◇◇【昭和(戦時中)】学友の話02
暑い夏の日に、暑気を忘れて頂ければ、幸いです
土塁は、割と酒に酔って来たのか、色々と向こうでの深い話になってきたみたいだな。
それとは別にしたい話なんだけど...
向こうで釣りの友人たちがいて、いつも、知り合いの漁師さんに頼んで船を出してもらうんだ。
向こうに渡ってからできた友人で、釣り友達なんだ。もう6年の間に7人の釣り友達になったね。
寒い時期は、風が強くて波も粗いけど、いいタラが釣れるんだよー。日本のタラの何倍も大きいんだよ。
向こうでは牛の舌、ベロを食べるんだ。『ビーフタン』と言うんだよ。でねー、その大きなタラもベロがデカいから食べるんだよー
驚いただろー!
「いや、それは、牛もそれこそタラもベロを食べるってー、僕は知らなかったなー。初めて聞いたよ」
「そうーだろ、日本じゃ牛も簡単には食べないよなー。向こうは、肉を良く食べるからなー。
「僕も日本いる時は、すき焼きくらいしか、食べたことがなかったんだー」
「それで、そのタラのベロも新鮮でなければ、いけないから、そんないいタラをワザワザ、危ない思いをしてでも釣りに行くんだよ」
「それで、最近、...とうとう、漁船が荒波で転覆してなー、...助かったのは、ぼくだけだったんだー」
「僕以外の人の遺体は、...奇跡的にあがったんだけども、みんな首から上が、...見つからないんだよー」
「えー、そうなんだー。それは幸運といっていいよなー。最近って、いつのことになるのかな?」
「まー、...3月頃かな。...そこから、英国の占領下だから、色々と迂回しながら、やっと昨日帰って来たんだよーーー!!」
「そうかー、そりゃあー、大変だったなー。辛かった。...よなー!。でも無事に帰れて良かったなー」と二人はいつしか泣いていた。
少し落ち着いて来た頃に「まだ話は残って...、いてなー」
「うん、そうかー、...話してみれよー」
「いやー、さっきの話のヨットの女性がなー、...」
「ああ、女性のデュラハンかー! うん、それが?」
「実はみんなと釣りをしている時に、...見ちゃったんだよなー。服のチェック柄や色までも...クッキリと見えていたんだよなー」
「えー、今度は...実話なのかーーー!! それって、ウワサ話程度じゃあー、ないのかー!」
「いや、これは、あの町だけの...伝承...なんだなーーー!!」
「ほー...、じゃあー、それも...併さって...日本に帰りたくなったのかー?」
「ああ、そうだー...それもあるんだが...」
「さっきの首無しの、...遺体なー...みんな...退役軍人だったようなんだー。...尉官や佐官※だったんだ...」
「それってー! あれ...なのかー、お前は...『首級の首』だと...思ったのかー!」
「ああ、...そうだー!」
※尉官や佐官:尉官{少尉、中尉、大尉}、佐官{少佐、中佐、大佐}
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