第1章 第37話 新たなクエスト
第1章 第37話
「新たなクエスト」
夜の村ギルド。
ゴブリンキング討伐の報告は、まだ冒険者たちの話題になっていた。
「第二階層でキングだってよ」
「ありえねぇだろ……」
「ロイドのパーティでも苦戦したらしいぞ」
ざわめくギルドの中で、アルトは少し落ち着かない気持ちで立っていた。
ロイドがアルトの肩を軽く叩く。
「今日はもう休め」
「報酬は明日だ」
ローレンが笑う。
「新人にしては派手な戦いだったな」
ミリアも微笑んだ。
「お疲れ様、アルト」
アルトは少し照れながら頭を下げた。
「ありがとうございました」
その時だった。
ギルドマスターが言った。
「アルト」
低い声。
アルトは振り向く。
「少し来い」
ギルドの奥。
小さな部屋。
木の机と椅子だけの質素な部屋だった。
ギルドマスターは椅子に座ると、アルトを見る。
「今回のダンジョン」
「よく生き残った」
アルトは答えた。
「ロイドさんたちのおかげです」
ギルドマスターは小さく笑った。
「謙遜するな」
「お前の動きは見ていた」
「足を狙った判断」
「悪くない」
アルトは驚いた。
(見てた……?)
ギルドマスターは続ける。
「だがな」
「しばらくの間――」
「お前はソロで動け」
アルトは目を瞬いた。
「ソロ……ですか?」
「そうだ」
ギルドマスターは頷く。
「パーティに頼るな」
「一人で戦え」
「一人で判断しろ」
「それができて初めて、一人前の冒険者だ」
アルトは少し考えた。
そして。
「……分かりました」
ギルドマスターは満足そうに頷く。
「いい目だ」
少し沈黙が流れた。
そしてギルドマスターが言った。
「もう一つ話がある」
アルトは顔を上げた。
「王都の話だ」
アルトは少し驚く。
「王都?」
「ああ」
ギルドマスターは腕を組んだ。
「最近、王都で――」
「勇者召喚が行われた」
アルトの目が大きくなる。
「勇者……」
この世界では珍しくない伝説。
異世界から英雄を呼び出す儀式。
ギルドマスターは続けた。
「今回召喚された勇者は」
「女勇者だそうだ」
アルトは黙って聞いていた。
「そして王都にはもう一人」
「聖女がいる」
「その二人を中心に、勇者パーティが組まれるらしい」
アルトは少しだけ遠い世界の話のように感じた。
王都。
勇者。
聖女。
すべてが大きすぎる話だった。
だが。
ギルドマスターの表情は暗かった。
「だがな」
「王都の噂が良くない」
アルトが聞き返す。
「噂?」
ギルドマスターは低く言った。
「人が消えている」
アルトの背筋が少し冷えた。
「貴族」
「商人」
「そして……」
「奴隷」
アルトは眉をひそめる。
「奴隷……?」
「表には出ていない」
「だが、裏で何か動いている」
ギルドマスターはアルトを見た。
「そのうち」
「お前も王都へ行くことになる」
アルトは何も言わなかった。
だが胸の奥で、何かが動いた気がした。
ギルドマスターは最後に言った。
「今は強くなれ」
「一人でな」
「話は終わりだ」
アルトは頭を下げた。
「ありがとうございました」
部屋を出る。
ギルドの騒がしさが戻る。
ロイドたちはもう帰っていた。
アルトは外に出た。
夜の村。
星空が広がっている。
アルトは静かに呟いた。
「ソロか……」
その時。
頭の中に声が響いた。
――スキル《クエスト》が発動します。
アルトの視界に、いつもの文字が浮かび上がる。
⸻
【本日のクエスト】
①
森のウルフを3体討伐
報酬:身体能力微強化
②
薬草採取(5株)
報酬:回復力上昇
③
一人で魔物を討伐
報酬:スキル経験値
⸻
アルトは小さく笑った。
「久しぶりだな」
ダンジョン攻略の間、特別なクエストが続いていた。
だが。
今日からまた――
1日3つのクエスト。
アルトは短剣を見た。
(強くなる)
(もっと)
夜の風が吹く。
遠くの森が揺れる。
そして。
王都。
そこでは今――
勇者。
聖女。
そしてまだ見ぬ運命が動き始めていた。
アルトはまだ知らない。
その王都での出会い。
それが。
彼の運命を大きく変えることになる。
⸻
第1章 完
とりあえず第1章完です
とりあえず書いて投稿している感じです。
たぶん誤字脱字だらけだと思います…
ちょこちょこ編集させて頂きますのでご理解くださいませ。




