神さま、震える。
いつもご覧頂き、ありがとうございます。
直しきれていない誤字脱字の報告、有難うございます(´;ω;`)
Simejiの誤変換とiPhoneの誤タップ、どうにかなりませんかね。
「世界」って打ち込んで選択したつもりが、見返すと何故か高確率で「世界の歩き方」ってなっているんですよ。
訳分からん……0(:3 )〜 _('、3」∠ )_
コッチはこの術式で簡略出来る。
この術式だと霊力を喰うから、いっその事ふたつに分けてしまおう。
そんな話し合いをしている中で、気付いた事がある。
絶対時間と絶対空間のような、本来古典力学において何物にも依存しない客観的実在とされる事柄は、時の精霊によって管理されている。
その他の人間の認知や意識から独立している存在も、全て主観的に、実在している精霊達が管理している。
その時点で、この世界は地球とは大きく乖離していると言える。
なにせ精霊の感情や采配――好き嫌いのような、本来独立した個人、それぞれの内側に作用している、精神・心理、また気分によって自然現象が左右されてしまうからだ。
地球で天候は大気の状態で左右される。
地殻変動の際に生じる振動が地震となる。
しかしこの世界は違う。
そういう側面もあるのだろうが、精霊の感情によって引き起こされる。
地の精霊が恐れれば大地が揺れる。
水の精霊が歓喜すれば慈雨が染み入る。
火の精霊が怒れば山が火を噴く。
風の精霊が高揚すれば嵐が起こる。
光の精霊が慈愛に満ちれば白夜となり太陽が照らす。
闇の精霊が嘆けば極夜によって世界は闇に包まれる。
あくまで一例だが。
人災ならぬ、霊災とでも言えば良いのだろうか。
感情の働きによって現象が引き起こされるなら、逆もあるだろう。
相手を無力化させる方法を考えるとしようか。
圧倒的な力を見せつけて、恐慌状態に陥らせる。
人質を取って抵抗出来ないようにする、等々……
さまざまな手段があるが、精霊の力を借りればもっとカンタンだ。
生物は未知の物に恐怖するように出来ている。
闇の精霊の力を借りれば、一寸先すら見えない漆桶充ちる空間を作り出せる。
ソコに放り込めば、何なら、目の周りだけその状態を固定すれば、さほど時間も霊力も要せずに、相手を狂わせられるだろう。
だがその場合、闇の精霊の心が相手を同情したり、俺を軽蔑したりしたとしたら、結果は異なってくる。
宵闇程度の暗さしか、結果を出さないかもしれない。
蔑み卑しいと感じた俺の霊力を、根こそぎ持っていくかもしれない。
そんな曖昧で不確かな、気分次第で左右される結果を、転移方陣に持ち込まれたら、溜まったもんじゃない。
その事に気付いてしまった。
イヤ、事故が起こる前に気付けたのは、僥倖と言える。
問題が起きる可能性があるのなら、前もって対処すれば良いのだから。
精霊達は皆、独立した個人だ。
電波で繋がってるとか、共鳴するように感情がリンクするような事は無い。
つまり全員が同時に怒り狂う事も、嘆き悲しむ事も無い。
あぁ、この世界の神様が長い眠りから醒めたら、歓喜の余りに踊り出す位はするかもしれないが。
なにせ皆からしてみれば、命の恩人のようなものだし。
まぁ、極めて稀な現象と言えるだろう。
なので、どうせ馬鹿デカい方陣になるのだ。
方陣の骨格となる部分に、全ての属性を組み込んでしまおう。
そうすれば誰かしら不機嫌で手を貸してくれなかったり、いい加減な仕事をしたりしたとしても、別の属性精霊が補ってくれる。
コレだけ複雑な構造にすれば、複製され難くなるし、起動させるだけで一苦労する仕様に一気に出来る。
風の属性が特出しているカノンには、嫌がられたが。
相反する地属性が、彼は苦手だ。
しかしその苦手を補ってくれる火属性や水属性の精霊術は、決して不得意ではない。
それにカノン位霊力があれば、力技で起動出来るのだ。
つまり、彼が動かす分には何の問題も無い。
消費する霊力が多過ぎるのであれば、霊玉や精霊石を使って、外部から補えば良い。
そうなると、結構ランクの高い霊玉が必要になるが。
やって出来ない事は無いのだ。
問題無い、だろう。
大きな方陣になると、歪まずキレイな円を描くだけで一苦労だ。
方陣の範囲を決める一番外側の円は、家で例えるなら基礎にあたる。
ココを押さえねば、効果が半減所の話ではない。
上に建てられる建物荷重を支えられるだけの、配筋をシッカリしなければ、崩れて出来上がるのは、何の役にも立たない瓦礫のみ。
パンタグラフが切実に欲しい!
……あぁ、創れば良いじゃんね。
何してんだ、俺!!?
「万物創造」は俺のアイデンティティそのものだろうが!!!
最近は精霊術や霊力の万能さ加減が余りにも凄くて、「スキル」の存在を忘れてしまいそうになる。
さっき食堂で保温器を創ったばかりなのにね。
なんてこったい。
イヤ、「スキル」って精霊術で再現出来る事が多過ぎて、あぁ言う機械的な物ならすぐ「んじゃスキルで創るか」となるのだけれど、こういうアナログな事だと、すっぽ抜けてしまうんだよね……
うっかり、うっかり。
製図用パンタグラフは大きいと扱いにくい上に、細かい文字を書くのには向いていない。
あくまで下描き程度にしか使えないが、大きな円をキレイに描けるだけで価値がある。
屋敷の一番奥まった部屋。
創るだけ創って放置されていたその部屋は、使って居なかったため、ホコリが被っていた。
コレではせっかく方陣を描いても、風が吹くだけで攫われてしまう。
まず掃き掃除をして、床を磨き上げる。
その後使い捨てをしない、その上で削れない素材に術式を書き込む際に使う定着材を、床一面に塗った。
この上から霊力の通りが良くなる素材を混ぜた顔料で方陣を描き、乾いたら更に定着材その二を塗る。
カノンの見立てでは、それで劣化を防げる予定との事だ。
ずっと自室にこもっていたし、色々作ってるんだろうなぁ、とは思っていたが。
こんなモノを研究していたのか。
街が天候に左右されないようにする為の方陣は、霊力に任せて石版の表面を削って作った。
あのときはソレで良かったが、転移方陣になると、指示や効力の範囲等、書き込む術式が多くなる。
削るとなると、細かな作業になるのに失敗が許されない。
しかも経年劣化という問題も付きまとう。
ソレを見て、不便を察してどうにか出来ないかと思ったのだろう。
有難い話である。
十分な効果が得られたら、お礼に何か奢ってやらねばだ。
方陣って基本的に、今迄は使い捨ての物だったんだよね。
顔料に混ぜられた霊力に反応する素材は、たった一回でその効力を失う。
しかし似たような性質を持つ素材を複数個混ぜる事で、混ぜた種類分だけ何度か使えるようになった。
今は顔料そのものを見直し、結構な回数使い回せるようになっている。
そして今回の定着材によって、半永久的に使えるようになった、と思われるそうだ。
俺もカノンも、基本的に方陣を使う位なら、自分で精霊に頼んだ方が早いからね。
余り使う機会が無いから、実験の回数が少ないんだよ。
上に置けば冷めたお茶を温める方陣を描いて、五〇回は試したそうだ。
暫くは問題なく作動してくれるだろう。
方陣に込める霊力量で、耐久回数が減る仕様だったら、ほんの数回でダメになるけれど。
ソコまで検証するだけの時間が無かったのだ。
そういう手間の掛かる事は、おいおいすれば良いさ。
今はとりあえず、カノンが自分が行った事の無い場所でも、目印さえあれば転移出来る、その手段を与えてやれれば、それで良い。
パンタグラフを使って下描きをし、固形顔料で床に術式をひたすら書き込む。
クレヨンで床にイタズラ書きをしている気分だ。
ちょっと楽しい。
綴りを間違えたらいけないので、英文(精霊語)を書き慣れている俺が書き込み、カノンがその上から特殊インクでなぞっていく。
インクが乾いたら、定着材を床全体にムラなく塗る。
デカいから、なかなかの肉体労働だ。
その後は「スキル」を駆使して創った、転移先の切替装置と方陣を繋げたり、安全装置や不具合が起きた時に光る警告灯を設置したりした。
何だかこの世界にそぐわない、ヤケに機械的な部屋が完成してしまったな。
床の模様だけが、異色を放っている。
転移における指定座標となる、受け手側が持つ目印は、時の精霊の紋様が描かれたムーンストーンのような、幻想的な輝きを帯びた精霊石だ。
アルファベットのRを思わせる、ルーン文字のライゾが彫られている。
一見ただのお守りだが、実際には、時の精霊の力を増幅させる術式と、誰かが転移してくる事を報せる合図として発光する仕掛けなんかが彫られている。
その他にも念の為、座標を指定する側とされる側、両方が同時に転移しようとした場合、どちらか片方の術式展開がキャンセルされるようにしておいた。
限りなくゼロに近い確率でしか起きない事故だけれど、俺とカノンならば、絶対に起こらないとは言えないからね。
持たせるのはアリアと宰相閣下殿。
あとアルベルトと、一応俺とカノンの五人だ。
それぞれに番号を振ってある。
この部屋の方陣を使って、個人の場所に転移をする場合は、地名ではなく、その割り振った番号を指定して転移する事になる。
小さい文字の中に、複数個術式を刻むのは、結構大変だった。
集中力も必要だし、何より目が疲れる。
年を取ったら、出来なくなりそう。
「……ふと思ったんだけどさ、カノンって老眼になったりしないの?」
「単なる思い付きにしては、失礼過ぎないか?
……無いな。
それに視力が落ちたとしても、治す方法がある」
へぇ!?
メガネをかけている人が地球人以外に居ないから、「皆眼ぇ良いんだなぁ〜」程度にしか思っていなかったのだけど、そんな方法があるんだ。
単に識字率が低いし文字の読み書き、計算みたいな、手元ばかり見る作業をする人が少ないから、視力矯正が必要ないんだと思っていたよ。
天気予報なんて無いから、遠くの景色を見て後々の天気がどうなるのか予想する事も多そうだし。
先天的に弱視の人とか居ないんだ〜。
ソレも精霊からの恩恵のひとつの形だったりするのかな〜。
……なんて、何でもかんでも精霊と霊力によるものだと思い込んで居た。
そんな勘違いをしてしまう程に、霊力って万能なんだもの。
視力の不具合って、大抵が水晶体や角膜が原因じゃない?
加齢による不調からは、逃れられないのでは無いかと考えた時に、カノンなんかよく暗い部屋で眉間にシワを寄せながら、徹夜で実験してるしさ。
目に滅茶苦茶負担を掛けているだろうし、余計に酷い症状が出ているんじゃないかと思ったのだ。
だけど、お小言こそ言われたが、迷う間もなく「無い」と断言された。
コレはなかなかに有益な情報だぞ。
レーザーで角膜をゴリゴリ削ったり、眼球を切開してレンズを入れたりせずに治せるなら、その方が良い。
霊力の総量を考えると、俺はどう足掻いたって長生きする事になる。
視覚の衰えを気にしなくて良いのは、単純に嬉しいな。
気配探知で、視力に頼らなくても周囲の人や物がまとっている霊力を感知し、物の形や明暗なんかは分かる。
それでも、目で見る便利さを知っていると、ソレが損なわれたら不便で仕方が無いからね。
淵窩や燼霊は、その方法では感知出来ないし。
視力に頼らなければ、ソコに存在する事すら認識出来ない。
「回復薬や治癒術があるだろう?
怪我や病気ではないせいなのか、目が見えにくくなった程度では効果が得られない。
なので、まず、目を潰す」
「……はい?」
「怪我になってしまえば、効果が得られて修復されるからな。
莫児比涅で痛みを消した後、蒸留した酒に専用の針を浸し、眼球を突く」
プスッとな、とダーツを持つような手つきで手を振って見せるカノン。
麻酔なのか鎮痛薬なのかは不明だけど、だからって治すためにケガさせるってどういう事だよ!?
矛盾してない!!?
この世界の医療行為って、倫理観が欠如してるな……
怖ぁ……
眼球に針ぶっ刺されるのは怖すぎるので、やはり目は大事にしなければだな!




