第2章 第11話 勇者パーティの誘い
第2章
第11話 勇者パーティの誘い
王都アストレア。
大通りの端にある小さな広場。
アルト、ルミナ、アサヒ、シアンの四人はその場で立ち話をしていた。
「それでね!」
アサヒは元気いっぱいに言う。
「今ちょうど仲間探してたんだよ!」
アルトは嫌な予感がしていた。
「……まさか」
アサヒは満面の笑顔。
「アルト!勇者パーティ入らない!?」
やっぱりだった。
アルトは即答する。
「断る」
「えええええ!?」
アサヒが本気で驚く。
周囲の人もびっくりしている。
勇者パーティの誘いを即断る冒険者は普通いない。
アサヒは食い下がる。
「なんで!?」
「面倒そう」
アルトは即答だった。
「勇者パーティって絶対大変だろ」
「えー!?」
アサヒは頬を膨らませる。
「魔王倒すんだよ!?」
「そうだな」
「すごいことだよ!?」
「そうだな」
「じゃあなんで断るの!?」
アルトは普通に言った。
「俺は俺のペースで冒険したい」
それが本音だった。
クエストスキルもある。
無理に勇者と行動する必要はない。
アサヒはまだ諦めない。
「でもさ!」
「ルミナも強いし!」
その瞬間。
ルミナが言った。
「……嫌」
即答。
アサヒが固まる。
「え」
ルミナは腕を組む。
「……この人」
アサヒを指さす。
「うるさい」
アサヒ「ショック!」
シアンはクスクス笑っている。
「アサヒ様、嫌われてますね」
「ううう……」
アサヒは落ち込む。
だがそのとき。
シアンがアルトを見た。
じっと観察するような目。
優しい笑顔のまま。
「アルトさん」
「ん?」
「あなた強いですよね」
アルトは肩をすくめる。
「普通」
「ふふ」
シアンは小さく笑う。
「さっきの魔力の流れ」
「かなり綺麗でした」
アルトは少し驚いた。
(見てたのか)
シアンは聖女。
魔力感知が鋭いのだろう。
「それに」
シアンは続ける。
「ルミナさんも強い」
ルミナは無表情。
シアンは優しく言う。
「勇者パーティじゃなくても」
「協力関係くらいはどうですか?」
アルトは少し考える。
完全に断る必要はない。
勇者は王都の中心人物。
情報も集まりやすい。
そのとき。
アルトの頭の中に声。
【クエスト更新】
条件
勇者パーティと友好関係を築く
進行度
0/1
アルトは小さくため息をつく。
(やっぱりか)
アサヒが期待の目で見る。
「どう!?」
ルミナもアルトを見る。
アルトは答えた。
「パーティは入らない」
「でも」
アサヒが身を乗り出す。
「でも?」
「困ったときは手伝う」
それは妥当なラインだった。
アサヒの顔が一気に明るくなる。
「ほんと!?」
「ああ」
「やったー!!」
アサヒはガッツポーズ。
シアンも微笑む。
「それは嬉しいです」
ルミナは少し考えてから言った。
「……アルトがいいなら」
アサヒはルミナに近づく。
「ルミナもよろしくね!」
ルミナは少し後ろに下がる。
「……近い」
アサヒ「また!?」
そのとき。
遠くで怒鳴り声が聞こえた。
「捕まえろ!!」
「逃がすな!!」
兵士たちの声。
アルトは振り向く。
路地から男が飛び出してきた。
ボロボロの服。
必死の顔。
男は叫ぶ。
「た、助けてくれ!!」
次の瞬間。
男はルミナを見る。
そして。
顔が凍りついた。
「……っ」
男は震えた声で言う。
「銀髪……」
ルミナの表情が変わる。
ほんの一瞬だけ。
男は後ずさる。
「まさか……」
その瞬間。
兵士が追いついた。
男は取り押さえられる。
「離せ!」
「俺は悪くない!」
兵士が言う。
「奴隷商人め!」
その言葉に。
ルミナの体がわずかに震えた。
アルトはそれに気づいた。
そして思う。
(奴隷商人……)
(王都の闇か)
そして――
ルミナの過去も。




