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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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209/210

神さま、現実逃避する。

いつもご覧頂きありがとうございます。


皆様、雪の影響は受けておりませんか。

大変申し訳無いことに、除雪作業によって時間が確保出来ず、今日も本文な短いです。

大変申し訳ありません。

多分明日も短いです。

サッサと寒波よ、去ってくれ。


皆様、どうぞご自愛くださいませ。

 瘴気や魔力によってモノの見た目が変化するのは、何度も目にしている。

 魔物や木々なんかではよく見られるし、有機物に作用するのかな。


 妖兎(レプス)が生息域によって魔兎(ククルス)になったり、ただのカバノキが、瘴気による土壌汚染で、魔樺(ペドゥラ)になったりね。

 ……イヤ、微精霊が魔精霊(カドゥーシャー)になる例があるから、そうとは一概には言えないのか?



 なんなら霊力にも、そういう対象物を変化をさせる作用がある。


 氷の精霊(スティーリア)元素の精霊(エレミエント)が、そうだったからね。



 精霊はキラキラと輝いた雰囲気をまとっていて、その姿はヒラヒラした白を基調とした服を男女関係なく身にまとっている。

 装飾品や髪の色で、それぞれの属性の特徴を表している。


 対して燼霊(じんれい)は、ドス黒く陰鬱とした雰囲気を撒き散らし、黒をベースとした服を着用している。

 しかも鎧とか甲冑のような、ガッツリ戦闘スタイルでどの燼霊(じんれい)も姿を表す。


 元素の精霊(エレミエント)の元となった現御神(あきつみかみ)の場合は、人間の生活に溶け込むためなのだろうが、そこら辺にいそうな精霊教会関係者みたいな格好をしていたけれど。

 アレは特殊な例だろう。



 燼霊(じんれい)の尊大な態度を鑑みるに、彼等は人間や精霊を見下している。

 意識をしては、居ないのだろうが。


 余程の一部の例外を含めない、大半の人間が蟻や芋虫を見た時と同じ反応だ。

 拒否や否定、嫌悪に憎悪。


 見下しているとは意識せず、アチラはコチラとは別の存在だと、線引きをする。

 コチラの種の方が優れていると、勝手に判断し拒絶をする、ある種の傲慢さが燼霊(じんれい)からも窺える。



 協調性や謙虚さは微塵も感じられない。

 元が人間だとは到底思えない、正しく、破壊を象徴する存在だ。


 悲しいが、相容れる事は……無いのだろう。



 氷の精霊(スティーリア)の場合は、執着していた琥珀(こはく)との共存の道を示した事で、何とかコチラに寝返らせる事が出来た。

 他の燼霊(じんれい)もあるいは、そう言う道さえ示す事が出来れば、精霊に転じさせる事は、可能だろう。



 ……だが、元が大精霊である火の精霊(イグニス)燼霊(じんれい)となってしまった場合は、どうすれば良いのだろうか。



 火の精霊(イグニス)は元の時折朱が混じるラッフルフリルが特徴的な服装とは真逆の、黒く全身にピタリと張り付いたような格好をしているが、要所要所はシッカリ防具でガードされている。


 物質的な攻撃は効かないのだから、あくまでビジュアル的な問題で身にまとっているのかな。

 そうじゃなければ、一歩間違えたらモジモジくんスタイルで思わず吹き出しそうになってしまうな笑いを誘う見た目に変貌しているのだもの。


 こんなシリアスな場面で、地球の小ネタを挟んではいけない。

 俺にしか通用しないのだから、笑った時点で怒りを多方面から買ってしまい、袋叩きに遭うだろう。


 味方陣営からも攻撃されたら泣いちゃう自信がある。

 ガマンしなければ。



 そうでなくても、羽虫でも叩き落とすかの如く、片手に持っていた琥珀(こはく)をコチラに振り落とした彼の瞳は、背筋に寒気が走る程に底が見えない、昏さを宿していた。

 笑いなんて、すぐさま引っ込んだ。



 何の感慨も湧かない。

 何の後ろめたさも感じない。


 ただ、邪魔だったから落とした。

 そんな感じだ。



 火の精霊(イグニス)は、生前から口数の多い方ではなかった。

 表情もそこまで豊かとは言えず……どちらかと言うと、乏しい部類だっただろう。



 周囲の人間がよく喋り、彼の代わりと言わんばかりに喜怒哀楽が激しかったので、ある意味仕方が無いと言える。

 だがこんな人間味の無い、感情を一切感じない表情は、見た事が無……


 ……イヤ、俺が殺した、その瞬間だけだ。



『――遅い反抗期だとしても、ちょっと苛烈過ぎじゃないのかな』


 ヤレヤレと、溜息混じりで瓦礫の中から這い出て来た琥珀(こはく)が、衣服に付いた土埃を叩き落としながら呟いた。

 精霊なのだから、本来ならそんな事をする必要は無い。


 俺達を安心させるための、一種のパフォーマンスのようなものだろう。



「いつから、火の精霊(イグニス)があんな状態になったって気付いてたの?」


『――うん?

 前からおかしいな、とは思っていたのだけれどね。

 私たち精霊は、嘘は吐けないけれど、隠しごとはできるから。

 何かがあるんだろうな、となんとなく感じていた程度だね。

 今までも、火の精霊(イグニス)に限らず、そんなことは過去にも沢山あったから。


 確信に変わったのは、この山にちょっかいをかけた時だよ』


 マグマを抜く際、火の精霊(イグニス)の本体が置かれている場所にしては、霊力の通りが悪かったそうだ。

 地脈点もそうだが、特に皆の本体が置いてある場所は、大精霊の力によって、大抵の瘴気は浄化される。

 むしろ霊力に満ち溢れているハズだ。


 空気清浄機みたいなものだね。

 その場に居るだけで、空気をキレイにして、更にマイナスイオンまで発生させる感じだ。



 不思議に思い中に入ってみたら、奥に行けば行く程、瘴気が濃くなって行く。


 火の精霊(イグニス)の本体が、実はココに無かったのたとしても、地脈点には変わりない。

 なのにも関わらず、瘴気の濃度が余りにも濃かった。



 もしかして、ココに有翼乙女(ハルピュイア)が通って来た次元の裂け目があるのかもしれない。


 ソレを塞げば、俺達に褒められるとか、そういうちょっと打算的な事を考えて、黙って確認をしに最深部まで一人でノコノコ来てみたら、火の精霊(イグニス)燼霊(じんれい)化していて、戦闘になった、と。


 報連相をキチンとしろと、俺に口を酸っぱくして言って来るカノンは、何故か今、説教をする場面だろうに、琥珀(こはく)には黙りだ。

 差別するのは、良くないと思いま〜す。



 火の精霊(イグニス)は俺と行動していた分体が操れる力を、かなり抑えて分け与えていた。

 大半の力は数年前、ココに開いた次元の裂け目を、これ以上広げないため、また塞ぐために使われていた。



 火の精霊(イグニス)の努力の甲斐があり、少数の有翼乙女(ハルピュイア)が来ただけの被害で終わり、燼霊じんれい自体はコチラの世界に来る事も無く、次元の裂け目は塞がった。


 火の精霊(イグニス)が犠牲にならなければ、もっと酷い被害が出ていたと思われる。



 だからと言って、火の精霊(イグニス)自身が燼霊(じんれい)化してしまったら、もっと酷い状況になっているのではないかと思うのだけれど。

 次元の裂け目の規模的に、()()()レベルの燼霊(じんれい)が来ていたかも、と言われれば、まだマシだと受け入れる他ないのだが……



 だがしかし、火の精霊(イグニス)一人が犠牲になるのは、間違って居るだろ。


 前世でも世界のためにと殺されて、今世ですら同じ道を辿るなんて。

 そんな事、許されるべきではない。


 例え本人が、その選択肢を選んだとしても、だ。



 そんな破滅願望は不健全であると、死を連想させる行動の全てが脳内麻薬によるまやかしであったのだと、この世界に来てようやく気付いた。

 火の精霊(イグニス)だって、この世界に転生して過ごした長い年月で、幾らでも学ぶ機会はあっただろうに。


 聡くも、感受性が強過ぎる子だったから、その敏感さがマイナスに働いてしまったのだろうか。

 責任感が強過ぎて、自分の領域に出現した次元の裂け目だから、一人で対処しなければと、気負ってしまったのだろうか。



 再会出来た喜びに浮かれてないで、彼の苦悩を、悟る事が出来ていたら、違っただろうに……


 言っても詮無いから、横に放り投げて置くけどね!



 幸いなのは、分体が消滅した事により、火の精霊(イグニス)の能力が低下している事だな。


 ソレに、精霊神となり、大精霊よりも階級の上がった琥珀(こはく)がココには居る。

 颯茉そうまは来れないにしても、浅葱(あさぎ)稜霓(ろうげつ)もいる。


 力で押さえ付けるのは、フィールド的に噴火したらマズイから出来ないけれど、戦力としては過剰なくらいにあるのだ。

 なんとかなるだろう。


 琥珀(こはく)がベチャッと放り捨てられていたのは、何かの間違いなのだ、きっと。

 そう思い込まなきゃ、やってらんねぇ。

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