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世界はここから…  作者: モノンST
クエスト

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第1章 第16話 決戦、オークリーダー

第一章


第16話「決戦、オークリーダー」


ズシン。


ズシン。


ズシン。


村の入口に、巨大な影が立った。


オークリーダー。


三メートル近い巨体。

筋肉が盛り上がり、皮膚は厚く硬い。

肩には骨で作られた鎧のようなものがかかっている。


その手には——


巨大な斧。


まるで人間の胴体ほどもある刃だ。


「グォォォォ……」


低い唸り声が空気を震わせた。


アルトの喉が乾く。


(……でかい)


近くで見ると、昨日森で見たときよりもさらに巨大に感じる。


普通のオークとは、まるで別物だった。


村の入口に立っていた冒険者たちの足が止まる。


「……おい」


一人が小さく言った。


「冗談だろ……」


別の冒険者が剣を握り直す。


ローレンが低く呟く。


「アルト……」


アルトは視線をオークリーダーから外さないまま答えた。


「……わかってる」


逃げればいい。


そう考えれば簡単だ。


だが、ここは村の入口。


ここを突破されれば——


村人たちは逃げ場がない。


ミリアが静かに言った。


「……ここで止めるしかない」


その声には覚悟があった。


アルトは短剣を握り直す。


手の震えは止まっている。


だが、心臓は激しく鳴っていた。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


その時。


オークリーダーの赤い目が、ゆっくりとアルトたちを見回した。


そして——


口を開く。


「グォォォォォ!!」


咆哮。


空気が震えた。


同時に、オークリーダーが動く。


ドンッ!!


地面を蹴る。


信じられない速度で突進してきた。


「来るぞ!!」


ローレンが叫ぶ。


巨大な斧が振り上げられる。


ブォン!!


振り下ろされた。


アルトは咄嗟に横へ飛ぶ。


ドォォン!!


地面が砕けた。


石と土が飛び散る。


もし直撃していたら——


間違いなく終わっていた。


「速すぎる……!」


アルトは歯を食いしばる。


巨体なのに動きが速い。


普通のオークとは比べ物にならない。


その瞬間。


ローレンが突っ込んだ。


「化け物がぁ!!」


大剣を振り下ろす。


ズガン!!


刃がオークリーダーの肩に当たる。


だが——


浅い。


骨の鎧が衝撃を吸収している。


「ちっ……!」


次の瞬間。


オークリーダーの腕が動く。


横薙ぎの一撃。


ドゴォ!!


「ぐあっ!!」


ローレンの体が吹き飛んだ。


地面を転がる。


「ローレン!!」


ミリアが叫ぶ。


アルトの胸が凍る。


(強すぎる……)


一撃が重すぎる。


正面から戦えば、簡単に潰される。


その時。


オークリーダーの目がアルトを捉えた。


赤い瞳。


明確な敵意。


「グォ……」


ゆっくりと歩いてくる。


ズシン。


ズシン。


アルトは息を整える。


(……落ち着け)


恐怖に飲まれれば終わりだ。


視線を外さない。


相手の動きを見る。


その時。


アルトの視界に文字が浮かんだ。



【クエスト進行】


オーク討伐 3 / 3

オークリーダー 0 / 1


報酬:敏捷+3


追加報酬:スキル獲得の可能性



アルトは歯を食いしばった。


(……これを倒せば)


クエスト達成。


だが、それは簡単な話じゃない。


オークリーダーが斧を振り上げる。


「グォォ!!」


振り下ろされる。


アルトは地面を蹴る。


横へ回り込む。


ドォン!!


また地面が砕けた。


アルトは走る。


背後へ。


そして——


短剣を振るう。


ザシュッ!!


刃が太ももを切り裂く。


「グォッ!!」


オークリーダーが怒りの咆哮を上げる。


巨大な腕が振り払われた。


アルトは飛び退く。


風圧が体を揺らす。


(やっぱり硬い……!)


だがダメージは入っている。


その瞬間。


ミリアの声が響く。


「ファイアボルト!!」


炎の弾が飛ぶ。


ドンッ!!


オークリーダーの背中で爆発した。


黒い煙が上がる。


「グォォォ!!」


怒り狂ったオークリーダーが振り向く。


その隙を逃さない。


アルトが叫ぶ。


「今だローレン!!」


土埃の向こうからローレンが飛び出す。


「おおおおお!!」


全力の一撃。


ズガン!!


大剣がオークリーダーの脇腹に深く食い込んだ。


黒い血が飛び散る。


「グォォォォォ!!」


凄まじい咆哮。


しかし——


まだ倒れない。


むしろ怒りが増している。


オークリーダーが暴れる。


斧が振り回される。


「危ない!」


アルトが叫ぶ。


ドォン!!


ローレンがまた吹き飛ばされた。


アルトの胸に焦りが広がる。


(このままじゃ……)


その時だった。


アルトの体が、ふっと軽くなる。


視界が一瞬だけ広がる。


時間が遅くなったような感覚。


「……?」


アルトは気づく。


オークリーダーの動き。


斧の軌道。


すべてが見える。


(……今だ)


アルトは地面を蹴った。


一直線に突っ込む。


オークリーダーが斧を振り上げる。


だが——


遅い。


アルトは懐に潜り込んだ。


そして。


全力で短剣を突き出す。


「うおおおお!!」


ドスッ!!


刃がオークリーダーの胸に深く突き刺さる。


「グォ……!?」


巨体が揺れる。


アルトはさらに押し込む。


そして叫んだ。


「ローレン!!」


ローレンが立ち上がる。


血まみれの顔で笑った。


「任せろぉ!!」


全力の一撃。


ズバァァン!!


大剣がオークリーダーの首を深く裂いた。


巨体がぐらりと揺れる。


そして——


ドォォォン……


地面に崩れ落ちた。


静寂。


誰も動かない。


数秒後。


アルトの視界に文字が浮かぶ。



【クエスト達成】


オークリーダー撃退


報酬

敏捷+3


追加報酬

スキル獲得の可能性



アルトはその場に膝をついた。


「……終わった」


ローレンが息を吐く。


ミリアが空を見上げる。


村の入口に、ようやく静けさが戻った。


だが——


誰も気づいていなかった。


森の奥。


暗い木々の間で。


何かが、静かにこちらを見ていることに。


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