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世界はここから…  作者: モノンST
光と闇、善と悪

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第2章 第6話 奴隷契約

第2章

第6話 奴隷契約


王都アストレアの裏通り。


アルトとルミナは再び、あの奴隷商の店の前に立っていた。


薄暗い木造の建物。


扉の上には色あせた看板。


「……」


ルミナは少しだけ後ろに下がる。


明らかに嫌そうだった。


「戻るの……?」


小さな声。


アルトは頷く。


「契約書があるんだろ?」


「……うん」


「なら話つけるしかない」


ルミナは少し迷ったあと、小さく言った。


「……あの人、嫌」


「俺も嫌」


即答だった。


ルミナは少し驚いた顔をする。


「でもまあ、やることやる」


アルトは扉を開けた。


ギィ……


店の中は相変わらず暗い。


鉄の匂い。


奴隷たちの気配。


そして――


奥から声がした。


「おやおやぁ?」


あの男。


細い目の奴隷商。


「これはこれは! 先ほどのお客様!」


男はニヤニヤ笑っている。


「何か不具合でも?」


アルトは単刀直入に言った。


「契約を解除したい」


一瞬。


空気が止まった。


奴隷商の笑顔が固まる。


「……は?」


「奴隷契約。解除」


男の顔から笑みが消えた。


「お客様」


声のトーンが変わる。


「それはできませんねぇ」


「なんで?」


「奴隷契約は正式な契約です」


男は机の下から書類を取り出した。


「こちらをご覧ください」


契約書。


そこには細かい文字が並んでいる。


男はニヤリと笑う。


「購入後の返金、契約破棄は一切不可」


アルトは契約書を眺める。


「ふーん」


ルミナは俯いている。


やっぱり。


無理だ。


そう思っている顔だった。


奴隷商は続ける。


「つまりですね」


「この子はもうあなたの所有物です」


「好きに扱っていただいて結構ですよ」


「もちろん再販売も可能です」


ルミナの肩が震えた。


アルトは静かに言う。


「所有物、ね」


奴隷商は笑う。


「そういう商品ですから」


アルトはため息をついた。


「……じゃあ聞く」


「はい?」


「契約解除の方法」


奴隷商は肩をすくめる。


「ありません」


「本当に?」


「ええ」


アルトは少し考える。


そして――


ルミナを見る。


「ルミナ」


「……なに」


「奴隷紋ってどうやって消える?」


ルミナは少し戸惑った。


「……契約破棄」


「それ以外」


「……主が死ぬ」


店の空気が凍った。


奴隷商が慌てる。


「ちょっ、ちょっと!」


「危険な発言は――」


アルトは笑った。


「冗談だって」


「ははは」


奴隷商は少し青ざめている。


アルトは言った。


「じゃあこうしよう」


「なんでしょう?」


アルトは契約書を指さした。


「この契約」


「いくら?」


奴隷商は一瞬固まる。


「……は?」


「契約の権利」


アルトは続ける。


「解除料みたいなもん」


男は少し考える。


そして――


ニヤリと笑った。


(なるほど)


(こいつ、金で解決する気か)


奴隷商は指を立てた。


「金貨50枚」


ルミナが息を飲む。


とんでもない額だった。


アルトは眉をひそめる。


「高すぎ」


「嫌なら結構ですよ」


奴隷商は笑う。


「この子は珍しい銀髪ですからねぇ」


「他の貴族に売れば100枚でも――」


その瞬間。


アルトの頭の中で声が響いた。


【クエスト更新】


「奴隷少女ルミナを解放せよ」


・契約を破棄

・報酬:スキル進化


(進化?)


アルトの目が少し変わる。


(これはやるしかないな)


アルトは言った。


「わかった」


奴隷商がニヤリと笑う。


「おや、払います?」


アルトは袋を取り出した。


そして机に置く。


ドン。


重い音。


奴隷商が袋を開く。


金貨。


大量の金貨。


男の目が輝いた。


「これは……」


「50枚ある」


アルトは言った。


「契約破棄」


奴隷商は一瞬だけ迷う。


だが――


金貨の誘惑には勝てない。


「……いいでしょう」


男は書類を取り出した。


「契約破棄書」


ペンを走らせる。


そして印章を押す。


ドン。


その瞬間。


ルミナの首の紋様が光った。


パキッ


音がした。


ルミナが目を見開く。


「……え」


首の奴隷紋が――


消えていく。


ゆっくり。


完全に。


消えた。


ルミナは自分の首を触る。


「……ない」


声が震えていた。


アルトは笑う。


「終わり」


「お前、もう奴隷じゃない」


ルミナはアルトを見る。


長い沈黙。


そして小さく言った。


「……なんで」


アルトは肩をすくめた。


「クエスト」


「?」


「まあ、気にするな」


ルミナはまだ理解できていない。


ただ――


確かなことが一つ。


自分は自由になった。


その事実だけだった。


そのとき。


頭の中で声が響く。


【クエスト達成】


「奴隷少女ルミナを解放せよ」


報酬

スキル進化


アルトの体が一瞬光る。


「……ん?」


ルミナが驚く。


「なに」


アルトのスキルが変化していた。


スキル

「クエスト」 → 「クエスト+」


アルトは目を細めた。


(進化した……?)


王都に来てまだ数日。


だが――


物語は確実に動き始めていた。


そして。


自由になった銀髪の少女。


ルミナ。


彼女の運命もまた――


ここから大きく変わっていく。

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