神さま、拗ねる。
いつもご覧頂き、ありがとうございます。
前回に引き続き、閑話になるのでちょっと短めです。
島嶼群の間を泳いで行き来する在来種も居るので、ハゲ島と化した島の中で最も外側に位置する場所に、動物の配合率が高い魔物を配置し、暫く様子を見る事になった。
なるべく暫くは、島の中だけで交配をして欲しいからね。
だからといって結界を張ってしまっては、自然環境から更に遠ざかる。
余りにも自然下と状況の差が開いてしまえば、別の場所でも上手くいくのか分からなる。
ソレでは実験をする、意味が無い。
魔物と比べると動物の方が全体的に大人しい。
同系種同士で比較すれば、より顕著にその傾向が見られる。
動物の割合を高めれば、どの魔物も弱く温厚な気質になると思っていたのだが、妖猫のように凶悪さを増すパターンが、他にも出て来る可能性がある。
どちらかというならば、魔馬がうまく行き過ぎただけだったのだ。
そう考えるべきだからね。
何日に一回、何週間に一回の頻度になるかは、その時になってみないと分からないけれど、転移するための目印を設置したし、なるべくヒマを見つけて通いたい。
癒しのモフモフパラダイスが出来ると、とっても嬉しいな〜
……ソレを考えると、妖猫の毛並みを堪能出来なかったのは残念だな。
モフの一端だけでも良いから、触れたかった。
猫の毛はシルクのような手触り、なんて比喩される事もあったと言うし、さぞかし滑らかで触り心地が良いのだろうなぁ。
妖猫と合わせた時に、どれ程のものになるのかが微妙ではあるが。
魔物の毛って、防御力を高めるためなのだろうけれど、基本的に堅いものが多いんだよね。
ソレはもちろん、妖猫だって例外ではない。
加工をすると多少は柔らかくなるけれど、柔らかくし過ぎると、今度は防具としての意味を失くす。
魔物の毛皮は、装備品に加工される事が多いから、柔軟剤のような毛質を改善するものが、造られていないんだよね。
洗浄力が高い洗剤や石鹸なら、そこら辺の露店にも売られているけど。
逆に洗浄力が高過ぎて、必要な油分までも落ちてしまい、毛質がゴワゴワになりやすい。
コチラの都合良く、手触りは極上、防御力も抜群、みたいな魔物の毛に進化する個体が出てくれると良いな。
そうなると、今度は乱獲を心配しなければならなくなるのだろうか。
ニホンカワウソもオカピも、毛皮を目的とした乱獲で個体数が激減したし。
ただ魔物は生死のサイクルが、動物よりも余程早い。
気にしなくても問題ないのか?
だがそれこそ、外来種の持ち込みによって天敵が増大した結果、絶滅した種類も居るしな。
遺伝子汚染を最終的な目的にはしているけれど、早まっただろうか。
魔物も人間と共生出来るように、とは言うけれど、結局ソレって、人間の特にしかならないもんなぁ。
家畜化された動物達は、衣食住の世話をしてくれるから、人間の生活に溶け込むよう、気質が穏やかに変化していった。
本来は今回のように、無理矢理強制的にするのは、倫理的に見たらよろしく無いんだよな。
まぁ、やるけど。
人間が絶滅しちゃったら、精霊神の皆が困るからね。
そして精霊が世界の霊力を巡らせる事が出来なくなれば、この世界は滅んでしまう。
ならば人間ファーストで考えても、バチは当たるまい。
魔物の事を、全く考えて居ないワケではないのだし。
「そう言やカノンは妖猫の毛、触ってたよな?
どうだった??」
「毛?
……ああ、摘み上げた時に、確かに触ったが……」
元ハゲ島を後にし、空飛ぶ石版に乗りながらの、暇潰しの会話。
ネコが暇潰しにうってつけだったのならば、今創ってみても良いかもしれない。
イヤ、創り出したらソレは、その時点で立派な一個の生命だ。
最期まで面倒を見るのならまだしも、移動時間の手慰みのためだけに、イタズラに創るのは良くないか。
どうせ目的地に着いたら、消さねばならないのだから。
だからと言って野に放てば、魔物に食い殺されて終わるだろう。
さすがにそんな無責任な事は、しちゃダメだよな。
何せネコの寿命は二〇〇〇年代前半で十六歳を超えた。
一九〇〇年代後半で五歳程だった事を考えると、施設に遺伝子のデータが登録された頃には、もっと延びていたと思うんだよね。
最高齢のネコとして登録されている個体は、四十を過ぎていたし。
今回島嶼に放って来たのは、一人で生きていくのにも、番を選んで子孫を残すのにも適した、生後十八ヶ月を目安に創り出した。
その年頃の個体を創るのに慣れたから、もし暇潰し用にと創るのであれば、同じような月齢の個体を創るだろう。
余生が長ければ三十年以上あるであろう生物を、俺のワガママで創って、ろくに生きていけない環境下だと知りながら放り出すのは、身勝手甚だしいにも程がある。
なのでせめて、心躍るような話題で、この手持ち無沙汰な状況をどうにかしたい。
そう思って話を振ったのだが……
何故かカノンは、質問に首を傾げ暫く沈黙した後、おもむろに俺の頭を撫で、髪を指で梳き始めた。
ゾワッと背中に悪寒のようなものが走り、思わず手を払い除ける。
おまっ!
基未の息子のクセに!!
なんでそんな、チャラ男がしそうな行動をするんだよ!!?
お前の父親、何度嗾けても母親に告白出来なくて、片思いを十年以上拗らせてた奥手なんだぞ!!!??
見ていてもどかしかったので、ソレを見倣えとは言わないが、アレの子供なのかと疑うような行動を取るなよ。
「ああ、済まない。
……ふむ、お前は、ネコに似ているのだな」
「は?
何じゃそりゃ??」
「手触りの感想を求めたのは、お前だろう。
あとは……王都で使用している毛布にも、似ている」
ネコっ毛という言葉はあるけれど、アレは毛質が細くてコシがない、柔らかい髪の毛全般をさす。
確かにスタイリング剤の意味をほぼ成さない毛をしているが、実際のネコと比べた時には、全然違うだろう。
しかも王都の家で使っている毛布は、レッキスラビットの手触りを再現したものだ。
ミンクやイタチに似た魔鼬獺と似ていると言うならまだ分かるが、よりにもよって、何故俺が妖猫やネコ混じりに似ているんだ。
ソレが事実だったとしても!
俺が俺自身を撫でたらおかしいだろ!!
愛でられないじゃないか!!!
却下だ、却下。
そんな感想は要らん。
そのムダに長生きしている経験から、別の似ている手触りの魔物を探せ。
「そうやって、すぐ威嚇するような所も、似ていると思うのだが」
「性格までネコと似てるってか!?」
薬とアリアに関して以外の情緒や関心が終わっているカノンに聞いた、俺がバカだった。
この旅を終えた時に生きていたら、隠居生活を送るのに、一匹くらい純粋なネコを創っても良いかもしれない。
ソレで縁側で日向ぼっこをするんだ!
もちろん、緑茶とおせんべい付きで。
猫の寿命問題。
治験が終わり、AIMが今年4月に国へと申請するそうですね。
更に健康寿命が伸びることを期待して、現在の最高齢猫さんよりも、若干かさ増しした年齢を書かせて貰いました。




