第1章 第6話 再び森へ
第1章
第6話 再び森へ
村の外れにある森は、朝の光に包まれていた。
木々の隙間から差し込む陽の光が、地面にまだら模様を作っている。
鳥の鳴き声が聞こえ、風が葉を揺らしていた。
昨日の夜とは違い、森の雰囲気はずいぶん穏やかだ。
アルトは森の入口で立ち止まった。
深く息を吸う。
「……よし」
軽く拳を握る。
目の前には、いつもの光の文字が浮かんでいた。
⸻
クエスト
ランク:E
スライムを3体討伐する
進行状況
0 / 3
報酬:筋力 +2
⸻
「三体か」
昨日は一体倒すだけで、かなり苦労した。
だが今は少し違う。
筋力、体力、敏捷。
三つの能力が上がっている。
それだけでも、体の感覚は変わっていた。
「やれるはずだ」
アルトは森の中へ足を踏み入れた。
落ち葉を踏む音が小さく響く。
慎重に周囲を見ながら進む。
昨日スライムと戦った場所の近くだ。
スライムは森の浅い場所に多いと聞いたことがある。
アルトはゆっくり歩いた。
すると。
ぷるん、と何かが動いた。
「いた」
青い体。
半透明の魔物。
スライムだ。
一体だけ、草の上でゆっくり動いている。
アルトは近くに落ちていた木の棒を拾った。
昨日と同じ武器。
だが、気持ちは少し違う。
恐怖はある。
それでも昨日より、落ち着いている。
「行くぞ」
アルトは静かに近づいた。
スライムはまだこちらに気づいていない。
距離は三歩。
二歩。
一歩。
アルトは棒を振り上げた。
そして――
振り下ろす。
バシッ!
昨日より、いい音がした。
スライムの体が大きく歪む。
すぐにもう一撃。
バシン!
そしてもう一度。
三撃目で、スライムの体が潰れた。
青い体が崩れ、地面へ消える。
その瞬間。
光の文字が変わった。
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討伐数
1 / 3
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「よし……!」
アルトは思わず小さくガッツポーズをした。
昨日より明らかに早く倒せた。
やはりステータスが上がっている。
体が軽い。
力も強くなっている。
「あと二体」
アルトは森の奥へ歩いた。
少し進むと、またスライムを見つけた。
今度は二体。
近くの岩のそばで、ぷるぷると動いている。
「二体か……」
アルトは少し緊張した。
一体なら問題ない。
だが二体同時は、まだ経験がない。
「でも……やるしかない」
クエストだから。
アルトは棒を握り直した。
足音を立てないように近づく。
すると。
一体のスライムがこちらに気づいた。
ぴょん、と跳ねる。
もう一体も反応する。
「くっ!」
アルトは最初の一体に向かって棒を振った。
バシッ!
スライムが歪む。
だが後ろのスライムが跳ねてくる。
「うわっ!」
アルトは慌てて横に避けた。
敏捷が上がっているおかげで、動きは速い。
スライムは地面に落ちた。
アルトはすぐにもう一撃。
バシン!
一体目を倒す。
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討伐数
2 / 3
⸻
残り一体。
スライムが跳ねる。
アルトは棒を振る。
バシッ!
そしてもう一撃。
スライムはそのまま潰れた。
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討伐数
3 / 3
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その瞬間。
体が光に包まれる。
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クエスト達成
報酬獲得
筋力 +2
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「……!」
アルトは拳を握った。
腕に力がみなぎる。
今までより、明らかに強い。
ステータスを確認する。
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ステータス
名前:アルト
筋力:8
敏捷:5
体力:6
魔力:3
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「筋力が……8」
昨日まで5だった。
わずか二日でここまで上がるなんて、普通ではありえない。
アルトは自分の手を見つめた。
「これ、本当にすごいスキルだ」
そのときだった。
森の奥から――
低い唸り声が聞こえた。
「……?」
アルトは顔を上げた。
さっきのスライムとは違う音。
もっと重く、低い声。
ガサッ。
遠くの茂みが揺れる。
アルトは息を止めた。
「なんだ……?」
森の奥には、まだ知らない魔物がいる。
その存在が、ゆっくりと近づいていた。




