表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

206/212

神さま、浄化する。

 細モヤシから太モヤシになったカノンの手から離れ、隣のトゲの上に降りた。

 改めて周囲の気配を探るが、何も感知出来ない。


 目まで瞑って集中しても、やはり何も感じ取れなかった。

 ココまで何も捉えられないのって、初めてじゃなかろうか。



 カノンにコツを聞こうと目を開けると、目の前に何か居た。

 しかも、複数。



 ……微精霊って、俺の中ではカラフルなケサランパサランのイメージなんだよね。


 毛玉みたいにフワフワで、掴みどころがなくて、ふよふよアチコチに漂っているから。


 低位の精霊にもう少しでなれそうなくらいに成長していれば、それぞれの属性の色に染まっていることもある。

 大抵は微弱な霊力を持っている魂というか、多少の意思疎通が出来るエネルギーの塊というか。



 地球には該当する存在が居なかったから、コレ、と具体的な例を挙げられない。

 まぁ、ボンヤリとそんなイメージを持っているのが、微精霊なのである。



 そんな微精霊には、黒色は存在しない。


 だが目の前に、全体が黒いタンポポの綿毛のような存在が、確かに浮いている。



 つい凝視をしていると、その柔らかそうな塊が、コチラに向かって、右往左往としながら寄ってきた。

 近寄ると言うよりも、風によって運ばれてきたような動きだが。


 魔庭亀(テスフォルティ)のトゲから手を離して、バランスを崩してはいけない。

 そう思い、振り払く事なく、顔にくっつきそうになるのを、抵抗すらせずに見ていたら、案の定、頬に触れた。


 イヤ、刺さった。

 ブスリと。


「いっでぇ!」


 油断していたせいもあるし、あわよくば肌触りが良かったりするのだろうかと、受け入れ態勢で居たのがよろしく無かった。


 見掛けによらず、毛の一本一本が、恐ろしく痛い。



 アレだ、サボテンのトゲのイメージだ。

 一見柔らかそうなのに、触ると痛い目を見るヤツ。


 しかもこのトゲが、なかなか抜けないんだよね。


 表面に近い所のはすぐ取れるんだけど、奥に入ってしまったのは、摘出するのが難しいのだ。

 顔だからどれだけ刺さっているのか、自分では見れない。


 ガムテープなんて無いし、どうやって取れば良いのだろうか。

 治癒術を掛けたら、どうにかなるもんだったりするのかな。



 毒が無いと良いのだけれど。


 ってか、何?

 コレ??

 メッチャ痛い。


 あ、ソレは流石に言い過ぎか。

 地味に痛い。



「お前……馬鹿なんだな……」


「しみじみ言わないで。

 もしかしなくても、コレが魔精霊(カドゥーシャー)???」


「そうだ。

 見た目に騙されて、酷い目に遭う奴が多いと、説明したばかりだろう」


「あんな仰々しい言い方をされたから、もっと手酷い目に遭うもんなんだと、勘違いしてたんだよ!」



 しかもコイツ、刺されば痛いのはもちろんの事、追い払おうとすると、静電気がビリッとバチッと来るのだ。


 地味にずっと痛い。


 凄く痛いワケでは無いのだけど、慣れもしない、無視も出来ない痛みがず〜っと続いてるの。

 ストレス溜まる。



 手袋には、雷の属性に対する抵抗値が無い。


 素材は魔物の皮だ。

 絶縁体ではないので、当然防ぐ事が出来ずに、ずっとバチバチ音を立てて攻撃してくる。



 鉄壁に近い付与をしているハズの防具達は、それらの攻撃を防いでくれない。

 余りにも地味過ぎて、攻撃と判定されないようなのだ。


 すんごい些細だけど、腹が立つ嫌がらせだなぁ、ヲイ。



 俺の周囲に張ってある、精霊神の二柱が展開している防護壁すらすり抜けるとは、畏れ入る。

 攻撃もそうなのだが、通り抜けた時に、霊力によって浄化されないんだな。


 あぁ、そっか。

 ソレなら意識して浄化すれば、無害になるのか。

 元微精霊なんだもんな。



「鬱陶しいし、浄化出来ないか、やってみてもいい?」


「では、魔庭亀(テスフォルティ)が妙な挙動をしないか、見ていよう」


 言って、手招きをされた。

 話が早くて助かるね。


 再びカノンと同じツノに立ち、背中を預け、目を閉じる。



 意識を集中せずとも周辺の浄化が出来るようになれば良いのだろうけど、そんな手練(てだれ)には一朝一夕ではなれない。


 それにどれだけの時間が掛かるか、そもそも魔精霊(カドゥーシャー)の浄化が可能なのか否か、カノンにも分からない。


 浄化に抵抗しようと、魔庭亀(テスフォルティ)が暴れ出す危険性も伴うため、何かあった時に直ぐに対処出来るよう、なるべく近くに居た方が良い。



 そういうワケで、赤ん坊のように前向きに抱っこされている状態になっている。

 目を開けた時にすぐさま状況が把握出来るという意味でも、立ち位置が安定しやすいという意味でも、横向きや向かい合わせよりも、コチラの方が適している。


 揺れによって後頭部がカノンの鼻にぶつからないようにだけ、注意しておかないとね。

 勢いが良過ぎたら、最悪前歯を折ってしまうもの。



 太極拳では気を練り上げるとか言うけれど、多分、浄化をする霊力を高めるための意識や心の動きは、ソレに近いんじゃないかと思う。

 集中力も大切だし、霊力の密度を上げるのもそうだし。



 攻撃に使うため、霊力の塊を作る時とも違う。


 アレは敵を排除しようとする、ある種の悪意を孕んでいる上、一撃必殺のつもりで放つ。

 言ってしまえば、手加減せずにギュギュっと適当に圧縮した霊力をぶつけているので、集中する必要なはい。



 だが浄化の場合は、手間も時間も掛かる。


 性質と密度の違う霊力を、自分を中心として地面を這うように足元から放射線状に放出する。

 任意の範囲一帯に行き渡ったら、風呂敷で包むように外側から中心へ向けて、つまり俺の元に手繰り寄せる。


 霊力だから物質ではないため、あらゆるものをすり抜けて来る。

 だが魔力や瘴気は、霊力に引っかかる。


 引っ掛かった魔力は、霊力に相殺される。

 相殺し切れなかった分は、霊力の密度を変えて同じ事を繰り返せば、そのうちキレイさっぱり魔力は消えて無くなる。



 その様子が花のようだと、アルベルトに言われた事があったな。

 蕾が開花するように、浄化の霊力がフワリと広がり、俺の場所へと集束する時、花弁が閉じるようで綺麗だったと。


 チューリップの傾性運動のようなものかと納得したが、彼が言いたかったのはソコではなかったらしく、しょっぱい顔をしていたな。

 懐かしい。



 俺からしてみれば、浄化はそんなおキレイなものではなく、根気のいる選別作業だ。


 砂や石が混ざった紛粒状固体を選別する(ふるい)のイメージかな。

 篩を使う時、目の荒い通しから、順に細かい篩にしていくと良いと言うけれど、そんな感じなのだ。

 選別する種類によって、幾つもの網目の篩を使わなければならないだろう?


 とっても単純作業だけど、続けていれば飽きるし腕が痛くなるし、かなり大変なのだ。



 最初から目の細かい物を使うと、篩の中には無選別に雑多な物が残ってしまう。

 上手く選別出来ないのも問題だし、何より重みで道具が壊れてしまう。


 急がば回れと言うように、手順をおざなりにせず、段階を踏んだ方が確実なのだ。

 そういう、忍耐力の要る作業が浄化である。



 ……だが、俺の感知に引っ掛からないだけあって、どの属性に霊力の質を傾けても、密度をどれだけ高めても、魔精霊(カドゥーシャー)は一向に浄化されない。


 静電気がビリビリしているから、精霊にはいないが雷の属性なのかなとも思ったけれど、やはり引っ掛からない。

 当然、浄化もされない。



 救いなのは、魔庭亀(テスフォルティ)の様子が全く変わらず、今も下へと進んでいる事かな。

 火の精霊(イグニス)の気配が近いような気がするし、マジでそろそろ降りた方が良さげなんだけど。



「最後にした浄化は、何か今までの方法と違うのか?」


「あぁ、雷の属性を付与してみたんだ。

 なんかあった?」


「一瞬だが、魔精霊(カドゥーシャー)の身体が白くなった」


 浄化した直後しか色が変化しなかったのなら、俺が認識出来なくても仕方ないか。

 下に進むにつれ増え続ける魔精霊(カドゥーシャー)は、目を向ければ今は既に、まっくろくろだけどね。



 つまりこの魔精霊(カドゥーシャー)は、雷の属性を持っていた微精霊だったのだろうか。


 イヤ、雷の属性の精霊はまだ誕生してない。

 つまりその属性の微精霊も、居るはずがない。



 他の属性で反応が無かったか問えば、火の属性の浄化でも、似たような現象が起きたそうだ。


 まぁ、両方とも、言ってしまえばプラズマだものな。

 火と雷は共通点が多い。


 似通った反応があるのも、頷ける。



 いつか(トボス)を精霊にして、独立した属性にしようとしているのは、完全なる俺のエゴだ。

 今の精霊のメンツでも、世界を巡る霊力量さえ増えるなら、増やさなくても十分なんだよね。


 ソレを言い出したら氷の精霊(スティーリア)元素の精霊(エレミエント)だって同じく、増やす必要は無かった。

 今まで何百年と問題無かったのだから、無くても問題は無いのだよ。



 居たら便利って思うのと、燼霊(じんれい)をコチラに転じて向こうの戦力を削ぎ、かつコチラの強化を図りたかった部分が大きいから、二人は精霊になったワケだが。

 実際二人が誕生した事で、俺的には利便性が向上しているから、非常に助かっている。


 無くても問題は無いが、居るととっても便利って感じ。



 霜華紋(フロストフラワー)だって、火の精霊に頼むよりも氷の精霊(スティーリア)に頼んだ方が、少ない霊力で威力が増したじゃない。

 そういう場面が、今後増えると思うんだ。



 そんな誕生したばかりの二人の属性は、まだ眷属も居なければ、己に連なる低位の精霊も、微精霊も居ない。


 人々に認識され祈りを捧げられるようにならないと、数が増えないのだ。

 仕方がない。


 誕生して何ヶ月か経過している彼女達ですらそうなのだ。

 雷の微精霊など、いるワケが無い。



 つまりはこの微精霊達は、元は火の属性を帯びて居たのだろう。

 ならばそう意識して、改めて浄化すれば良い。



 手応えが無いから効果が無いと判断して、属性を帯びた密度の高い浄化はしていないのだ。

 何の属性も帯びていない、汎用的な浄化は色んなやり方で行ったんだけどね。


 属性をまとわせないと、一切浄化出来ない事もあるんだな。


 こういうパターンもあるのかと、ひとつ学びになったよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ