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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、目を回す

 遠近問わず、四方八方から、爆発音。

 たまにレーザー砲のような甲高い音、後、爆発音。


 火薬の類は使って居ないのだが、高出力で霊力を一気に解放すると、そんな音が出るらしい。

 そのため被害を被った現地では、煙も火の手も、一切上がっていない。



 それでもこの後は、雨を辺り一帯に降らせる予定だ。


 轟音を立てた場所は全て、有翼乙女(ハルピュイア)が潜伏していた場所だ。

 ニブルヘイムの魔物は、漏れなく浄化しなければならないんだろ?


 対面して倒したならまだしも、遠距離から一気に駆逐したので、正直、死体となった今、何処にどれだけ有翼乙女(ハルピュイア)だったものがいるのか、探知するのも面倒臭い。

 なにせ前方に見える小さな島に、何百、何千と蔓延っているのだもの。


 いちいち死んだ有翼乙女(ハルピュイア)の魔石を探知して、その都度一体一体浄化して回っていたら、キリが無いじゃん。


 一度に浄化をするなら、雨が最も手っ取り早い。



 幾らかの死骸は、実験が成功したのかを観察する為に残すつもりだが、ソレ以外は要らん。



「……お前だけは、敵に回したくないな」


「黙ってろ。

 集中出来ない」


「…………」


 ポツリと呟いたカノンの言葉に、少し集中力が乱れた。


 そのせいで……可哀想に。

 即死出来なかった個体が、チラホラ見受けられる。

 イヤ、直接は見てないけれどさ。


 何kmも先にある、巣の中の非戦闘員だな。



 可哀想とは言ったが、コイツ等とて魔物だ。

 つまり肉食及び雑食である。

 近隣の島々に元々生息していた、コッチの世界の魔物を自分達の食糧にしていたのだ。


 全く他者を害した事も、罪を犯した事もありません、と言うのなら話は別だが、考えてみれば、哀れむ必要は微塵も無いな。

 何せ魔物だし。

 侵略者だし。



 うんうんと自己完結した後、深く呼吸し、再び目を瞑って集中をする。


 今は空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)の上に居るのだが、その制御は全て、カノンに丸投げしてある。

 今回しようとした実験が、思いの外精神統一を必要とするようなので、失敗する位ならカノンに迷惑を掛けてしまえと、協力を仰いだのだ。



 何をしようとしているかと言えば、ニブルヘイムの魔物が持っている、魔石の回収だ。


 魔物にしても人にしても、探索をする時は魔力の方が使い勝手が良いのだと判明した。

 だがコチラの世界の魔物だと、瘴気を取り込む時に色々と不純物が混ざってしまうらしく、純粋な魔力のみが籠った魔石が取れないのだ。



 ニブルヘイムは、空気や霊気の代わりに瘴気が漂っているような場所らしいので、魔石に込められているのは、純粋な鬱屈した雰囲気を放つ、魔力ばかり。


 探索以外にも、使い勝手の良い場面があるかもしれないし、その実験の為にも、なるべく多く回収したいよね。

 いつニブルヘイムの魔物がコチラの世界に訪れるかも分からないし、だからと言って、そんな事の為にわざわざ自分達で次元の穴を開こうだなんて、思えないからね。


 そんな話になった。



 接近戦だと魔石を傷付けず、上手に肉体から切り離すのは難しい。

 なので遠距離から、ドーナツ状に輪っかにした霊力の塊を、胸の位置を目掛けて高出力で撃ち抜いたら、上手に魔物を一撃必殺で倒せる上、魔石を回収出来ないかなと思ったのだ。


 魔石を破壊したら、魔物って死ぬワケでしょ?

 くり抜いて体外に出されたら、やっぱり死ぬんじゃないかなと、仮説を立てた。


 ソレ自体は、すぐに実証された。

 存外アッサリと立証され、嬉しい限りである。



 だから今現在、ドッカンバッカンと、アチコチから絶え間なく爆発音が響いているのだ。



 だがこのドーナツ状の霊力による攻撃、というのがなかなか安定しなくてね。

 ドーナツと言ったけれど、どちらかと言うとトイレットペーパーの芯のような形のモノで、胸部を撃ち抜かなきゃならない。


 直径は有翼乙女(ハルピュイア)の個体によって差が生じる。

 強さによって、魔石の大きさが違うからね。


 ソレを位置を補足してから、気取られるまでに推測して具現化、発射しなければならない。

 有翼乙女(ハルピュイア)は集団行動を取っているので、ソレを約五〜一〇匹、一度にやらねばならないのだから、なかなか集中せねば難しいのだよ。



 なのでカノンに「黙れ」と一言だけ、端的に言ったのだ。

 もうちょっと余裕があれば、言葉も選べたのだろうけど。


 慣れるのに時間がかかっていて、思うように簡略化もさせられないし、焦りが生じて居た。

 そのせいでぶっきらぼうな物言いになったのは、自覚している。


 終わったら、謝らないとな。



 移動しながら暫く続けて、朝イチから始めたこの作業は、昼前にようやく終わりを迎えた。


 この後、浄化と魔石の回収をするのだが……

 先に回収をしないと、聖水の雨に打たれたら、魔石の中の魔力が空っぽになってしまうよな。



 小さいのは放置すれば良いけれど……今から、石拾いか。


 野郎二人で淡々と、石拾い。

 絵面が非常〜に地味である。


 落穂のように、分かりやすく自分の得になるような物なら喜んで拾うのだが、得になるかゴミとなるか、答え合わせは後日になるからなぁ……


 ずっと下を見続けたら、面倒臭い作業が鬱々しい気持ちになって、更に厄介に感じられるだろう。

 楽に終わらせる方法は、無いだろうか。



「昨日使っていた、闇の精霊(テネブラエ)様の術で集めることは、できないのか?」


如影従形(じょえいじゅうけい)か?

 アレって影が出てないと、作用しないんだよね」


 有翼乙女(ハルピュイア)は森や巣の中を中心に活動していた。


 手入れのされていない原生林の中は、日光が届きにくい。

 影が木々と重なってたり、薄暗く影そのものがクッキリ出ていなかったら、集める事は難しい。


 そもそも、魔石は背丈が無いからね。


 今みたいな太陽がテッペンに来ている時間帯では、影は僅かにしか出ていないだろう。

 実際、空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)に生じた俺達の影は、ほとんど見えない。


 中途半端に集める位なら、ある程度死骸が固まっている状態の方が、見付けやすそうだ。

 徒労に終わりそうなので、したくない。



「……なら、魔力は引き合う力があると言っていたな。

 女王の魔石を先に回収して、それを使って集めることはできないだろうか?」


「具体的に、どんな術を使って?」


「家でごみを集める際に、風精霊術を使うことならあったが……

 そういう現象を想起すれば、お前なら可能なのではないか?」


 カノンは基本的に、精霊から直接教わった術以外は使えない。

 契約を交わした方法以外で術を使うのは、精霊に対して失礼だと考えている節がある。



 まぁソレは、精霊がこの世界の神様代理なのだから致し方ないのだろう。


 敬い尊ぶべき存在だから、自分の好き勝手なイメージを伝えて、駄賃として霊力を与えるなんて、そんな使いっ走りの道具みたいな扱いをするのには、抵抗があるのだろう。



 だがそんな自分が忌避感を覚えるような事を、俺にさせるんじゃねぇよと言いたい。

 俺は得に問題視して居ないし、精霊神の皆も別段気にして居ないから、良いんだけどさ。


 それこそ、カノンは皆ともう顔見知りだし、なんなら一部の精霊神なんて、血縁じゃない。

 好き勝手にアレしてコレしてとお願いしても、良いと思うんだけどね。



 あ、カノンが得意なのは風属性だから、琥珀(こはく)の力は扱い辛いのか。

 可愛い……くはないが、甥っ子の望みとあらば、ソレ位のワガママなら、喜んで聞いてくれると思うのだけど。

 優しいヒトだし。



 有翼乙女(ハルピュイア)の影響で、食べられそうな魔物が周辺に全く居ない状態になっていた。

 生態系が崩れて、この辺の島々が死んでしまわない事を願うばかりだ。


 食べ物になり得る物が無いので、味気ない携帯食を食べながら、魔力の強い反応がある島へと向かう。

 そして触ると病気になりそうな雰囲気を醸し出している、大きな魔石を回収した。



 うん、有翼乙女(ハルピュイア)の肉体は崩れて消えているが、魔石だけ、ちゃんと残っているね。

 女王にも、あの攻撃が通じるとは思わなかったが。


 イヤにアッサリ倒してしまったな。



 つまり魔石の位置さえ分かれば、俺よりも弱い魔物なら、ゴリ押しで大量殺戮出来るのか。

  如影従形(じょえいじゅうけい)はまだ、魔力を持った対象に限定されるが、コレはちょっと……

 

 ……一歩間違えたら、恐怖に駆られた人間から追放されてしまいかねないので、人前で使うのは、辞めておいた方が良さそうだ。



 指先に霊力を集中させ、魔石が放つ瘴気を反発させながら持ち上げる。

 見た目通り、結構な量の魔力が入っているな。


 俺が想像するのは、掃除機だ。

 吸引力を強にして、魔力を帯びた物だけを吸い上げる。


 すると次から次へと、勢い良く大きさ問わず、魔石が引き寄せられた。



 後から磁石のイメージにするべきだったかと、後悔した。

 掃除機だとさ、前方向の物しか吸えないじゃん。


 クルクルと回りながらアチコチ歩き回るハメになり、目を回して気持ち悪くなってしまった。


 せっかくの想像力も、強大な力も、俺のウッカリの前ではポンコツになってしまうようだ。

 勿体ない事である。

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