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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、挟まれる。

いつもご覧頂き、ありがとうございます。


誤字報告ありがとうございました。

下書きには文字が残っていたのに、いつ消してしまったのでしょう…( 。ω。)?

寝ぼけてしまったのかしら?(๑˙−˙๑)?

 長い睫毛は黒く艶やか。

 薄く紅を差すキメの細かい頬も、薄く開いた小さめの口も、あどけなさが残っていて好ましい。


 決して高いとは言えないが、中央に位置する形の良い鼻は、顔の造形のバランスに合っている。

 美少女は寝ていても、可愛らしさが全面に主張するものなのだと、強く理解させられる。



 白雪姫のプリンス・チャーミングが、毒林檎を食べて横たわる姫に口付けをしてしまうのも、頷けるな。


 目の前のこの人は、姫じゃなくて、国王様だけど。



 ……寝ぼけ眼で見ていた分には、納得出来ていたのにな。


 シッカリと覚醒した今、遅くまで起きていたためか、目の周りはクマが刻まれ、薄く開いた口からはヨダレが垂れている、直視したくない現実まで認識してしまった。


 しかもワンピースタイプのナイトウェアは、寝返りが激しく打たれたせいだろう。

 今日も見事にめくれ上がっている。



 ……国王のこんな姿、国民には絶対見せられないね。


 俺も人頭税を払う義務があるし、実際、既に今年の分は払っている。

 この国の、一国民のハズなんだけどな。


 現実を見ないで済む、権利をください。



 そういえば、ちょうど彼女の母親がこんな寝相だったよな、なんて思い出して笑ってしまう。


 彼女も、大胆な寝相だった。

 何度蹴られ、ベッドから落とされた事か。


 そしてベアハッグをキメられ背骨を折りかけた事か。

 ……ソレは、父親の方だったか。



 起こしてはいけないが、もう少し寝たいな……


 だけど実年齢はともかくとして、女の子と同じベッドで寝るのは、少々抵抗がある。

 そしてこんな豪快な寝相の巻き添えを喰らったら、とても痛そうだ。


 せめてと思い、距離をとる為にもコロリと寝返りを打った。



 ……何で気付かなかったのだろう。

 背後、つまりは今正面を向いた方向に、カノンが寝ていた。


 普段は難しい事を絶えず考えていそうな、不機嫌に眉間に深く寄せられるシワも、寝ているとスッキリしている。


 手入れなんてしていないだろうに形の良い眉毛も、すぅと通った鼻梁も、薄めの唇から面長の輪郭まで、全て目が閉じられているだけで、こんなにも整って見えるのが不思議である。


 つまり、カノンは眉間に刻まれたシワとタレ目で損しているのだな。

 勿体ないね。



 女の子は男親に、男の子は女親に似るなんて言うけれど、ここの兄妹は違うんだな。



 ……と言うか。

 コレは一体どんな状況なの?



 俺もカノンも、上半身裸なんですけど。


 下は履いてる。

 パンツだけだけど。



 えぇ……今真冬だよね。

 こんな格好をしていたら、普通は凍えてしまうよ。


 お布団も蹴られたらしく、首の可動域で確認出来る範囲には無いし。



 しかも俺、カノンに腕枕されてるんだけど。


 ゴロリと身体を上を向けてみる。

 視界の端で、アリアがカノンの手のひらに頭を乗せて寝ているのが見える。


 カノンは起きた時に、ハネムーン症候群で大変な事になりそうだね。



 考えてみれば、アリアもかなりの薄着だよな。

 まさか……コレが、噂の朝チュン展開!?


 だとしたら俺、睡姦された事になるんですけど。

 

 不同意性交は立派な犯罪だぞ、コラ。

 腹を下したらどうしてくれる。



 まぁ、アルベルトならともかく、カノンがそんな事をしでかすとは、微塵も思っちゃいないが。



 もし仮にそうなったとしたら、母娘丼(おやこどん)ならぬ兄妹丼とでも言うのだろうか。


 母娘丼なら、花山天皇という実例があるので、その後の展開も含めて理解しやすいけれど、兄妹パターンは歴史に埋もれてしまったのか、口伝も伝承もないんだよね。

 むしろ過去にはありふれ過ぎた事だったから、わざわざ書き起こさなかったのかも。


 嫁を親友や兄弟にあげる、なんてしょっちゅうあったそうだからね。


 マジかよって感じ。

 男尊女卑って言うよりも、そこまで行くと完全に女性がモノ扱いされているよね。


 それがある特定の国の中だけの出来事ではなく、時代の区切りこそ違えど、世界的に起きていたのだから、人権とは? と言いたくなる。



 この世界は男女の役割が結構シッカリとしていて、男の方が目に見える成果が出やすいから、縁下の力持ちとして家庭を支えている女性の地位が、やや下に見られている。

 とは言え、家畜や家財宝石のようにモノ扱いはされていないので、余程人権に対する考えは、地球よりも進んでいるのかもしれない。



 どんなに偉そうに振舞っている男性とて、ちゃんと母親という女性から産まれて来たのだと、認識しているのだろう。


 俺が会ったのなんて、世界中の人口の一%にも満たないだろうし、断言は出来ないが。


 どこにでも、大衆から外れた価値観の人は存在するものだからね。

 もしかしたらこの世界にも、モラハラ・フキハラが当たり前の人も居るかもしれない。



 しかし寝返りを打つまでは出来たが、この状況はなかなかにシンドい。

 何が悲しくて親友の子供二人(だいぶ年上)にサンドイッチされて居なきゃならないのだ。


 この状況を認識してしまうと、もう一眠り……とはいかない。

 バッチリ目が覚めてしまった。


 素数でも数えてヒマを潰すべきか。



 イヤ、セミダブルかダブルサイズのベッドに、大人三人が寝ているこの状況は、かなりマズイ。


 寝起きの生理現象は当然の事として、寝返りを打った時にも気になったのだが、木製のフレーム部分がギシギシと良い音を立てている。

 ミシミシじゃないだけまだマシかもしれないが、重量オーバーもいい所だろう。



 設計によっては、耐荷重六〇〇kgを超えるベッドも存在したが、大抵は一人最大一〇〇kgで計算される。

 つまり今、このベッドの定員を確実に超えている。



 カノンも俺やアルベルトと一緒に組手の鍛錬をやる機会が増えたせいか、身体に厚みが出てきた。


 昨日抱き上げられた時も、体勢が安定していたもんね。

 途中で腕がプルプルしたり、仰け反りすぎて崩れ落ちたりとかしなかった。

 もしされていたら、流石に起きている。


 監獄塔から王宮内のカノンの家まで、どの程度の距離があるのかは不明だが、階段の昇り降りも含めて難なく運んでくれたのならば、結構筋肉が付いたんじゃないかな。



 前は俺と同じか、少し多い程度の体重だったが、今は筋肉のお陰で結構重くなっている気がする。


 八〇kg、あるかないか位かな。



 俺は身長含め、体重もあんまり変わっていない。

 成長期なんだし、もうちょっと伸びてくれても良いと思うのだけど。


 女に見られたら、面倒臭い事が多いし。


 そんな俺の体重は七〇kg前後。



 アリアが幾ら小柄な女の子体型だとしても、一六〇cm無い程度の身長だ。

 標準体重は五六kg程度かな。


 細身とは言え、筋肉はそこそこ付いている。

 国王なだけあり、食べる物には困っていないし、痩せすぎという事は無い。


 やはり、それ位の体重はあるだろう。



 どう考えても、耐荷重をオーバーしているよなぁ。


 しかも一定の基準を満たしているか、厳しく審査されていた地球時代の代物と違って、全部手作りなワケでしょ?


 クギの打つ場所とか、計算されて無いじゃない。

 このベッドが耐えられる重みは、もしかしたらもっとずっと軽いかも。


 これ以上寝返りを打ったら、バキリといきそうで怖い。



 それにしても、両隣り共に、よく寝ている。


 アリアは俺達が退室した後も、取り調べを続けていただろうから、寝るのも遅かっただろうし当然だ。


 だがカノンは、俺を寝かせた後に、また監獄塔へ戻った可能性は低い。


 自称俺の保護者だし。

 子供()を一人にして、夜中に出掛けるような事はしない。


 大抵夜通し起きてて、自室で実験をしたり、回復薬の調合の見直しをしている事が多いかな。


 寝るのは結構珍しい。

 ショートスリーパーなのか、普段から仮眠程度の短時間しか寝ない事が多いからね。


 もしかして、慣れない事をしたせいで肉体的疲労がピークに達してしまい、脱ぐだけ脱いでパジャマを着る余裕もなく寝て、実は睡眠負債が溜まり過ぎて、本人の望まない長さの眠りについてしまっている、とかそう言う事なのかな。



 そうなると、起こすのは気が引ける。


 寝れる時に寝たいだけ寝るのは大事だからね。

 特に普段寝ないのではなく、寝れなかったのだとしたら、今が好機と言うヤツだ。

 逃してはならない。



 野宿をしている時もそうだが、カノンはとにかく物音に敏感だ。


 さっき寝返りを打った時に起きなかったのは、奇跡に近いと思う。


 自然に鳴る、風のざわめきとは違う草木の擦れる音に、いち早く身構えるのはカノンだもの。


 寝ながらでも、俺がかなり強固な防護結界を張るようにしてからは、魔物自体近寄って来なくなった。

 なので安心して眠れる状況にはなっているのだけど、クセなのか、浅い睡眠から一度は起きてしまうんだよね。


 損な性分である。



 今日のカノンの予定は、(オルトゥス)でニセモノの国王のお出迎えをする事と、襲撃者の尋問か。


 パフォーマンスとして、(オルトゥス)の住民に国王を無事に招き入れたとアピールを終えたら、イシュク達が場を整えてくれているであろう、‘’スファンクス‘’へと向かう。


 司祭達に俺が確保した手紙(シルフィード)の音声という証拠を突き付け、罪状を詳らかにし、今回の騒動の首謀者などの情報に相違がないか、照らし合わせる作業までいけるかな。

 どうかな。



 俺はまず、街道の野営地に戻らなければならない。


 精霊教徒を再び寝かし付けたり、空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)を牽引するのは俺にしか出来ない仕事だからな。

 俺が遅れれば遅れる程、一行が(オルトゥス)に到着出来ず、予定が後ろ倒しになってしまう。



 アリアは昨日の尋問の続きをしたり、教会の調査の指揮を取ったり、色々やる事が山盛りあるから、ズレるの自体は問題ないだろうけれど。



 昨日の服を着たままなら、寝たままの状態で転移して野営地に戻るのだけどな。

 流石に半裸状態で人前に出るのは、ちょっと抵抗がある。


 HENTAI呼ばわりされたら悲しいし。

 「あれ? 男だったの??」とか言われても嘆かわしい。



 あぁ、そうか。


 転移で二人の間から抜け出し、ベッドの外に出る。

 床に寝っ転がる形になってしまったが、キチンと手入れがされているお陰でら砂の一粒もホコリの一葉も身体に着けずに済んだ。

 お掃除をシッカリ出来る人って、偉いね。


 アリアがカノンを想って、一人寂しく滅多に帰って来ない家主の為に掃除をしているのかなぁ。

 甲斐甲斐しいね。

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