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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、凹む。

いつもご覧頂きありがとうございます。


今日で小説を投稿し始めて一周年になりました(*´꒳`ノノ゛パチパチ


記念に、と言いますか。

不定期連載に明夜主人公の、本編からそこそこ時間経過した時間軸の物語を始めたので、お暇な時にでも御一読頂けると幸いです。


《もと神さまの、魔物手帖》

https://ncode.syosetu.com/n5217kz/

「命の冒涜にも程があります!」


 俺の話を聞き終えた途端、アリアは声を荒らげて立ち上がった。

 その様子は、さっきのカノンとそっくりである。


 だがしかし、実験に関しては致し方のない部分もある。


 なにより、今更な事だし。

 怒られても困る。

 

 特に妊娠・出産となれば、女性のリスクが大き過ぎるからね。

 冒涜と言われてしまうと、むしろ逆なのだと反論しなければならなくなる。


 むしろ命を尊んでいたからこそ、当時施設で暮らしていた、大多数の人間がソレを受け入れていたのだ。



 妊娠をすれば、胎内に生命を宿した女性は、十月十日もの長い期間、腹の中の赤ん坊を最優先に行動しなければならなくなる。

 悪阻に悩まされ、食欲が減り、体力が落ちる人も居る。


 生産性が低下すれば処分対象になるのに、妊娠していることを理由にソレが免除されるとなれば、対象となり処分された人物の近しい人達から反発だって起きる。


 本人だってシンドい思いをしているのに、報復をされようものなら、溜まったもんじゃ無いだろう。



 そのクセ、性行為は避妊必須で自由にしているのだから、歪んでいるのは重々承知している。

 ある種の娯楽扱いだった節があったからね。


 ゲームやマンガは、制限が酷くてほぼ無いようなものだった。

 タバコや酒のような肉体に害を及ぼす嗜好品は、余程の人物で無い限りお目に掛かる機会すら無かった。


 殺伐とした生存競争の中、息抜きの道具も手段も、かなり限られていたのだ。



 性に対しての認識が、本来あるべき自然から乖離していたのは分かる。


 だがソッチに行ってしまうのは、やむを得ない事だとも思う。


 肉体があれば、それで完結するのだ。

 お手軽だし、年相応になれば欲求も湧くんだもの。


 しかし諸々の事情から、妊娠するのは困る。

 だから一夜限りの関係を、皆刹那的に楽しんでいたのだ。



 性細胞の採取手術だって、当然肉体への負担はかかる。

 ただ比較した際に、そちらの方がマシだと判断した人は、手術を受ける。


 ちゃんと、選択肢は与えているんだよ。

 大半のツガイを宛てがわれた人間が、体外で全て済ませてしまおうとなるが。


 致し方が無いだろう。

 誰だって、死ぬのも辛いのもイヤだもの。



 そうやって皆、受け入れていたのだ。


 俺は拒否権が無かっただけで。


 しかし俺だって、その時が来たら、恐らく子を仕込む側だろうが仕込まれる側だろうが、手術を選んでいただろう。


 その時期が早かっただけ。

 俺の知らない所で行われていただけ。


 それだけの話だ。



 流石に自分よりも年上の子供が居るとなったら、ちょっと所か、かなり複雑な思いはするけれど!

 想定しただけでイヤな気分になるけれど!!



 命の冒涜とか言われてしまうと、ちょっと違うんだよ、と言いたくなる。

 なにせ施設は土地も生産量も、ありとあらゆる分野で制限がある所だった。


 出生数を調整しないと、バランスが崩れて人類共倒れになってしまいかねなかったのだ。


 そのクセ、より強い「スキル」持ちを求めて沢山の子供を作らなければならなかった。



 脳がある程度出来た段階で「スキル」のランクが分かる。


 辛い思いをしながら自分の腹の中で育てた赤ん坊が、堕胎可能期間とされる二十二週を過ぎた後でも、基準に満たない「スキル」だからと中絶させられるような事になってみろ。

 愛情深い女性であればある程、傷付く事になる。


 母体保護法なんて施設には無いからね。

 最悪、二つの命が一気に失われる事になる。



 そういう意味でも、人工子宮は画期的だったのだ。

 否定したくなる気持ちも分からなくはないが、この世界とは常識が異なるのだ。


 感情論で否定をしないで欲しい。



「アリア、座れ。

 コイツの存在も否定する気か」


「あ……

 申し訳、ありません……」


 強い言葉で着席を促されたアリアは、自分の言葉の意味を理解したのだろう。

 俺に頭を下げて、力なく椅子に腰を落とした。


「イヤ、良いよ。

 歪なのは分かってる。


 カノンも、代弁ありがと」


「……現御神(あきつみかみ)の正体を明らかにするためにインフェルヌスに乗り込む、と言うことか」


 ふるりと首を横に振ったカノンは、腕を組んで難しい顔をしたまま、俺の胸中を更に代弁した。



 首肯をするが、実際に会えたとしても、現段階では現御神(あきつみかみ)が遺伝子的に俺の子なのか、兄妹なのかを知る術はない。



 遺伝子解析が出来るような設備があるのは、胤冑(いんちゆう)棟だ。

 そもそもその胤冑(いんちゆう)棟が見つかれば、あんなのと直接対面しなくても、履歴から俺の子か兄妹かの判断なら出来る。


 その肝心の胤冑(いんちゆう)棟が無いんだってお話しで。



 燼霊に関わる物は、残念ながら鑑定眼では見る事が出来ない。


 実体が無いから、と言うなら精霊を見る事も出来ない。

 しかしそうではない所を鑑みるに、単純に闇の精霊(テネブラエ)か俺の能力不足だろう。



 質問して素直に答えてくれれば良いが、あのボーッとした様子と、燼霊の性質からして、対話すら難しいだろうしなぁ。


 なにせ破壊と殺戮の衝動を煮詰めて凝縮したような連中だ。

 同じ言語を話しているのに、会話が成立しない。


 パワーアップが出来れば、対燼霊戦に備えられるし、言う事ないのだが。



「なら、俺も行く」


「カノンはダメだって。

 教会に狙われている可能性が高いんだぞ」


「可能性の話だろう。

 お前のようなそそっかしい奴に、そんな大役、任せられん」


「カノン以外の誰をワナに嵌めようと思って、あんな物騒な方陣仕掛けるんだよ。

 状況からしてお前以外有り得ねぇだろうが!

 アリアの護衛も兼ねて、大人しく王宮に引っ込んでろ」


「アリアの護衛には騎士がいる」


「その騎士一〇〇人と比較したら、カノンの方が万倍強いだろうが!

 そんでもって俺は、そのカノンの一〇〇倍は霊力があるんだぞ。

 戦力をなるべく分散させない方が良い現状、俺が一人で行動するべきだろ!?」


「総霊力量は単純に強さと等号では結びつかん!

 そう言うことは、手合わせで全勝してから言え!」


 ほほぅ、言うたな?

 そのケンカ、買ってやろうじゃないか。


 殺気立つ俺とカノンの睨み合いに、アリアが若干引いている。



 まさに一触即発。

 そんな雰囲気は、宰相閣下殿によって霧散した。


「落ち着きなさい」


 ゴッ! と良い音を立てて、俺とカノンの脳天に、分厚い装丁の本の角がめり込んだ。

 堅牢で厚みのあるその本は、型崩れしないように、背表紙に金属が仕込んである。


 痛くて当然だ。

 きっと今、俺の身長は数mm伸びているに違いない。



「カノン、良い歳してみっともない。

 自分を心配して下さる方を、困らせるんじゃありません


 メイヤさんは人が気にしていることを、ズバズバ言わない。

 真実は時に凶器になると、ご存知でしょう?」


 真実とか言って、トドメを刺したらダメじゃん。

 グフって言って、吐血しそうな勢いでカノンがダメージ受けてるよ。

 虫の息になっちゃう。



 それとも、この隙にさっさと出発しろって意味だったのかな。

 ヌリアさん達の結婚式見終えてから、行動するつもりだったんだけど。



 カノンも、あんな怒らなくたって良いじゃない。

 前みたいに、宣言も相談もナシに飛び出したりしていないじゃん。


 人間的に成長をして、シッカリ報告、連絡、相談をしようとしている子供に対して、そんな頭ごなしに否定をするのは如何なものかと思う。

 また勝手に自己完結して、ある日突然消えてやろうか。



「アリアも、我々地球人(エルフ)とて、長寿故に、人間からしてみれば歪なのですよ。

 一国の王がそんな 管窺蠡測(かんきれいそく)でどうするのです」


 結局三人、仲良くお説教をされてしまった。



 宰相閣下殿はその場を取りまとめ、俺達三人全員の希望と、なにが気に食わないのを紙にまとめ出した。

 ホワイトボードでも出すべきだろうか。


 こういう場には、必須だよね。


 一言断りを入れ、会議室に置いてあるような裏表使えるキャスター付きの物を創り出す。



 驚きながらも、マーカーペンで試し書きして、イレイザーでその文字を瞬時に消すと、利便性を即理解してくれたようだ。

 その上、先程書いていた紙を磁石でボード面に貼り付けると、とても良い笑顔で喜んだ。


 宰相閣下殿のこういう顔は、兄貴(カノンの父親)達にソックリだ。



 キュッキュと独特のペンが擦れる音を立てながら、緑をカノン、赤をアリア。

 消去法か、俺の意見を青で次々ホワイトボードに書き込んでいった。


 対立する意見を黒色の両矢印で結び、色も言葉も違うが、根底の意見は同一と見なせるものは二重線で繋ぐ。



 戦争を回避したいのは全員同意見。


 しかしそこから枝分かれし、現状を踏まえ、やむを得ないと考えているのがアリアと宰相閣下。


 手紙(シルフィード)で宣戦だけして、攻め入って来たらその都度対処し、その間に国民をなるべく安全圏に避難させたいのがアリア。

 宣戦を告げる使者と共に軍を動かそうとしている、好戦的なのが宰相閣下だ。



 回避したいと考えているのが俺とカノン。


 その手段として使者に司教(ジムエス)を立てて、過去の賠償請求や今回の騒動の申開きの猶予を与えても良いんじゃないかと考えているのがカノンだ。


 精霊教会の中で、司教という立場に在る者は多くない。

 ソレを使者にすれば、確実に親書は届く。


 人権的に過去の使者には出来なかった追跡と盗聴の術式をかけても、国からしてみれば犯罪者である司教(ジムエス)が相手なのだ。

 心が痛むこともない。


 争いをしているヒマがあるなら、顕現している燼霊を対処したい気持ちが透けて見えるが、至極真っ当な意見と言える。



 俺はそういうまどろっこしいのがイヤなので、二度手間、三度手間になる位なら、いっその事俺が出向けば楽なんじゃね?

 だって俺、この国の要人でもなんでもないし、何かあっても「無関係です」って言えるじゃん??

 って単純思考な意見である。



 司教(ジムエス)に術式を施したら、見る人が見ればカノンがやった物だと一発でバレる。

 筆記のクセや、術式に刻む言葉の回りくどさが特徴的なのだ。


 一度発動すれば周囲の霊力を取り込んで起動しっぱなしになるけれど、その電源を入れるのは、術式を施した者になる。

 単純に、その方が霊力の効率が良くなるからだ。


 術式が分からずとも、霊力の残滓を読み取れば、カノンがやったとすぐバレる。



 自分達がやった事は棚に上げて「ウチの司教キズモノにしたのは賢者様だろ? あぁん??」と言われようものなら、反論が出来ない。

 それこそ、戦争待ったナシになってしまう。


 やはり俺が一人で行くのが、平和的だと思うんだよね。



「カノンがメイヤさんの意見に反対しているのは、完全に感情論ですね。

 論理的でもない。

 国を第一に考えてもいない。

 なので、却下です」


 言ってキュッと斜め線で緑色の文字を消す。


 「アリアは一般市民という立場にあるメイヤさんを巻き込みたくない。

 決して間違っているとは言えません。 

 しかし王という立場は、個よりも全を優先すべきです。

 対処出来る人間がいるのなら、相手の立場関係なく、非情な決断を下しなさい」


 アリアの意見もすげ無く消された。


「私の意見は、早期解決には向いていますが、最も多くの犠牲者を出すでしょう。

 無血解決が可能な道があるのなら、その意見が最も優先されるべきです。


 しかし……メイヤさん個人の実力は聞き及んでいますが、総本山の場所を知らなかったり、巻き込まれ体質なことを鑑みると、一人で行動させるのは、あまりにも危ういのも、また事実です」


 俺の意見を丸で囲みながら、最終的にクエスチョンマークを横に書き込まれてしまった。



 う”っ。

 ろくに関わった事がない人にまで、その評価を下されるのか。

 ちょっと悲しい。


「カノンもアリアも、一応私も国の要人です。

 危険が確実に待っているとされる場所に、自ら飛び込んではいけない立場にあります。


 誰か心当たりはありませんか?

 そこそこ以上の実力者で、地理に明るい人物に」

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