒を振り回す。


アルトは後ろに下がる。


風を切る音が耳元をかすめた。


「くそ……!」


力も強い。


一撃食らえば、ただでは済まない。


アルトは呼吸を整えた。


相手をよく見る。


動きは速い。


だが、隙もある。


ゴブリンがまた突っ込んできた。


棍棒を振り上げる。


その瞬間。


アルトは横に避けた。


そして。


棒を思い切り振り下ろす。


バシン!


今度は頭に当たった。


ゴブリンがよろめく。


「今だ!」


アルトは続けて二撃目。


三撃目。


ゴブリンが地面に倒れる。


「ギ……」


そのまま動かなくなった。


森が静かになる。


アルトはしばらく動けなかった。


心臓が激しく鼓動している。


「はぁ……はぁ……」


手が震えていた。


だが。


光の文字が現れる。



クエスト達成


報酬獲得


敏捷 +2



「……!」


体が光る。


さっきより体が軽い。


動きが速くなった感覚。


アルトはゴブリンの体を見た。


鑑定を使う。



ゴブリン


低級魔物

集団行動を好む



「集団……?」


アルトの背中に冷たいものが走った。


ゴブリンは普通、群れで動く。


つまり。


この近くに――


「まだいるのか……?」


そのとき。


森の奥から、また音がした。


ガサッ。


ガサガサッ。


一つじゃない。


複数の音。


アルトはゆっくり振り向いた。


茂みの奥で、いくつもの影が動いている。


そして。


低い笑い声が聞こえた。


「ギッ……ギギッ……」


アルトの顔から血の気が引く。


「……マジかよ」


どうやら。


本当に――


群れだった。

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