第2章 第14話 王都冒険者ギルド
第2章
第14話 王都冒険者ギルド
王都アストレア。
中央区の一角にある巨大な建物。
そこが――
王都冒険者ギルド本部だった。
「でっか……」
アサヒが素直に驚く。
村のギルドとは比べ物にならない。
石造りの三階建て。
出入りする冒険者の数も桁違いだ。
アルトたちはその前に立っていた。
アサヒが振り向く。
「ここで情報集めよう!」
アルトは頷く。
「奴隷商人の件か」
「うん!」
アサヒは拳を握る。
「絶対何かある!」
ルミナはアルトの後ろに立っている。
人が多い場所は少し苦手らしい。
アルトは気づく。
「大丈夫か?」
ルミナは小さく頷く。
「……平気」
だが。
ほんの少しだけアルトの服の袖をつかんだ。
アルトは何も言わない。
ただそのままギルドの中へ入る。
扉を開けると――
一気に騒がしい空気が広がる。
「おい!そのクエスト俺のだ!」
「知らねえよ早い者勝ちだ!」
「酒持ってこい!」
完全に戦場みたいな雰囲気だった。
アサヒは少し引く。
「勇者パーティなのに…」
シアンが苦笑する。
「冒険者はこういうものです」
アルトは普通に受付へ向かった。
受付の女性が顔を上げる。
「いらっしゃいませ」
アルトは言う。
「情報が欲しい」
「奴隷商人の件」
その瞬間。
受付の女性の顔が少し固くなった。
「……少々お待ちください」
女性は奥へ入る。
アサヒが小声で言う。
「やっぱり何かある!」
アルトも同じことを思っていた。
(隠してるな)
少しして。
奥の扉が開く。
「お前たちか」
低い声。
出てきたのは――
大柄な男だった。
身長は2メートル近い。
筋肉の塊。
白髪交じりの短髪。
腕を組んでいる。
完全に歴戦の戦士という雰囲気。
受付が言う。
「ギルドマスターです」
アサヒが驚く。
「この人が!?」
男はアルトを見る。
鋭い目。
まるで実力を測るように。
「……なるほど」
男は言った。
「お前がアルトか」
アルトは眉を上げる。
「知ってるのか?」
ギルドマスターは頷く。
「村のギルドから連絡が来ている」
アルトは理解する。
(あのギルドマスターか)
男は言った。
「話がある」
「奥に来い」
アルトたちは奥の部屋へ通された。
部屋は静かだった。
ギルドマスターは椅子に座る。
「まず言っておく」
真剣な顔。
「奴隷商人の件」
「お前たちは関わるな」
アサヒが立ち上がる。
「なんで!?」
ギルドマスターは低い声で言う。
「死ぬぞ」
空気が重くなる。
男は続ける。
「この件は普通じゃない」
「王都の闇だ」
アルトは聞く。
「組織か」
ギルドマスターは頷く。
「そうだ」
「奴隷密売組織」
「かなり大きい」
そして低く言った。
「王国の貴族が関わってる」
アサヒが驚く。
「貴族!?」
シアンは静かに聞いている。
アルトはさらに聞く。
「名前は?」
ギルドマスターは少し考える。
そして言った。
「証拠はない」
「だが噂はある」
「王国の大臣だ」
ルミナの肩がわずかに震える。
アルトは気づく。
ギルドマスターは続けた。
「表では温厚で優しい男」
「だが裏では――」
そのとき。
アルトの頭の中に声。
【クエスト更新】
クエスト
「奴隷商人の闇」
進行条件
王国大臣を調査せよ
報酬
スキル進化
アルトは小さく息を吐く。
(ついに出たか)
ギルドマスターはアルトを見た。
「最後に言う」
「この件から手を引け」
「まだ間に合う」
アサヒは即答する。
「断ります!」
ギルドマスターはため息をつく。
「勇者か」
アサヒは胸を張る。
「はい!」
「悪は倒します!」
ギルドマスターは苦笑する。
「若いな」
そしてアルトを見る。
「お前は?」
アルトは答える。
「クエストが出てる」
ギルドマスター「……は?」
アルトは肩をすくめた。
「だからやる」
ギルドマスターは少し黙る。
そして。
小さく笑った。
「面白い奴だ」
だが。
次の言葉は重かった。
「じゃあ覚悟しろ」
「この件」
「王都の上層部を敵に回す」
アルトは平然と言う。
「慣れてる」
ルミナがぼそっと言った。
「……アルトはだいたい敵作る」
アサヒが笑う。
「でも頼もしいよ!」
シアンも微笑む。
「ええ」
だがそのとき。
ギルドマスターの顔が少し変わった。
ルミナを見ている。
銀髪。
そして。
小さく呟いた。
「……その髪」
「まさか」
アルトは気づく。
(何か知ってるな)
ルミナの秘密を…




