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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、極める。

 フレナム・ラダーやアンパラングのピアスホールを開けたいなんて、聞くだけで痛そうな話題で盛り上がる夢魔二人。

 「くれぐれも夜露死苦!」と言って幾つか「スキル」で複製したエロ本を叩き付け、無理矢理会話を終わらせようと試みる。


 別名‘’ヤコブの梯子‘’なんて不敬にも程がある性器ピアスなんて、開けようとするな!



 想像に易いだろうが、麻酔がないと、そして一人では、とてもじゃないが穴なんて開けられない場所だ。

 だというのに、そんなマニアックなホールを開けたがるなんて、どうかしている。


 耳に開けるのなら、ファッションとして理解も出来る。


 しかし、局部だぞ?

 見せる事なんて、早々無いだろ!?

 開ける意味が、無いじゃない!!!



 ……イヤ、夜のお仕事をしているのだから、むしろ見せる機会は多いのか。


 固定さえされれば、性的快楽が増すそうだし、より上質な快感を求める夢魔には、オシャレと食事の質の向上。

 一挙両得と言える……のか?



 だが性器ピアスも通常のピアスホールと同様、皮膚の修復が完了するまでに、おおよそ三ヶ月はかかる。

 長ければ半年の間、性行為を控えなければならない。


 当然、自慰もだ。

 引っかかって裂けたら、大変だもの。


 何より感染症を予防する為の手入れを、他のピアスホールと同様しなければならないのだが、その消毒をシッカリして、常に清潔に保つ事が、場所的に難しい。

 尿道を貫通していたら、流れも変わるしね。


 かなり気を付けなければ、腐り落ちる。


 リスクを考えると、辞めておいた方が良いと思うんだ。



 だからって陰嚢に開けるハファダも、ソレはソレで大変だし、その更に後ろにギーシュを開けるとなると、排便する度に悲惨な事になりそうだよねぇ……


 雑菌まみれになるじゃん。

 泣く泣く一人、下半身丸出しの状態で、手で取り除くんだよ。


 よくそんな気になるよね。

 俺は絶対イヤだ。



 夢魔は経口摂取による栄養補給を必要としない為、そういう器官が無い。

 だから気軽に安易に、アチコチ開けようと思えるのかな。


 もげても、また生やせば良いもんね。



 そういえば……ピアスホールって、回復薬で塞がるのかな。

 もしだとしたら、怪我をして服用した時に、再生しようとする肉とピアスの争いが勃発して、酷い事になりそうだ。


 うぅ、想像するだけで痛い……



 叩きつけられた拷問に使えそうな内容が載っている漫画を、パラパラと流し読みをして、二人は首を捻った。

 リアリティを全面に押し出した絵しか見た事が無い為か、なかなか漫画のデフォルメされたイラストに感性がついていかないのだろう。


 またそういう場面では、大事な部分が白抜きになっていたり、黒い横線が入っている。

 場合によっては海苔を貼り付けたように、真っ黒な処理が施されている。


「写実性に欠けた描写はゆるせますが、この邪魔な黒いインクはどうにかならないのですか?」


 そんな事を言われても、当時の法律的に描いたり見せたりしちゃダメだったから、ワザとそういう処理をしているんでしょうよ。

 知らんケド。


 わいせつ図書扱いされて、頒布や販売の差し止めや回収にならない為の、苦肉の策というヤツだろう。


 細い刻み海苔程度の線に、意味があるのかは疑問だが。


 そういうモノだと、諦めて心の目で補完して読んでくれ。



 じっくりねっとり読むのは後にするけれど、ザッと通して眺めただけでも、早速試したい事が幾つかと、目を輝かせる二人は、性に対して貪欲だね。


 ……ココで俺を押し倒さなければ、勉強熱心の一言で済んだのだが。


 手身近な所で済ませたいのなら、夢魔同士でヤッてくれれば良いのに。

 何故俺をターゲットにする。



 問答無用で蹴り上げ、怯んで横転した足の間に左足を突っ込み、回転足首固めを極める。

 そして更に捻って相手の足を交差させ、身体を反転させながら、右足をイシュクの左足の下に入れ、折らない程度に上から体重をかけた。


「ヒッ……っだぃ、いィイタタタタッッ!!!」


 トーホールドで足首に痛みが走った直後、監獄固めが膝にキレイに極まり、脇目も振らずに床を叩き、泣き叫ぶイシュク。


 ギブアップのジェスチャーって、異世界も共通なんだ。

 へぇ〜。



 スナンには空いてる手で、脇固めをお見舞いしようとしたが、逃げられてしまった。


 少々無茶な体勢になって俺もシンドい事になるが、仕方がない。

 そのままスルりと逃げかけた腕を捻り上げ、アームロックを極める。


 攻撃としては単純だが、テコの原理が働く為、痛みから逃れようともがけば、ヘタをすれば腕が脱臼してしまう。

 最悪、折れる。



 少々やり過ぎかとも思ったが、初手で舐められて、今後も事ある毎に襲いかかられたら面倒だ。

 その度に手加減しつつ対処して、話が進まないのは時間のムダ以外の何物でもない。



 本気で泣いて、助けを乞うて来たので解放する。


「……はぁ、痛かったぁ…………

 女性の身体が良いのでしたら、変えますよ?」


 スルリと自分の身体を撫でて、夢魔二人は身体を華奢なモノへと変える。


 イシュクはモデル体型の、スレンダーな曲線が魅力的な身体に。

 スナンは出る所がシッカリと出てて、ウエストはキュッと引き締まっている肉感ボディに変化した。


 多分、二人の好みが反映されているんだろうなぁ。


 それぞれ違うタイプだし、つい手を出してしまう男は、ごまんといるだろう。

 蠱惑的とさえ言えるその雰囲気は、流石夢魔と言った所か。


 残念ながら俺は、そう言う所が割り切れない、女々しいタイプだ。

 好きでもない人間を抱きたいとも、抱かれたいとも思わない。



「そういう問題じゃねぇ。

 不同意猥褻をすんなって話だよ。


 もっかい泣かすぞ」


 ニッコリ笑ってイシュクの手を取り、そのまま滑るように背後へと回った。

 左足同士を絡めるようにフック。

 イシュクの上半身を倒し、自分の上半身は持ち上げた右腕の下を通し、腕を背中から直角になるよう左ワキに抱え込む。

 それと同時に、首に左足を引っ掛ける。

 両足が浮く事になるが、決して俺の脚が短いからではない。

 そういう技なのだ。


 ハデな見た目が漢字の卍に似ている事から技名が付けられた、有名なプロレス技である。


 先程の監獄固めよりも負荷が強く、ダメージが加わる場所も多い為か、先程の泣きがウソだったのが分かる位の勢いで、ガチで泣いて許しを乞われた。

 見た目が女性の状態なので少々心苦しいが、中身の性自認は野郎なので、問題あるまい。


 二度と繰り返さないよう、暫くの間、その状態を続けさせて貰った。



「ジューダス様は賢者様と比べても、規格外過ぎやしませんか?」


 涙と鼻水を引っ込めた後、報酬の描かれた紙を改めて渡した。

 提示された三箇所のうち、何処を‘’スファンクス‘’王都(ディルクルム)支店にするのか決めた後、その報酬に見合った労働は如何様なモノかを話し合う。


 超過分だと思う報酬も、良いよって言われているのだから、ラッキーって受け取ってしまえば良いのに。


 等価交換ではない対価は、後々意図しない所で火種になり得るからイヤだそうだよ。

 長生きしていると、色々あるのかね。



 派遣可能人数を聞けば、聖典(エロ本)に描かれている事を色々試して良いなら、夢魔を全員派遣するとか言い出した。

 探究心がエグいね。


 お客様に行うのははばかられるし、人間の身体に似せて作ってあっても、夢魔の肉体は所詮偽物だ。

 夢魔同士で試して、加減が分からずついウッカリ壊してしまったら面倒な事になる。


 やはりホンモノがどういう反応を見せるのか、観察しない事には模倣も出来ない。



 出産のプロセスを経る為に、女性の方がマゾヒスティックの傾向を持つ人は多いが、客は圧倒的に男性が多い。

 だから勤めている夢魔は、大半が女夢魔(サキュバス)の状態になっている。


 ただの痛みではなく、また単なる快楽でもない。

 依存性のある痛みを伴う快楽とは、どんなものなのか。

 享楽的とも違う、絶たれれば狂い死にそうになる程の刺激が肉体を走る感覚を一度味わってみたい。


 しかし女の肉体にそんなプレイをしてくれる人は、この世界には今の所、一人も居ない。

 唯一知識のある俺がしないのだから、ゼロである。



 そうなると、まずは男夢魔(インキュバス)の肉体で勉強をするしかない。

 その教材が、精霊教徒達になる、というワケだ。


 とても夢魔らしく、エロに対する知的好奇心が旺盛過ぎる。


 ガマン出来ずに、締りのない口の端からヨダレが垂れているのが、非常に気になる。

 ちゃんと拷問官らしく振舞ってくれると良いのだけれど……


 ……鉄臭さと、すえた脂の臭いで充満していた地下牢だけど、コイツらが派遣されたら、すんげぇイカ臭くなりそう。

 その場に居るだけで妊娠してしまいそうだし、近寄りたくないな。



 夢魔は眠りも食事も、必要としない。

 肉体を維持するのに使用するのは、性行為を通して相手から得る、生命エネルギーだ。


 眠れない、食べられないのではなく、必要がないからしないだけ。


 嗜好品のように、快楽とは違う高揚感を得るために嗜む者も、中には居る。

 その程度のものだ。


 キャストは全員、仕事終了の時間と共に退勤し、いつも通り大衆浴場へと行っている。

 人間の雇い入れている人達は、その後朝食を食べに早朝から開いている店に行くか、自分の家に戻るかする。



 夢魔は誘われれば食事を共にするし、そうでなければ再び‘’スファンクス‘’に戻って来る。

 夢魔にとっては日中は、ヒマを持て余す時間だ。


 開店時間まで、全員フリーとなる。


 そうなると、勉強の目的以外にも、エロ本は大いに役に立つだろう。

 長生きをしているのに、娯楽や趣味がないのは大変だ。


 そう思い、追加で拷問に使えるような内容以外のマンガ本も「スキル」で創って手渡した。

 続き物とかもあるので、ザッと五〇冊程。



 そうしたら、規格外呼ばわりされた。

 どいひー。


 なんだよ、つまり定型があるのかよ。

 ……あるのか。



 俺は地球人。

 この世界で言う所のエルフだ。


 その時点で、一般や大衆と呼ばれる層から外れる。


 地球人の中でも、知力体力、共に特殊な訓練を受けて来た。

 一人にひとつしかない「スキル」も、皆から奪ったせいで沢山ある。


 更に霊力も、文字通り桁外れに多い。


 俺みたいなスペックの人間が沢山居れば、知恵も資源も使い放題になって、この世界はもっと豊かになっただろう。


 もしくは欲に満ち溢れて、地球と同じ末路を辿るか。



 俺自身も、コレが標準なんて思わないさ。

 面と向かって言われると、ちょっと物悲しくなるだけで。



「本来思っても愚痴にしないだろう事実を、わざわざ面と向かって言うって、何か思惑があっての事?

 それとも、単なるバカ??」


「そんな皇竜(ドラコーン)の髭を撫でるような真似をする程、若くありませんよ。


 ジューダス様は、見たところ地球人(エルフ)ですよね?

 過去私共が見てきた地球人(エルフ)は、差別もあったため遺跡に閉じ篭り、この世界の住民と交流を持とうとする者は、稀でした。

 賢者様方の働き掛けで、今でこそ、その差別は薄れましたが……


 あなた方の力があれば……いえ、ジューダス様程の力さえあれば、もっと早く、その差別を無くせたはずです。

 これまでにも、力によって屈服させる機会は山とあったでしょう。


 なぜ、今なのです?」


 長年……それこそ、地球人がこの世界に来るよりも前に、夢魔達は別の世界からこの世界に招き入れられた。


 地球人(エルフ)が突然この世界に現れたその瞬間も、三〇〇年前の燼霊との戦いだってモチロン、カノンとその両親が細々と精霊と共に活動しているのも、ずっと見て来たのだろう。


 約四〇〇年程の歳月になるのか。


 それはアブラハムの子孫が外国で奴隷になると神が予告した、長い苦難の年月と同じだね。

 イスラエル人をエジプトから逃す為に、モーセが海を割った、アレだ。


  日本の歴史で言うなら、おおよそ鉄砲伝来から第二次世界大戦集結まで位か。



 そう考えると、幾つもの時代をまたに掛けて、反発が起こらないようにゆっくりと進めて来た事を、この半年で突然、一気に推し進めている事になるのか。


 夢魔からしてみれば、唐突過ぎるわな。

 怪しさが満点過ぎる。


 何か思惑があるのではないか。

 そう疑問に思うのは、至極当然の事である。



 カノンが好き勝手やって良い……と迄は言っていないにしても、ストップを掛けないから、気の赴くままにワガママ放題でアレコレと、()()して来て居る。

 しかし外野から見れば、カノンが突如暴走しているように見えるのか。


 その俺は、カノンの庇護の下で行動しているからね。

 どうしたって、目立つのはカノンだ。


 この街に引っ越して来た時も、カノンが何を企んでいるのか、偵察の意味があったのかもしれない。



 だが直接関わった今、カノン一人で事を進めているのでは無いと気が付いた。


 俺が全て好きなようにやってて、カノンが尻拭いに奔走している、とまでは考えに至っていないようだ。

 しかしカノンの指示によって動いているでも、共謀しているにしても、何らかの形で俺が関与しているのは明白。


 夢魔は過去カノンに殲滅されかけているから、カノンの思惑を直接尋ねるのは、かなりの勇気が必要だ。

 

 だから俺に聞いて来た。

 そういう事だろう。

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