第1章 第27話 ゴブリンキャプテン
第一章
第27話「ゴブリンキャプテン」
洞窟の広間。
青い鉱石の光が揺れる中——
ゴブリンたちが一斉に動いた。
「ギィアアアア!!」
十体以上のゴブリンがアルトたちへ突撃する。
その後ろで。
巨大な影がゆっくり立ち上がる。
ゴブリンキャプテン。
二メートル近い体格。
鉄の鎧。
手には巨大な戦斧。
そして赤く光る目。
ロイドが叫ぶ。
「前衛、止めろ!」
ローレンが笑う。
「任せろ!」
ドンッ!!
地面を蹴り、前へ出る。
最初に飛びかかってきたゴブリンを——
大剣で薙ぎ払う。
ズバァッ!!
一撃で二体が吹き飛ぶ。
だが数が多い。
左右からゴブリンが迫る。
その瞬間。
ヒュンッ!!
矢が飛んだ。
ミリアだ。
矢は正確にゴブリンの喉へ突き刺さる。
「アルト!右!」
「はい!」
アルトはすぐに動く。
右側から迫るゴブリンへ踏み込む。
爪が振り下ろされる。
アルトは半歩下がる。
空振り。
その隙。
短剣を振るう。
ザシュッ!!
脇腹を斬る。
ゴブリンがよろめく。
アルトは続けて踏み込む。
「はぁっ!」
短剣を突き上げる。
喉を貫く。
ゴブリンが崩れた。
(次!)
アルトはすぐに周囲を見る。
別のゴブリンがローレンへ飛びかかる。
ローレンはすでに二体と戦っている。
アルトは横から回り込む。
短剣を振るう。
ザンッ!!
背中を切り裂く。
ローレンが笑う。
「助かる!」
大剣が振り下ろされる。
ズドン!!
ゴブリンが地面に叩きつけられた。
だがその瞬間。
空気が変わった。
ドン……
重い足音。
広間の中央。
ゴブリンキャプテンが歩き出す。
その目はアルトたちを見ていた。
「ギィ……」
低く唸る。
そして——
斧を振り上げた。
次の瞬間。
爆発的な速度で突進する。
「速い!」
ロイドが叫ぶ。
ゴブリンキャプテンの斧が振り下ろされる。
ドォン!!
地面が砕けた。
ロイドが横へ回避する。
そのまま剣を振るう。
ザンッ!!
肩を斬る。
だが——
浅い。
鎧が硬い。
ゴブリンキャプテンが反撃する。
斧が横に薙がれる。
ロイドが剣で受け止める。
ガァン!!
衝撃が洞窟に響く。
ロイドが一歩後ろへ下がる。
ローレンが叫ぶ。
「隊長!」
「こいつ強いぞ!」
ロイドの目が鋭くなる。
「分かってる」
その時。
ゴブリンたちが再び動いた。
まだ六体以上残っている。
ミリアが矢を放つ。
ヒュン!
ヒュン!
二体のゴブリンが倒れる。
だが残りがアルトへ向かう。
「ギャア!」
三体。
(多い……!)
アルトは呼吸を整える。
一体が飛びかかる。
アルトは横へ回避。
短剣を振るう。
ザシュッ!!
腕を斬る。
だが残り二体。
挟まれる。
(まずい!)
その瞬間。
ドォン!!
ローレンが突っ込んできた。
大剣を振り回す。
ズバン!!
二体まとめて吹き飛ばす。
「下がれアルト!」
「ありがとうございます!」
アルトは距離を取る。
その時。
アルトの視界に文字が浮かんだ。
⸻
【クエスト進行】
ダンジョン第一階層
魔物討伐数
23 / 30
ボス個体確認
ゴブリンキャプテン
追加条件
・ゴブリンキャプテン討伐
報酬大幅増加
⸻
(ボス……!)
つまり。
この戦いが、この階層の山場だ。
その瞬間。
ロイドが叫んだ。
「ローレン!」
「合わせろ!」
ローレンが笑う。
「いいぜ!」
ロイドが前へ踏み込む。
剣が閃く。
ゴブリンキャプテンが斧で受ける。
ガァン!!
火花が散る。
その隙。
ローレンが横から突っ込む。
大剣を振り上げる。
「おらぁぁ!!」
ズバァン!!
鎧が砕ける。
ゴブリンキャプテンが怒りの咆哮を上げた。
「ギィアアア!!」
だがロイドの目は冷静だった。
「今だ」
剣が光る。
一直線の突き。
ザシュッ!!
剣が胸を貫いた。
ゴブリンキャプテンの動きが止まる。
巨大な体が揺れる。
そして——
ドォン!!
地面に倒れた。
静寂。
洞窟の広間が静かになる。
ローレンが息を吐く。
「……終わったか」
ミリアが矢を下ろす。
「ふぅ……」
アルトもようやく呼吸を整えた。
その時。
アルトの視界に文字が浮かんだ。
⸻
【クエスト更新】
ダンジョン第一階層
魔物討伐数
30 / 30
第一階層調査
達成率:92%
報酬
経験値増加
追加報酬あり
次の目標
第一階層奥の調査
⸻
アルトはゆっくり息を吐いた。
(終わった……)
だが。
ロイドはまだ警戒していた。
ゴブリンキャプテンの死体を見ながら言う。
「……おかしい」
ローレンが聞く。
「何が?」
ロイドは答えた。
「ゴブリンキャプテンがいるなら——」
その瞬間。
洞窟の奥から。
ドォン……
重い音が響いた。
アルトの《危機察知》が強く反応する。
(……来る)
ロイドがゆっくり振り向く。
暗闇の奥。
そこから。
さらに巨大な影が動いた。
ミリアが息を呑む。
「……嘘」
ローレンが低く呟く。
「おいおい……」
アルトの背中に冷たい汗が流れる。
暗闇の中から現れたのは——
三メートル近い巨大な影だった。




