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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、背筋を伸ばす。

いつもご覧頂きありがとうございます。


評価をして下さったお方!

大感謝であります!!

ひと足早いクリスマスプレゼントの気分です。

ありがとうございました!!!

今後も是非に‘’満喫‘’をヨロシクお願い致します( •̀ω •́ゞ)✧

 感傷に浸る時間があるのかと、以前の俺ならアルベルトを叱咤した。

 そんな軟弱でどうすると、心の機微に見向きもせず、泣くヒマがあるなら襲撃に備えろと、空気を読もうとしなかっただろう。


 だが魔物という危険と隣り合わせだとしても、常に緊張を伴いながら行動しなければならなかった施設と、この世界は違う。

 気を緩めて失敗して怒られる事はあっても、ソレが死に直結する事は無い。


 当たり前に明日が来ると思って……イヤ、明日が来ないかもしれないと、考える事すらしない。

 刹那的な考え方をしている人間が、()()()()が訪れるまで、居ないのだ。



 死を宣告されても受け入れず、抗う事を辞めず、諦めない。

 そんな定められた運命を拒む強さを持っている。


 だからこそ、その瞬間を想い、他の者の死を悼み、涙を流すのだ。



 そんな場面を、何度も見て来た。


 時には救い、時には間に合わず、無力感に覆われる事もあった。


 だから俺には、アルベルトを責められない。

 今なら想像して、共感する事くらいなら出来るから。



 ならば俺がするべき事は何かと考える。


 同調し慰め合える存在が居るのだ。

 慰めるのは、同志である顔見知り二人に任せれば良い。


 俺がヘタに口出しをすると、汲み取り切れない細かな心情的な部分のせいで、的外れにアドバイスをし出す可能性がある。


 アルベルトは基本的に異性愛者(ヘテロセクシャル)だ。


 歳下である事は良いとしても、半分野郎である俺にヨシヨシされても嬉しく無いだろう。

 こういう時に男を慰めるのは、女だと相場が決まっているからね。



 そうなると、いつ襲って来るか分からない、魔物の対処が仕事になるか。


 鑑定眼がニブルヘイムの魔物にも有効だったら、作戦も立てられるし、気を付けるべき事をわざわざカノンに確認しなくても良いのに。


「なぁ、有翼乙女(ハルピュイア)ってテレパシー――精神や知覚の共有が、離れた個体同士でも使えたりする?」


「そういった話は聞いたことが無いが……

 有翼乙女(ハルピュイア)陽狼(スコル)のような存在は、確認された個体数がそもそも少ない。

 分かっていないことが多いからな。

 否定はできん」


 どうかしたのか、何か気になる事があるのかと問われたが、ソレに返答している時間が今、無くなった。


「……アッチにあるのは、海?」


「ああ、そうだよ。

 港は向こう。

 あっちは浜辺だ」


「分かった、ありがと。

 カノン、たぶん女王と、三〇〇体位かなぁ? ……の有翼乙女(ハルピュイア)が、海の方から向かって来てる」


有翼乙女(ハルピュイア)の気配が、読めるようになったのか……」


 常識外れだと言われたが、出来ないよりも出来た方が良いじゃない!

 何でデッカイ溜息を吐くのさ!?



 カノンが魔石に含まれた魔力を使って探知をした時に、魔力の解析が一部出来た。


 本質の一端でも理解出来れば、想像も、創造だって容易くなる。

 霊力が不足分を補ってくれるからね。



 模倣した疑似魔力を「スキル」で創り出し、カノンとアルベルトがそれぞれ話を聞いている間、手持ち無沙汰だったので探知を行っていたのだ。


 少々霊力と勝手は違うものの、あくまで「スキル」で生み出したものなので、コツを掴めばピスカ街付近の捜索はすぐに終えられた。

 そして海の向こう迄その範囲を広げて暫く後に、索敵に多数の気配が引っかかった。



 相変わらず門から向こうの、時間の流れが違う区域は探れないが。

 海と同様、探索範囲を広げようとはしているんだけどね。


 もしかしたら、範囲自体は広がっているけれど、時間経過がゆっくり過ぎて進んで居ないように錯覚しているだけなのかもしれない。


 なので向かって来た方向から、いつ頃有翼乙女(ハルピュイア)御一行が到着するのかは、目安すら判らない。



 しかし海から向かって来る有翼乙女(ハルピュイア)の団体は、この速度で言うと……おおよそ、三〇分後には到着してしまう。

 有翼乙女(ハルピュイア)の移動が早いのと、俺の探知に時間が掛かってしまったのと、二つの要因が重なった結構、ギリギリになる迄襲撃を把握出来なかったのが悔しいな。


 まぁ、既に大半の住民が避難を完了させられているのだ。

 ()人なら、三〇分もあれば余裕だろう。



「メリディーを支配した連中か?」


「イヤ、島から飛んで来たんじゃないかな」


 どの島嶼から有翼乙女(ハルピュイア)が出現したのかは不明だが、エリアール街の近くに流れる川を上って、エリアール街に辿り着いたんだろ。


 地図を思い出して考えると、その付近にあった島嶼はピスカ街から見た時に、南東方向に位置している。

 対してメリディー街は、東南東にある。


 メリディー街の住民が徒歩で逃げた方向から推測して、集落があると判断する迄は出来る。

 しかしその街が内陸にあるのか、海岸沿いになるのか迄は判断出来ない。


 船を使って逃亡した人達が、別の集落に向かったのか、有翼乙女(ハルピュイア)から逃げる為に目的地も無く飛び出したのかなんて、分からないじゃない。


 ならメリディー街を支配し終えた連中が通るのは、確実な陸路になる。



 俺が分かる範囲で仮説を立てるなら、有翼乙女(ハルピュイア)は非常にハチに似た習性を持っている。


 女系社会で、体内に精子を溜め込み子を産む時に受精させる繁殖形態も、女王を一人立てて他の同族が兵隊なり労働なりを課せられるカースト制度がある事もだ。


 もし有翼乙女(ハルピュイア)がハチと同様、超感覚的知覚に准ずる能力を持っているのなら、離れた場所に居ても、エリアール街の女王が死んだ事や、メリディー街以外にも、まだ征服出来ていない集落がある事は、他の有翼乙女(ハルピュイア)達に情報共有されていたに違いない。


 ハチは年に一度女王が誕生するが、新たな女王が産まれ繁殖期を迎えると、母親が巣を明け渡して、多数の雄と共に旅立つ。


 その数は誕生したハチ全体の一〇%程の数だ。

 探知に引っかかった個体を考えると、数が合う。



 厄介なのは、エリアールで倒した女王よりも、気配が強そうだと言う事だ。

 二、三年前にニブルヘイムからコチラの世界に来たのだろうと予想されて居たよな。

 今向かって来ている有翼乙女(ハルピュイア)はもしかしたら、純ニブルヘイム産の有翼乙女(ハルピュイア)かもしれない。


 魔物は単純に、生きた年齢がそのまま強さに反映される事が多い。

 あとは魔石の大きさや、取り込んだ魔力の量だね。



 この世界は精霊が頑張ってくれているから、魔力やその素となる瘴気がニブルヘイムと比べると、かなり少ない。


 その為この世界で生まれた有翼乙女(ハルピュイア)は、十分な魔力を得る事出来ない。

 だから一撃でパッカーン出来る位に脆く弱かった。


 だが純粋なニブルヘイム産の有翼乙女(ハルピュイア)となると……強いんだろうなぁ。

 ヤダなぁ。



「俺は……海に向かう。

 カノンは門の方向(背後)をヨロシク。

 アルベルトはこの三人含めた、避難者達の護衛を頼んだ」


「おいおい、坊主。

 アルベルトさんになんて口を……」


「ジェラル、時間が惜しい。

 行こう。


 ……ジューダス、ありがとな」


「俺は面倒臭い護衛任務を押し付けただけだよ。

 ホレ、サッサと地下に行け」


 シッシッと手を振って、まだ何か言いたそうなジェラル達を追い払う。

 苦笑をしながら、三人を促してアルベルトは駆けて行った。



 避難場所は、海沿いにある倉庫の地下だからね。

 俺の計算違いで、予想よりも有翼乙女(ハルピュイア)の到着が早まってしまったら、ヘタをしたらアルベルト達が鉢合わせしてしまうから。


 ニブルヘイムの魔物の気配が読めない、読みにくい事はアルベルトも分かって居る。


 三〇〇じゃ済まない個体数が向かって来ている可能性も含め、早く行動した方が良いと理解してくれたようだ。



 念の為、琥珀(こはく)にアルベルトを含めた、地下に避難している人達の護衛を頼む。


 地下は琥珀(こはく)の領域だからね。

 例え燼霊が襲って来たとしても、万が一すら起き得ない。



 カノンには颯茉そうまを付ける。


 彼の得意分野は風精霊術だからね。

 有翼乙女(ハルピュイア)も風属性だが、女王と同等かそれ以上の強さの魔物が居たとしても、颯茉そうまさえ居れば攻守共に安心して任せられる。

 例えるなら、静穏なその風が猛風に掻き消される感じかな。

 颯茉そうまの前では、あの程度はザコでしか無く、全くの無意味って事だ。


 エリアール街に居た女王が一番弱い前提で動かないと、痛い目を見てしまう。

 なのでカノンにも保険は必要だ。



 俺はどうしようかな。

 浅葱(あさぎ)稜霓(ろうげつ)か、どちらかだけを重用すると、後で頼らなかった方がスネそうだよね。


 うぅん……とりあえず、海に向かいながら考えるか。



「一人で大丈夫か?」


「ソレはコッチのセリフ〜

 賢者様こそ、問題無いですかぁ?」


「ふっ、誰に物を言っている」


 煽ったのは俺だけどもさ!

 鼻で笑いおったぞ、この野郎!!



 人によっては、明日所か一時間後生きている事すら保証されない困難だろうに、俺もカノンも、全く気負う事無く、何の別れの言葉も告げずに、それぞれの持ち場へと移動する。


 魔物の襲撃によって困るのは、住民が生き残れたとしても、街が破壊されて住む場所が無くなる事だ。

 ヘタをしたら、瓦礫の撤去をする位なら、放棄して別の場所に街を起こした方が労力が少ない場合もある。


 生まれ育った、思い入れのある土地を、不本意ながら離れなければならない状況は、精神的なダメージが計り知れない。

 復興がかなり遅れる。


 なのでカノンは俺に背を向けた後、フワリと浮かんで門の外へと飛んで行った。



 そういう気遣いが出来る人って素晴らしいよね。

 ……ふむ、つまり、俺もそうするべきって事だよな。


 よしよし、それじゃあ浅葱(あさぎ)稜霓(ろうげつ)、二人共見せ場を作れるね!

 良かった、良かった。


 それじゃあ緩み過ぎている気を引き締めて、有翼乙女(ハルピュイア)達を迎え討ちますか。

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