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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、

いつもご覧頂きありがとうございます。


今日献血に行って来たら、異様に眠くて全然書けそうに無いので、滅茶苦茶短い更新になります。

ポイント交換で洗剤を貰いました。

やったね。

 無意識に働く力は、制御が出来ない。

 火事場の馬鹿力が良い例だろう。


 日常生活を送るにあたって、常に全力を出していたら、筋肉や骨に重大な損傷が及ぶ。

 同時に莫大なエネルギーを消耗してしまうから、さほど動いていないのに、疲弊して倒れる。


 だから意識的に発揮出来る力には、脳が制限を掛けている。



 しかし生命の危機に瀕すると、脳はそのリミッターを解除し、アドレナリンを大放出する。

 血圧が上がり、脈拍が増大し、エネルギー代謝を高めて運動能力を飛躍的に向上させる。


 また、βエンドルフィンの過剰分泌により、痛覚が鈍くなる。

 別名‘’脳内麻薬‘’と言うだけあり、異様なまでの高揚感を覚える。


 危機的状況にも関わらず、つい笑みが零れたり、多幸感に包まれて万能感を得るのは、そのせいだ。



 命のやり取りにおいて、脳は様々な変化を見せる。


 視野が狭まるトンネル視野になったり、一切の音が聞こえなくなったり。

 また目に映る全ての物がスローモーション再生されているかのように、ゆっくりと見える事もある。


 逆に、ひとつひとつのモノがハッキリと明確に認識出来るようになる明晰視になったり、聴覚が研ぎ澄まされて普段は聞こえないような物音まで敏感に感じ取ったり。

 また時間がギュッと短縮されたように、一瞬で全ての凄惨な出来事が過ぎ去る感覚に陥る事がある。



 ……――今俺の身に起きたのは、果たして、どの現象だったのだろう。



 周囲は見渡す限り、一面瓦礫の山。

 目の前には、血まみれで倒れたカノンとアルベルト。


 俺はこうなるまで、何をしていた……?


 思い出す事は、出来る。

 だけど、何でこうなってしまったのかが、分からない。



 分かるのは、犯人が()だと言う事――……


 見上げた先にある姿に、暫く鏡は見たくないなと、そう思った。



 余所事を考えていた一瞬の隙にそうなったワケでは無い。

 ならば、何故……?



 脳に直接作用するような攻撃を受け、防御態勢を取った事で、猛攻を受ける事となった。

 先端が刃物のように変化した髪束が四方から襲いかかり、眼前からは「破壊」のエネルギーを、目を通して直接叩き込んで来る。


 人体にも「破壊」って使えるんだな。

 初めて知ったよ。



 不幸中の幸いとでも言うべきか、燼霊が周囲の壁を軒並み砂塵と化してくれたので、逃げ場所には困らなかった。


 燼霊と違って、俺は精霊術を使える。


 背後から飛び道具が襲って来ようと、防護壁が防いでくれる。

 その上燼霊の「スキル」は俺よりも劣る。

 対処に手一杯になる事は無い。



 肉体を得て顕現している以上、肉体のダメージが一定以上になれば、この燼霊はコチラの世界から消える。

 とりあえず手数を稼いで、致命傷を負わせよう。


 他の燼霊と違って、血が出る身体なのが気になるが……


 流石に悠長に何故なのかを考察している、余地は無い。

 無事に戦いを終えて、王宮の修繕も終わらせて一段落した頃に、「こんな燼霊が居たんだけど、どう思う?」とカノンと討論でもすれば、有意義な時間を過ごせる事だろう。

 カノンはディベートが好きだから、きっと楽しんで貰えるだろうし、そうなればアリアの機嫌も、少しは取れるかもしれない。


「――そう……」


 どれだけ攻撃を防がれても、勢いを緩める事なく、むしろ手数を増やして来る燼霊の口が、三日月のようにニヤリと裂けた。


「……その、カノンとやらに用事があるの」


 瞳孔が全開になっている、狂気じみた目が視界一杯に映る。

 瞳が赤い上に、白目部分も血走っているせいで、双眸が全て真っ赤に染まっていて、とても怖い。



 だがそんな事よりも……コイツ、思考まで読めるのかよ!?


 精霊に近い精神体なのだから、確かに可能だろう。

 まさか今まで考えてた事も、全て把握されてしまったのだろうか。

 それとも、このほぼゼロ距離だから傍受されたのか。


 前者なら、避難が完全に済むまでの時間稼ぎをしているのだと、バレているよな。



 どれだけ「スキル」を使い慣れていて、技術が優れていようと、俺の感情や記憶の一部でしかない燼霊の持つ「スキル」は、俺のモノから大きく劣る。


 俺の中から、二割から三割程度が欠落しているのかな。

 感情と共に、同じだけの「スキル」が燼霊に渡っているとしよう。


 それでも、俺の中に残っているのは、七割だ。


 俺が違和感なく生活できているのだから、実際はもっと少ない割合だと思う。


 つまりどう足掻いたところで、燼霊が一度に引き出せる力も、総力も、俺の方が段違いで大きい。



 防衛に徹しているのは、あくまで俺まで攻撃をし出したら、余波で王宮に留まらず、王都(ディルクルム)全体が消えて無くなる可能性があるからだ。


 地球を一個丸々破壊出来る力だぞ。

 それ位、余裕で可能だ。



 モチロンいざその時が来れば、加減はする。

 しかし俺の力に燼霊がどう応えて来るかが未知数の間は、その手加減は意味を無くす。


 相手の「スキル」効果を打ち消す力を連発する分には、出力がゼロになるだけだから問題ない。

 周囲への影響は、ご覧の通り打ち消しそびれた分を除いて、被害はゼロになる。


 ご覧の通り、被害ゼロとは言い難い惨状にはなっているが。


 仕方がないじゃない!

 一〇〇の攻撃のうち、消しそびれたたった一つの威力が大き過ぎるんだよ!!

 だからアチコチ破壊されているだけで、ちゃんと防衛はしているの!!!



 燼霊が使っている「スキル」を「創造」による無効化ではなく、同等の力をぶつけて対消滅を狙ったとしよう。

 想定通り、何も起こらないなら良いよ。


 だが、相乗効果を生んでしまった場合がヤバい。


 一瞬で、地図からここら辺一帯が消えてなくなる。

 (オルトゥス)も、ただでは済まないだろうな。


「スキル」がどれだけの猛威を奮うか分からない以上、コッチは防戦に回る他ないのだ。



 ただでさえ打ち消しそびれた燼霊の「スキル」が、次から次へと建造物のアチコチを腐食して、見るも無惨な姿になっていると言うのに。

 被害が拡大しては、避難した人達にも危険が及びそうである。


 この離宮が崩壊するのも、時間の問題だな。



 しかし建物ならば、損なわれてもどうにか出来る。

 人的被害だけは、どうにもならないからね。


 全員の避難が完了するまでは、不慣れだろうが神経を使おうが、防御に徹するしかない。



 「スキル」を使ったとしても、時の精霊(クロノス)の力を借りたとしても、多くの人間を救える程の万能な能力さは無い。


 使える力には限りがあるし、霊力の異常なまでの増加という副作用もある。

 不老不死とは言わないが、死を回避したが故に、今度は死に難い身体に変貌してしまうのだ。


 そんな人外めいた肉体になってまで生きたいとは、考えない人も中にはいるだろう。

 そうなった時の責任を、俺は取りたくない。



 その他の副作用は今の所見られないが、何せアルベルトが大雑把過ぎてなぁ。

 本人に聞いた所で、「特に異常なし」の返答しか貰えないし。


 「再生」による復活が、どう被術者に作用を及ぼすかが不透明な以上、リスクが大きすぎる。

 そんな事を数百、数千単位の人間には出来ない。



「――そう、ソイツも。

 アノ人のために、殺さなきゃ」


 あ、ヤベ。

 近距離なのに、表層意識でアレコレ考えすぎてしまった。

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