第1章 第30話 第二階層の洗礼
第一章
第30話「第二階層の洗礼」
「グルルル……」
低い唸り声が第二階層の空間に響いた。
ミリアの光に照らされ、六体のオークソルジャーがゆっくりと前へ出てくる。
鉄の鎧。
分厚い筋肉。
そして巨大な戦斧。
普通のオークとは明らかに違う。
アルトの《危機察知》が小さく震えた。
(……強い)
だが、トロールほどではない。
それでも――
数が多い。
ロイドが静かに言う。
「慌てるな」
「一体ずつ確実に倒す」
ローレンが大剣を肩に担ぐ。
「任せろ」
「俺が正面を引き受ける」
ミリアは弓を構えた。
「援護する」
ロイドがアルトを見る。
「アルト」
「無理はするな」
「隙を見て動け」
アルトは短く頷いた。
「はい」
次の瞬間。
オークソルジャーの一体が吠えた。
「グオォ!!」
ドドドド!!
地面を揺らしながら突進してくる。
ローレンが笑う。
「来たな!」
大剣を振り上げる。
ガァン!!
戦斧と大剣がぶつかる。
火花が散る。
「ぐっ……!」
ローレンが踏ん張る。
パワーは互角。
その横からもう一体が回り込む。
ロイドが動いた。
「させるか」
剣が閃く。
ザンッ!!
オークの腕を斬る。
血が飛び散る。
だが。
オークソルジャーは止まらない。
戦斧を振り上げる。
ロイドが横へ跳ぶ。
ドォン!!
地面が砕ける。
ミリアの矢が飛んだ。
ヒュン!!
矢がオークの肩に刺さる。
「グルル!」
怒りの声。
だが動きはわずかに止まった。
ロイドが叫ぶ。
「アルト!」
アルトはすでに動いていた。
低い姿勢で走る。
オークの死角へ。
そして――
短剣を振る。
ザシュッ!!
膝の裏を斬る。
「グオォ!」
オークの足が崩れた。
ロイドがすぐに踏み込む。
ザンッ!!
首を斬る。
オークソルジャーが倒れた。
ドォン!!
一体撃破。
だが。
残り五体が一斉に動いた。
ミリアが叫ぶ。
「囲まれる!」
ローレンが前へ出る。
「下がれ!」
大剣を横に振る。
ズバン!!
一体の胸を斬る。
だが鎧が硬い。
深くは入らない。
オークが戦斧を振り下ろす。
ローレンが受け止める。
ガァン!!
衝撃が響く。
「ちっ……!」
アルトの《危機察知》が反応した。
右。
アルトは即座に転がる。
ドォン!!
戦斧が地面に叩きつけられる。
(速い……)
トロールよりは弱い。
だが数が多い分、厄介だ。
ロイドが叫ぶ。
「固まるな!」
「動きながら戦え!」
アルトは頷く。
(動きを止める)
再び走る。
オークの背後へ。
短剣を振る。
ザシュッ!!
足を斬る。
オークがよろめく。
ローレンがそこへ突っ込んだ。
「もらった!」
大剣を振り下ろす。
ズバン!!
肩から深く斬り裂く。
オークが倒れた。
二体目。
ミリアが矢を放つ。
ヒュン!!
矢がオークの目に刺さる。
「グアァ!」
ロイドが一瞬で距離を詰める。
ザンッ!!
首を斬る。
三体目。
残り三体。
ローレンが息を吐く。
「はぁ……」
「まだいるな」
ロイドが言う。
「落ち着け」
「まだ余裕はある」
実際、全員まだ大きな怪我はない。
トロール戦よりは確実に戦いやすい。
だが――
油断はできない。
アルトの《危機察知》がまた反応する。
(後ろ!)
振り返る。
オークが戦斧を振り上げていた。
アルトは横へ跳ぶ。
ドォン!!
地面が砕ける。
その瞬間。
アルトは懐へ潜り込んだ。
短剣を振る。
ザシュッ!!
脇腹を斬る。
オークが怯む。
ロイドが踏み込む。
ザンッ!!
首を斬る。
四体目。
残り二体。
ローレンが笑う。
「あと少しだ!」
ミリアが矢を番える。
ヒュン!!
矢が飛ぶ。
オークの肩に刺さる。
ローレンが突っ込む。
「終わりだ!」
大剣が振り下ろされる。
ズバァン!!
五体目が倒れた。
最後の一体。
ロイドがゆっくり近づく。
オークが吠える。
「グオォ!」
戦斧を振る。
ロイドが避ける。
そして。
剣を振るった。
ザンッ!!
首が飛ぶ。
オークソルジャーが倒れた。
ドォン……
洞窟が静かになる。
ミリアが大きく息を吐いた。
「……終わった」
ローレンが笑う。
「思ったよりやれるな」
ロイドは周囲を確認する。
「全員無事か?」
アルトは頷いた。
「大丈夫です」
その時。
アルトの視界に文字が浮かんだ。
⸻
【クエスト更新】
第二階層探索
オークソルジャー討伐
6 / 6
達成
次の目標
第二階層の調査
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アルトはその表示を静かに見つめる。
(……まだ続く)
ロイドが洞窟の奥を見た。
「奥があるな」
ミリアも気づく。
「通路……?」
ローレンが笑う。
「どうする?」
ロイドは少し考えた。
そして言った。
「少しだけ進む」
「調査が目的だ」
アルトは短剣を握り直す。
第二階層。
まだ何がいるか分からない。
だが――
確実に言えることがある。
このダンジョンは。
まだ本当の姿を見せていない。
四人はゆっくりと奥へ進み始めた。




