第1章 第35話 ゴブリンキング討伐
第1章
第35話 「ゴブリンキング討伐」
巣の奥。
巨大な影がゆっくりと動いた。
三メートル近い巨体。
岩のような筋肉。
そして手に握られた巨大な棍棒。
――ゴブリンキング。
その赤い目が、四人を睨みつける。
ミリアが息を呑む。
「……大きすぎる」
ローレンが笑った。
「最高だ」
大剣を構える。
「こんなデカいのは久しぶりだ」
ロイドは冷静に状況を見ていた。
「ローレン」
「正面は任せる」
ローレンがニヤリとする。
「言われなくてもだ」
ロイドは続けた。
「ミリア、援護」
「アルト」
「隙を見て攻撃しろ」
アルトは頷く。
「はい!」
その瞬間。
ゴブリンキングが咆哮した。
「グオオオオオ!!」
空気が震える。
そして――
突進。
ドォォン!!
巨体が地面を蹴る。
ローレンが前へ出た。
「来い!!」
棍棒が振り下ろされる。
ドォォン!!!
床が砕ける。
岩の破片が飛び散る。
ローレンは大剣で受けた。
ガァァン!!
激しい衝撃。
ローレンの体が数歩後ろへ滑る。
「……重てぇ」
しかしローレンは笑った。
「いいじゃねえか!」
大剣を振り上げる。
そして――
振り下ろす。
ザンッ!!
刃がゴブリンキングの腕を斬る。
だが。
傷は浅い。
ミリアが叫ぶ。
「硬い!」
ロイドが横から斬り込む。
ザシュッ!!
脇腹を斬る。
血が飛ぶ。
ゴブリンキングが怒りの咆哮を上げる。
「グオオオ!!」
棍棒が横に振られる。
ロイドが跳ぶ。
だが衝撃波で体が吹き飛んだ。
ドン!!
壁にぶつかる。
ミリアが叫ぶ。
「ロイド!」
「大丈夫だ!」
ロイドはすぐ立ち上がった。
アルトはその戦いを見ていた。
(強い……)
攻撃が重い。
防御も硬い。
だが。
《危機察知》が教えてくれる。
動き。
隙。
そして。
――足。
(足が弱い)
アルトは低く構えた。
《影歩》を使う。
気配を消す。
静かに移動する。
ローレンがゴブリンキングと正面で戦っている。
大剣と棍棒がぶつかる。
ガァァン!!
火花が散る。
ローレンが笑う。
「いいぞ!」
「もっと来い!」
ゴブリンキングが棍棒を振り上げる。
その瞬間。
アルトが動いた。
地面すれすれを滑るように接近。
そして。
短剣を振り抜く。
ザシュッ!!
足首を深く斬った。
「グオオ!?」
巨体が揺れる。
ロイドが叫ぶ。
「今だ!」
剣を振るう。
ザンッ!!
肩を斬り裂く。
ミリアの矢が飛ぶ。
ヒュッ!
目の横に突き刺さった。
ゴブリンキングが怒り狂う。
棍棒を振り回す。
ドォン!!
ドォン!!
岩壁が砕ける。
巣が崩れそうになる。
ローレンが叫ぶ。
「アルト!」
「もう一回足だ!」
アルトは頷く。
(終わらせる)
呼吸を整える。
《危機察知》が動きを読む。
棍棒が振り下ろされる。
その瞬間。
アルトは突っ込んだ。
足元へ滑り込む。
そして。
全力で短剣を突き刺す。
ザァァッ!!
深い傷。
ゴブリンキングの足が崩れた。
巨体が傾く。
ロイドが叫ぶ。
「ローレン!」
ローレンが笑う。
「任せろ!!」
大剣を大きく振り上げる。
そして。
渾身の一撃。
ザァァァン!!!
首を斬り裂いた。
巨体が揺れる。
一歩。
二歩。
そして――
ドォォォン!!!
ゴブリンキングが地面に倒れた。
巣全体が震える。
静寂。
誰もすぐには動かなかった。
やがて。
ローレンが大きく息を吐く。
「終わったか」
ロイドが剣を収める。
「……討伐完了だ」
ミリアがその場に座り込む。
「はぁ……」
「怖かった……」
アルトも大きく息を吐いた。
(倒した……)
四人で。
ダンジョンのボスを。
ロイドが巣を見回す。
「卵も破壊する」
「ここで増えさせるわけにはいかない」
ローレンが頷く。
「だな」
その後。
四人はゴブリンの卵をすべて破壊した。
巣は静かになった。
アルトはダンジョンの奥を見た。
もう敵の気配はない。
《危機察知》も静かだった。
ロイドが言う。
「帰るぞ」
「調査は成功だ」
四人はダンジョンの出口へ向かった。
その背後には。
倒れたゴブリンキングの巨体が残されていた。
こうして――
第二階層の脅威は。
完全に消えたのだった。




