神さま、勇む。
いつもご覧頂きありがとうございます。
ちょっと時間無いので、読み返しや誤字脱字チェックもしない下書き状態で一旦アップします。
し終えたら、タイトルも入れます。
申し訳ありませんm(_ _)m
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なう(2025/09/06 21:59:26)
時間取れたので編集しました!
……コレなら、22時アップで良かったですね??(;°ロ°)
夢魔は己に合う触媒が無ければ、肉体が作れない。
元々夢魔が暮らしていた世界が、壊れるまでの大規模な争いに発展した原因である夢魔の秘宝:ガオケレナ。
その植物が奪い合いになった原因が、肉体作りにおいて、唯一触媒と成り得る物だったからだ。
しかもガオケレナは、催淫剤や麻酔剤等、夢魔にとってとても重要な役割を持つ薬の材料にもなった。
そうなると、育つスピードよりも刈り取られる速度の方が早くなる。
そうなれば当然、絶滅の危機に瀕する。
ガオケレナの困った所は、植栽して人工的に数を増やす事が出来なかった事だ。
夢魔の間で何かを育もうと言う発想に、そもそもならなかっただけ、と言う話もあるようだが。
手をこまねく者が多い中、何とか増やせないかと、変わり者が手を尽くしたそうだ。
しかし終ぞその方法は見付からず、結果、戦争が起きて夢魔の世界は滅びてしまった。
同じ方法でも、この世界では増やせたそうだから、土に何らかの問題があったのかな。
知らんけど。
そもそもこの世界には、ガオケレナ以外にも、夢魔の肉体作りに必要な触媒になる素材が溢れている。
わざわざ増やそうとしなくても、採取を遠慮しなくても、容易に増殖するようになったタイミングで、代替品が見付かるとは、なかなかに皮肉な話である。
俺やカノンも含めた、ソコソコ以上の実力を持った冒険者ならば、容易に獲得出来る素材が触媒になる。
例えば大魔熊の右中指の爪や、王冠鳥のトサカ何かは、適合者が多い傾向にあるそうだ。
大魔熊なら、近所の森に沢山いるし、街の近くにも出没する。
獲得するのは容易だろう。
しかし触媒には状態の良い物以外は不適切となる為、報酬は良いがなかなか夢魔が納得のいく物は手に入らないようだ。
その結果、冒険者ギルドの依頼掲示板には、常に木札が掛けられている。
ならば自分達で納得のいく物を獲って来れば良いじゃないか。
そう思うが、夢魔は肉弾戦が特に得意だが、基本的に争い事が不得手である。
戦争を経験しているからだろう。
実力的には強いが、気性的に好んでいない。
その為彼らは、その触媒を得るのに苦労する。
金銭でも解決しにくいのだから、仕方がない。
なので肉体を、なるべく手離したくない。
肉体がないと、お食事が出来ないからね。
夢魔にとってソレは生き甲斐だし、生きる意味でもある。
夢魔たる所以でもあるのだからだろう。
ヤらないと、時間経過と共に精神が疲弊していく。
するとどうなるかと言うと、肉体は好きなように作り放題。
ほぼ不死と思われる夢魔なのだが、やがて消滅してしまう。
ゲシュタルト崩壊みたいな物なのかな。
己が一体何者なのか問いかけた時、肉体さえあれば、行為や五感によって確認出来る。
しかし魂だけでは、同族とのコミュニケーションすらままならなくなる。
そして浮かび上がった疑問に答える事が出来ず、情報処理の過程で、バグが生じる。
木々に化けた夢魔が、そのまま森と一体化してしまったのと同じように、空気に溶けてしまうのだろう。
対価は払うとは言え、半ば無理矢理俺達の実験に付き合わせられた腹いせ程度で、そんな大切な肉体を手放すようなイタズラはしない。
そう言う事だ。
だが現に、方陣の中央に立っていた夢魔は、俺達の目の前で消えた。
とりあえず、周囲に彼の気配は感じない。
何処かに行ったのは、間違いない。
ソレが何処なのか。
五体満足に、精神に何か混ざり物が生じるような不都合も生じず、無事にこの世界に居るのだろうか。
出現を予定していた場所は、王都になる。
カノンが方陣を設置したのは、地下の避難所へと続く通路が隠してある部屋だ。
問題無く着いていれば、手紙を飛ばしてくれる手筈になっている。
だが彼がこの部屋から消えて、既に五分は余裕で経過した。
何かしら、問題が生じていると判断して良いだろう。
あらかじめ持たせていた目印の、気配を探る。
時空の狭間で迷子になっていない限りは、今の俺ならかなり離れた場所まで探れる。
世界の反対側、は流石にムリだが。
地続きになっている、この大陸上なら可能だ。
……――お、いたいた。
普通に、王都に居るな。
何で連絡を寄越さないんだ。
全く、心配して損した。
「イシュク。
さっきのヒト、王都に居るみたいなんだけど。
夢魔ネットワークで連絡取れない?」
「念話のことですか?
少々お待ち下さいね。
……ん、なるほど。
王都の結界が強すぎて、手紙が飛ばせないそうですよ」
結界って、俺が強化した防護壁のせい?
イヤイヤ。
カノンの設置した防護壁からグレードアップした後も、精霊教の司教達は普通に使っていた。
そして設置した後は、特にイジっていない。
カノンとのやり取りだって、さっきまで手紙でやっていたのだ。
この短時間に防護壁が強化された、なんて事は無い。
俺とカノン以外に、設定を変えられる人は居ないんだもの。
念の為カノンに確認を取ったが、当然、何もしていないと言う。
夢魔の使う力と霊力が少し違うように、手紙も何か違うのだろうか。
カノンはイシュクの言葉に「試験用」と言葉を吹き込んだ手紙を、即座に飛ばそうとする。
しかし腕を振り飛ばしても、またカノンの腕に戻って来てしまう。
暫くすると、手紙は風に溶けて消えて行った。
吹き込む言葉を間違えたからと霊力を抜く時は、グニャリと鳥の姿が歪んで消えるのだが、今はサラサラと流れて消えた。
飛ばないからと、カノンが霊力を抜いたのではないようだ。
促され俺も「テスト」とだけ口にして、アリアに飛ばしてみる。
……だが、今度は何の問題もなく飛んで行った。
ソレを見たイシュク達も、それぞれ手紙を飛ばしてみようとするが、カノンの時と同じだ。
一度は羽ばたくが、戻って来てしまう。
脳内会話――念話は問題無く出来るが、手紙は飛ばせない状態である。
どゆこと?
「さっき王都に行った時は、何も問題無かったんだよね?」
「ああ。
異変は特に感じられなかった。
しかし、お前以外の手紙が飛ばせない、となると……」
「あの……賢者様よりも、ジューダス様の方が強いのでしょうか?」
口元に手を当てて、思案するカノンの思考をぶった斬るように、イシュクが横から口を挟んでくる。
長年天上天下唯我独尊状態だったカノンの、矜恃を刺激するような言葉をサラッと口にするんじゃねぇよ。
不機嫌になられたら、話が進まないじゃないか。
シーッ! と黙るようにジェスチャーをした俺の様子を見て、会得したとばかりにひとつ頷いた。
だが黙る事なく、言葉を続ける。
オイ、さっきの首肯はなんだったんだ。
「リワト――先程転移した者ですが、我々の中では精霊術が不得手で、戦闘能力が低い傾向にあります。
しかし念話や感知能力等、霊力を使用しない分野においては、なかなかに優秀です」
「……何が言いたい?」
「王都は、敵襲を受けていませんか?」
言い淀む事なくイシュクは、真っ直ぐカノンの目を見て進言した。
不敬とも取られかねない言葉だ。
ザワっと一瞬のどよめきと共に、緊張が部屋を支配する。
夢魔としても、自分達の同族が一人、王都に居るのだ。
世界に散り散りになっている同胞を、安全な場所で共に過ごしたいと考え、街や王都に店を構える許可を報酬に選ぶような種族である。
数少ない生き残りと言う部分も含めて、仲間意識が高いのだろう。
王都が戦火に包まれようとしているとなれば、他人事ではない。
落ち着きが無くなるのも、無理は無い。
俺が送った手紙は、とうにアリアの元へ着いているだろう。
なのに「何のテストですか?」の一言も返信が送られて来ない。
敵襲云々は確信を持てないが、何かしら起きているのは、まず間違いない。
カノンが王都に行って、帰って来てから、まだ一時間も経っていない。
不穏な事が今まさに起きているのなら、カノンが王都に行った時点で、予兆くらいはあっただろう。
何度も言うが、カノンはシスコンだ。
アリアの身の回りで起きている事、起きそうな事には常に心のアンテナをビンビンに立てている。
そんな心配しなくても良くない? とドン引きするレベルの過保護っぷりだ。
そのカノンが予見出来ないのは、どう考えたっておかしい。
それに何かあったらすぐに避難出来るようにと、使い捨ての紋様具を、今しがた渡して来たばかりなのだ。
瞬殺されない限りは、ココに逃げて来ているだろう。
アリアがいくらブラコンで、カノンから幼少期に貰った花車を押し花にして、一〇〇年以上経った今でも大切に持ち歩いている上に、過去野盗に襲われた際、大人しく金目の物を渡せば命は奪わないと言われ、護衛達の身の安全と、野盗のような下賎な立場に落ちぶれなければ生きていけない程に困窮しているのかと憐れみ、彼らに言われるがまま貴金属を渡したものの、その押し花を「鐚銭貨にもなりゃしねぇ」とバカにされプッツンきて、護衛そっちのけで殲滅してしまった、なんて武勇伝がある位だからね。
ちょっとやそっとじゃ、カノンからの贈り物は壊せないだろう。
そうは言っても、命と天秤に掛けた時には、迷わず自分を選べる。
カノンの最も大切なモノが自分だと、キチンと理解している。
単にその野盗が弱かったから反撃しただけで、分別は付けられるし、優先順位を間違う事は無いのだ。
ソコは信用している。
なのに、来ない。
万が一にも躊躇してたら、宰相閣下殿が首根っこを掴んででも紋様具を使わせている。
ならば導き出せる答えは、襲撃を受けそうになっているが、アリア達はその事実を感知していない。
つまり今はまだ、その時が訪れていない。
準備を始める段階なのか、今この瞬間に終えてコレから攻め込むぜ! なんて状況なのかまでは判断出来ない。
だが少なくとも、まだ大丈夫だ。
手紙は相変わらず飛び立たないが、受け取り手が死んでいる場合の反応とは違う。
なら今出来る事は、一刻も早く王都へ行き、まだ事が起きていないのであれば、その前に徹底的に諸悪の根源を潰す事だ。




