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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを満喫する  作者: 可燃物


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神さま、作り替える。

 カノンの説教が耳を通過すらせず、空気へと溶けて消える頃。

 上から監視をしていたアルベルトが、何か異変を見付けたようだ。



 手を大きく振って居るので、鐘楼から飛び降りるように指示をした。


 一瞬躊躇したが、逆に言えばほんの一秒足らずしか躊躇わずに、言われた通りジャンプしてしまうのは、いかがなものかと思う。

 もちろん責任を取って、地面にヒトガタの穴を開けたりシミになったりしないよう、颯茉そうまの力を借りて減速したが。



「魔物の群れが、突然現れた!

 空が黒くなっているぞ!」


 幼児に高い高いでもしているかのようなポーズで、俺が身体をキャッチするや否や、アルベルトが身振り手振りを交えて報告した。


 暴れられると、颯茉そうまの力が安定しなくて重力が腕に掛かるから辞めてくれ。

 九〇kg近い巨体を抱き上げ支える筋力は、俺には無いぞ。


「方角的に、俺が探知した物と同じだな。

 すぐに発とう」



 突如出現したように見えたのは、空間が捻れているせいだ。

 時の精霊(クロノス)の能力で生み出された時間の流れの歪みによって、魔物が真っ直ぐコチラに向かって来ていてるのに、錯覚でそのように見えたのだろう。



 メリディー街の存続は、状況的にかなり絶望的だ。

 ならばソチラに寄る時間を魔物討伐に宛て、直接ピスカ街に行く事にした。


 アルベルトも、慣れ親しんだ街の惨状を、直接見るのは辛いだろうからね。



 エリアール街から西南西方向が、ピスカ街になる。

 そして魔物が向かって来る方向は、西だ。


 時間を掛けずに倒せるなら、ほんの少しの寄り道感覚でしかない。


 この後の事を考えても、今のうちに有翼乙女(ハルピュイア)は殲滅させておくべきだ。


 人命優先だからね。

 残念だがエリアール街以南の街道整備は、後日落ち着いてからにしておこう。



 時の精霊(クロノス)がどの区間をどのように時間を操っているのか判断出来ないが、彼も精霊だもの。

 少しでも人間の延命をする為に、動いてくれて居るはずだ。


 だが精霊である以上、彼は人間の有利になり過ぎるような過干渉をしてはいけない。

 特に生死に直接作用するような手助けを、してはならない。


 そう定められている。



 他に大半の力を使っているからリソースを割けないと言っても、時の精霊(クロノス)なら人間が全滅した時点で、エリアール街だけ空間を切り取って捻じ曲げて、スパゲッティにする事だって可能だ。


 ブラックホールの一個や二個、創る事くらいワケない力を持っているんだもの。

 なのにしていないのは、出来ないだけなのだと思う。


 やったら越権行為になるのだろう。

 だから中途半端に干渉した状態になっているのだ。



 エリアール街周辺は時間の流れが、他よりも加速している。


 そして更に隣接した区画の時間の流れも、器用に変えていた。

 ピスカ街以外の、ニブルヘイムの魔物が跋扈している区域の時間の流れを、かなり遅くしているのだ。



 食糧不足に陥り、食糧を確保する為の狩りをしに兵士が居なくなった状態が長く続けば、戦力が分断され叩きやすくなる。

 空腹により共食いをしてくれれば、数が減る。


 今の状況が、正にそうだ。



 兵士が無事に戻ってきていたとしても、遅いと癇癪を起こした女王によって、数をある程度減らせただろう。

 空腹が酷かったようだし、もしかしたら兵士も喰われていたかもね。


 そうなって完全に自滅してくれれば楽だったが……まぁ、仕方がない。

 タイミングがズレて、挟み撃ちにされなかっただけマシと思おう。



 魔力を扱って疲れているカノンには、引き続き空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)の運転を任せる。

 アルベルトは空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)による高速移動は出来ないので、俺が撃ち漏らした魔物が居たら、ソレの処理をして貰う事となった。


 俺はカノンが暴走しない程度の速度で進む空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)が、有翼乙女(ハルピュイア)の群れに突っ込む直前に、精霊神の皆の力を借りて、ド派手に一気に浄化をしまくるだけだ。



 高密度の霊力が込められた雨を降らせ、風で凪ぐ。

 回れ右をて逃亡を図ったモノは土の錐で貫き、光の矢で落とす。


 あっという間に、五〇〇体を超える有翼乙女(ハルピュイア)は絶命した。


 先を急ぐので、魔石は回収しない。

 ならば一撃必殺を狙うのが、最も手っ取り早いでしょ。


 全ての有翼乙女(ハルピュイア)は胸元の魔石を斬り、砕かれ、地に落ちる事すら許されず、塵と消えた。



「……俺、必要なくない?」


 撃ち漏らしが一匹も無かったせいで、出番が全く無かったアルベルトが少し拗ねた。

 ゴメンよ。


「まぁまぁ。

 力を温存しておけって事だよ。

 もしかしたら、ピスカに燼霊が居るかもしないんだし」


「その、ピスカが無事かもしれないっていう理由も、いまいちよく分かってないんだが……

 手紙(シルフィード)以外にも、理由があるんだよな?」


「そうそう。

 どう言えば分かりやすいかな……

 手紙(シルフィード)は、そもそもまだ、ピスカに届いて居ない可能性があるんだよね」


「さっぱり分からん」


 あ、ハイ、デスよね。



 既に支配されていたエリアール街は、敵の数を減らし、飢えによる弱体化を狙って時間の加速が行われていた。

 魔物が蔓延るピスカ街迄の道中は、ココも含めて時間の減速が行われている。


 時間の流れを抑えた時に、どれ程の影響が出るのか、現在絶賛体感しているはずなのだが、正直、よく分からない。


 普通に行動出来ているし、精霊術の発動が遅い事も無い。

 喋れるているし、思考も難なく回っている。


 だが周囲の景色が、確かに今迄と違うのだ。



 時間の流れを遅らせている、その証拠と言わんばかりに、滅茶苦茶暑い。


 今って真冬でしたよね?

 数日前まで、吹雪いていましたよね??


 南下するにつれて温暖な気候になったのだ、と説明されても、理解し難い程にアッツイ。


 もうね、アルベルトの鎧の照り返しのせいで、暑いじゃなく熱いの。

 焦げるレベルなの。



 何年遅れの夏なのかは知らないが、少なくとも季節ふたつ分はズレが生じているって事になる。


 有翼乙女(ハルピュイア)は賢いと思っていたが、ソレはあくまで女王だけだったのかな。

 兵士がバカで助かったが、ココまで気温が違えば違和感くらい抱くだろ。



 その時間のズレを起こしたタイミングは、ピスカ街が侵略されて、被害が軽微な段階だったと思うんだよね。

 侵略される前の段階だと越権と判断されかねないだろうけど、侵略後だと、やる意味が無いもからさ。



 有翼乙女(ハルピュイア)は戦力の拡大が目的だったのなら、どれ位の規模の戦力をピスカ街占領に割けば良いのか、またどれ程の規模の街なのかを把握する為に、まず偵察が送られただろう。


 その直後に時間の流れを遅らせたのなら、まず偵察がエリアール街に帰る迄に時間が取られる。

 侵略の為の部隊編成の速度は早送りされた状態になっても、侵攻がまたスローモーションになっていれば、だいぶ時間が稼げる。



 今の俺達のように、遅くなっていると認識出来ていないのならば、その効果は絶大だ。

 時の精霊(クロノス)の術効果は素晴らしいね。


 だが面倒な事もある。


 俺があっという間に食糧調達部隊の殲滅を終わらせたのは、そのせいだ。

 遅れている感覚が無いから、どの程度のものなのかが全く把握出来ないのだ。


 この区域の五分が、もしかしたらピスカ街の一日に相当していたら、マズイでは済まないだろ?

 侵略されていない事を願って、早々に到着したいと考えているのだから。



「だから、二人にはとっても申し訳無いんだけど、身体を拘束させて貰うね」


「急がねばならないことと、空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)に括り付けられることへの関連性は無いと思うのだが!?」


「なんで空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)の形も変えてるんだよ!?」 


 カノンの制御を離れて徐々に減速する空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)に、暴れられないよう手足も含めてマルっと拘束させて貰った。


 二人に「ファラオのポーズをして〜」と言っても通じるハズもないじゃない?

 理由を説明する時間すら惜しいって状況じゃない??


 ならば問答無用で押さえ付けるのが、最適解だろう。



 二人を包み込むように、抵抗力をなるべく抑える流線型に空飛ぶ石版(タブレヴォーラ)の形を変えた。

 そして俺はその上に乗る形を取らせて貰った。


 だって二人は稜霓(ろうげつ)と契約していないからさ。

 光速移動したら、肉体にダメージ喰らうだろ?

 空気抵抗による呼吸困難を起こしてもいけないしさ。



 さすがに光の速度で移動すれば、ピスカに然程時間を掛けずに到着すると思うんだ。


 まだノロノロとこの時間の流れが遅い空間を飛んでいる、手紙(シルフィード)有翼乙女(ハルピュイア)の侵略部隊を追い越してしまう勢いで、ね。

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