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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、身震いする。

いつもご覧頂きありがとうございます。

イッキ読みして下さった方、ブクマ登録して下さった方、重ねて御礼申し上げますヽ(´▽`)/

 最低丸一日は、フリーの時間が出来てしまった。

 さてじゃあどうしようかと考えようとしたら、カノンが珍しく行きたい場所があると、提案して来た。


 ご近所だと言うし、ならば今からでも行こうかと空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)に乗り込んだ。


 何故か、浅葱(あさぎ)も同席している。

 イヤ、別に良いんだけどさ。

 火山の中へと入る当日にしかやる事が無いからって、こんな所で油なんか売ってて、良いのだろうか。



 カノンの指示に従って飛ぶが、どこに行こうと言うのだろうか。

 この辺にしか生息していない、薬草集めとかそういうのかな?


「今は失き集落の近くだ。

 ……聞いた話が正しければ、ガオケレナが自生している確率が、一番高い場所だ」


 がおけれな?


 聞いた覚えが……あるな。

 王都(ディルクルム)に娼館を構える、夢魔のイシュクから聞いた名称だ。



 夢魔が元々居た世界から一緒に転移してきた、秘宝ってヤツだね。

 確かに、トルリダ諸島近辺にあるという話だったな。



 トルリダ諸島には現在、人は住んでいないと言われていた。


 だからてっきり、ガオケレナが自生しているであろう場所は、ピスカ街のように、トルリダ諸島に程近い、フェニエス大陸の何処かにあるのだと思って居た。


 それもあって、話に出さなかったのだけれど……

 ‘’今は失き‘’という事は、夢魔の被害を訴えて来た人々やその子孫は、既に全滅したか、別大陸に移り住んだのか。


 諸行無常ってヤツだね。



 夢魔討伐の話って、一体どんだけ前の話だったんだろう?


 魔物によって集落が消えるのは、つい最近この目で見たばかりだ。

 だがソレは空を飛ぶ上、ニブルヘイムからやって来た有翼乙女(ハルピュイア)が特殊だっただけだ。

 基本的には地続きになっている場所が、魔物の侵略の対象となるワケで。


 島同士が近かったとしても、そんな村なり町なりが消えてなくなるようなレベルで、一斉に海を渡って来る魔物は居ないだろう。


 鳥型の魔物なら弓や投擲が有効だし、地面に落とせば、人間の方が強い場合もある。



 そうなると、離島の暮らしが不便で、捨てたパターンかな。

 帆船でなくても、ピスカ街までの距離なら、根性を出せば人力でも船で渡れるだろう。



 夢魔の根城になっていた島は、当時カノンが吹き飛ばしてしまった。

 島そのものは跡形もなく無くなってしまったし、周辺地域も津波や衝撃波によって、地形が変わってしまったと聞く。


 ……カノンの精霊術の影響で作物が育たなくなって、人々が故郷を捨てたのだとしたら、余りにも因果応報が過ぎるな。

 人を呪わば穴二つというか。



 そんな状態だったから、男夢魔(インキュバス)のイシュク達は這う這うの体で島を脱出。

 泣く泣く夢魔の秘宝を諦め、再び目を付けられないように、現在に至るまで、ヒッソリと人間に溶け込み暮らしている。


 ヒッソリと言うには、自己主張の激し過ぎる石像が出迎えてくれる店を構えているが。



 上空から見ても、そんな不自然な形状をした島は見当たらない。

 近くと言うけれど、本当だろうか。


「このまま、北西に進めば……

 ……おい、空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)の操作が下手になっていないか?」


「は?

 空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)を飛ばすのに、上手いもヘタもあるかよ」


「なら、なぜこうも視界が安定しない」


 言われて空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)から身を乗り出し海面を覗き見て意識をしてみるが、特に問題は無いように思える。

 波が高くなってきたから、もう少し高度を高くした方が良さそうだな、と思う程度だ。



 頭を傾げながらカノンの視線の先を追ってみると、目的地なのだろう。

 ひとつ、他よりも大きめの島が遠くに見えて来た。


 その島が、確かに左右にユラユラ揺れて居るように見えなくもない。



 もしかして、地震かな?

 だとしたら、風が吹いても居ないのに波が立つのも納得する。



 ただこの世界って、全然地震が無いんだよね。


 俺がワガママを言った時、王都(ディルクルム)周辺の地形を変えるのに、琥珀(こはく)が地震を起こしたくらいか。

 大昔は他の世界と融合する際に、結構頻繁に起こったと聞いているが。



 ……ん?

 地形の変化??


「あ〜……

 もしかして、琥珀(こはく)が地震を起こしてたり、するの?」


『――マグマを移動させるため、地下に幾つも穴を作るんだから、そりゃ揺れもするだろうな。

 ……で、そうすると津波が起きるから、俺が同行しているんだろ』


 言って浅葱(あさぎ)の言葉を肯定するかのように、ザッパァンっ! と襲い掛かる海の壁。

 空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)を飲み込まんばかりに見上げる高さのソレを、浅葱(あさぎ)は邪魔臭そうに右手で払い除けただけで、いずこかへと消し飛ばした。


 水の精霊神様にとっては、津波も羽虫も、似たようなもんなのか。

 動作が完全にハエや小虫を追い払う時の、ソレだった。


 あ〜、怖かった。



 地面が揺れ続けていては、目的地に到着しても、ろくに動けない。

 ならば浅葱(あさぎ)が守ってくれるのだし、海上に留まる方が安全だ。


 酔うといけないから、余り景色は見ないようにしておこう。



「この津波、ピスカとかメリディーみたいな、沿岸部の街を襲ったり、しないよな?」


『――嫌なら、寄越せ』


 取り立て屋のように手をずずいと出して、指をクイクイ動かし霊力の催促をして来る。

 ハイハイと応じて手を重ねると、さっきよりも比べ物にならない位多い霊力を、一気に持って行かれた。


 なんでや。

 霊力譲渡量の、基準が分からん。



 暇潰しに話を聞くと、精霊神の皆が直接作業をする時は、俺への配慮というか、知り合い価格と言うか。

 徴収する霊力量を遠慮し抑えるので、先程もそうだったが、俺は余り霊力を消費しなくて済む。


 だが津波を鎮めるような、他の数多の精霊達でも対応可能な事になると、皆が眷族達に霊力を渡して、代わりに行って貰う事になる。

 下請けに出すような感じかな?



 人と積極的に関わらせる為にも、力を振るい方を覚える為にも、相当数を熟さなければならない。

 そしてその際には、相応の霊力量が必要にる。


 なので今回は、俺が想定していた以上の霊力を持って行ったのだそうだ。



 オマケする事を最初から覚えてしまい、いざ精霊術を使いたい人達へ手を貸す時に、正しい必要な霊力量を見誤ってしまったら、大変なのはその精霊達だ。

 不足分を補うのは、精霊達を構成している霊力になる。


 ソレに気付かなければ、そのうちその身が維持出来なくなり、死んでしまう。

 精霊石になったり、魂が輪廻へと至るのが通常だが、場合によっては燼霊(じんれい)化してしまう。


 そうなれば、目も当てられない。



 なので皆は積極的に、精霊術を望む人達の願いを、下位の精霊達へと振り分けるのだそうだ。


 仕事の割り振りをしなきゃいけないなんて、大変だね。

 そういう上に立つ者としての義務とか責任とか、面倒臭いものが付きまとう立場には就きたくないと、しみじみ思う。



 部下と捉えるか、子供と捉えるかで、随分考え方は変わるのだろうが。


 下位の精霊や微精霊だと、意思や自我が殆ど存在しないし、子育てに近いだろう。

 上位の精霊は、結構感情や理性を持っているし、自己主張なんかもする。

 なので部下のような位置付けっぽくなるよな。


 琥珀(こはく)氷の精霊(スティーリア)を除いて、子育てらしい事も、部下の教育もした事がないのに、大変だねぇ。



 波がだいぶ落ち着いたようなので、改めて目的地へと進む。


 島を越えたその奥に望むのは、フェニエス大陸か。

 一〇〇km無いくらいの距離だろう。


 ハゲ島とかと比べると、意外とご近所なんだな。

 あの距離なら、波が穏やかな時期を選べば、船で辿り着けそうだ。



「あちらの方角に、夢魔たちの住む島があった。

 今は何もないが、運が良ければその周辺の島に、ガオケレナの種子が運ばれているのではないかと、予想している」


「この距離なら、余裕でフェニエス大陸もその有効範囲に入るぞ。

 どんな植物か、カノンは知っているのか?」


「いや、知らん。

 だが逆に、ここら周辺に自生する植物は全て頭に入っている。

 見覚えのないものを、探せばいいだろう」


 言ってガッサガサと音を立てながら、草を掻き分け行ってしまった。



 さすがに俺も、全くのノーヒント状態のものだと探せない。

 名前しか知っている情報が無いのに、あるかどうかも分からないものを、一日でこの範囲で探せと言われても、なかなかに難しいのではなかろうか。



 ……ガオケレナは元々夢魔達の世界にあった、つまり異世界の植物なんだよな。

 なら、この世界の動植物とは、気配や霊力の巡り方が根本から違うって事か。


 地球由来のものも、そうだったしね。

 霊力か魔力の、反発の仕方で分かるかもしれない。



 目を閉じ、ん〜……と少し、集中してみる。

 ……なんか、在来種に混じりものがされている植物が多い。


 つまりコレは、ガオケレナとの交雑種がアチコチにあるという事で良いのだろうか。

 遺伝子汚染って、存外すんなりアッサリと広がるものなんだな。


 意外と言うか、なんというか。



 では肝心の純生のガオケレナはどこにあるのかと言うと……少なくとも、この島には無さそうだ。

 なのに自生している植物の、その殆どがガオケレナに侵されている。


 どういう事だ?



 異種交配って、同じ種類や品種でしか起こらないものだよな。

 その同じ属種でも、交雑不全を起こしてしまうくらい、交配は難しいものだという認識でいた。



 食糧不足を解消する為に作られた細胞質雑種植物 ――Cybrid植物なんかが良い例だ。

 アレはベースの核ゲノムにコムギを据えて、トウモロコシやイネを交雑させたものだ。


 全てイネ科の植物だったから可能になった交配ではあるが、従来の方法では生殖的隔離によって交雑不全になったとかで、一時は不可能とされていたらしい。

 理由としては、同じイネ科て、それぞれ異なる亜科に属していたから、交雑体の作出が非常に困難だったとか。



 異なる亜科の核DNAと、細胞質DNAが共存する形になってしまい、遺伝子同士が、ケンカをしてしまうイメージだな。

 そのせいで交雑胚の成長が途中で止まってしまうのだ。


 だが顕微授精法の確立によって、コムギ精細胞・イネ卵細胞・コムギ卵細胞をシャーレ上で培養して交雑不全を回避した。


 ソレによって作られたCybrid植物は、乾燥・湿潤・低温・高温……それぞれの種類が苦手としていた環境ストレスを克服した。

 病気にも強く、収穫量も多い。



 そういう改良品は、人の手が加わる事によって生み出されて来た。


 遺伝子組み換えや、品種改良も含めてね。

 自然下では、起こり得ない事だから。



 だから遺伝子汚染なんて、そう簡単に進まないと思っていたの。

 俺は。


 精霊神の皆が働き掛けたとしても、交雑不全を起こす品種は自然に任せてればどうやったって出るだろうし、新たな植物が誕生し根付くのなんて、良くて一部だけだろうと。



 だが成功例を目の当たりにしてしまうと、地球から持ち込んだ生物達が、どのようにこの世界に馴染むのかが、全く想像が付かなくなる。


 だって目の前の植物、全てにガオケレナの遺伝子が入り込んでいるんだよ!?



 ガオケレナが特殊過ぎるのか、この世界の植物が何でもウェルカム状態で受け入れてしまう特殊性を持っているのか。

 果たして、どっちだ。



 後者だとしたら、食べるととっても美味しいのに、噛んだら漏れなく口の中で爆発するリンゴなんかが出来そうで怖い。

 あるんだよ、この世界。


 爆発する果実が。



 爆裂栗(カルプティナ)と言うのだが、下に落下した際、総苞が爆発してトゲが霧散する。

 たまたまその近くにいた魔物なり人なりがそのトゲを浴びると、体内に深く入り込み、毒が回る。

 その場で被害者が死ぬと、果実の養分となる仕組みだ。


 果実は栗よりも大粒で、加熱すると甘みが強く非常に美味である。


 栗に近いという事は、バラ類になるだろ。

 リンゴとかブドウとかと、交雑しやすいと思うんだよね。


 甘い香りの中死ねるなら、本望だろうか。


 ……イヤ、やっぱ死因が果物なんて、絶対ヤダ。

地球にもありますけどね。

爆発する果物。


スナバコノキと言います。

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